戦争と民衆
はじめに(三谷孝)
第I部 総論 戦争体験を問い直す
〈戦争体験〉――その全体像をめぐる〈人間〉の営み(濱谷正晴)
はじめに――戦争の“歴史性”
〈原爆と人間〉――視点を探し求めて
〈戦争体験の全体像〉――その形象化と非戦の胎動
オーラル・ヒストリー&パーソナル・ドキュメント
第二世代、同世代、異世代間の対話、コミュニティ
集合的記憶・トラウマ
メモリアメ・モニュメント・ミュージアム
つぐない・戦争犠牲は受忍しない
むすびに代えて――“戦なき世”を
東井義雄の戦中・敗戦経験とペタゴジー――戦後教育実践に刻んだもの――(木村元)
はじめに――教育における戦中と戦後経験
敗戦から戦後へ
戦後教育の出発時の東井における教育課題
敗戦時の立脚点――唐川校から相田校へ
『学童の臣民感覚』を生み出した東井の歩み
村と学校を繋ぐ「●生が丘」――沈潜の戦後実践
「●生が丘」の成立基盤
「●生が丘」の出発と構成
村の教育と「●生が丘」の展開
「村を捨てる学力」への抵抗と「村を育てる学力」の登場
「村を育てる学力」の上梓
小括――敗戦時の課題と戦後の総括
第II部 原爆体験
原爆被害者と「こころの傷」――トラウマ研究との対話的試論――(直野章子)
はじめに
被爆者の精神的被害にかんする研究
トラウマとPTSD――概念の系譜
トラウマ研究と表象不可能性
被爆者の語りと沈黙
死者を抱きしめながら
証言者と聞き手
おわりに
ある被爆者の原爆体験と証言活動――その思想的営為――(源氏田憲一)
はじめに
被爆
思想的営為
証言活動
語り手の多元的主観性と証言者の「立場」――むすびに代えて
第III部 沖縄戦
沖縄戦と民衆――沖縄戦研究の課題――(林博史)
はじめに
沖縄戦とはなにか
沖縄戦への道
沖縄戦の経過
沖縄戦の特徴――これまでの研究で明らかにされてきたこと
沖縄戦研究の視点
沖縄戦研究の成果
『沖縄戦と民衆』で提起したこと
近年の研究成果
その後の沖縄戦研究
新しく見つかった日本軍資料
県や警察の資料
沖縄戦研究の課題
さいごに
[追記]
本土における沖縄戦認識の変遷――軍隊と民衆の関係という論点をめぐって――(小野百合子)
――軍隊と民衆の関係という論点をめぐって――
はじめに
沖縄戦の語りの変化――軍隊の目から民衆の目へ
援護法の適用と「軍民一体」の語りの形成
戦後本土における沖縄戦の記録
沖縄における住民の戦争体験記録運動の始まり
本土における沖縄戦への着目の始まり
空襲・戦災体験記録運動の活発化とそこでの沖縄戦の扱い
本土における沖縄戦への着目
本土における沖縄戦認識の争点化
教科書の沖縄戦記述の増加と争点化
戦場における軍隊と民衆の関係という論点への着目
おわりに
第IV部 中国大陸での戦争に関連して
中国における戦時性暴力をめぐる記憶と記録(内田知行)
はじめに
同時代の文書史科が語る「戦時性暴力」の記録
同時代の抵抗権力による公文書
同時代の抵抗権力等にわるインフォーマルな文書
『山西抗戦口述史』が語る「戦時性暴力」の記憶
共著が語る「戦時性暴力」の記憶
「個人の個別の被害」記憶
もうひとつの「被占領経験」の記憶
村の性暴力と都市部における「慰安婦」との関係
むすび――歴史研究者として学んだこと
ある「シペリア抑留」のライフストーリー――自分史のなかの戦争の記憶――(佐藤美弥)
はじめに
Aのライフストーリー
成長と職業の選択
Aの戦争――入営・「満洲」・「シベリア」・「ダモイ」
いま、戦争を語ること
自分史における戦争の記憶の位置
戦争を語ることについて
むすびに代えて
中国東北地区における朝鮮族部隊について――中華人民共和国期を中心に――(李海燕)
はじめに
[満洲国」崩壊後における朝鮮族部隊の成立
成立の背景
国共内戦での活躍
中国共産党による改編
朝鮮族部隊の北朝鮮への移動
移動のプロセス
移動の背景
朝鮮戦争と新たな入隊
入隊志願の動機
入隊情況
おわりに
補論 「防衛のための戦い」の記憶――中世ノルウェーのレイザングルについて――(阪西紀子)
はじめに
戦いへの召集の二つの方法――レイザングルと緊急の全員召集
マンゲルズの基礎としての「ビール醸造組」
法に見るレイザングル
「王のサガ」と文章に見るレイザングル
おわりに
著者紹介