占領期の朝日新聞と戦争責任
はじめに
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1 「朝日内閣」と児玉誉士夫
史上初の宮様内閣
「天皇のご内意」で決断
実体は「緒方朝日内閣」
宮様を派遣し武装解除
殺到した悲痛な国民の声
人間宣言につながった五箇条の御誓文
「一億総懺悔」は緒方の表現
内閣参与に任命された児玉誉士夫
秘密工作に使われた朝日社機
児玉への供出を認めた米内海相
首相側近の「暴走」への批判強まる
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2 マッカーサーの顔色
戦犯リストに緒方の名前
マッカーサー元帥の一顰一蹙
児玉と太田が企んだ「ひと芝居」
会見通訳は朝日記者
東条軍閥を叩いた社説
激しさを増す戦争責任追及
「吉田茂外相」を緒方が進言
集中砲火を浴びた外国人会見
発売禁止令が出た会見写真
マッカーサーの支持を再確認
反発招いた「三木清の獄死」
更迭命令に抗議の総辞職
マッカーサーに捨てられた近衛
都留・木戸につながるノーマンの謀略
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3 戦争責任と「十月革命」
GHQの直接統制になった新聞
GHQに疑われた村山社長
豪雨で遅れた反村山秘密会合
社長辞意にも不信の声
総退陣論と社長案貫徹で紛糾
緒方と美土路に調停を依頼
「村山社長の腰の弱いのがけしからん」
闘争勝利宣言だった「国民と共に立たん」
共産党の浸透を恐れ収束急ぐ
組合側の了解を得ていた後継人事
役員退職金を返上した村山
「人は自分以上にも自分以下にもならない」
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4 徳田球一が読売新聞を握った
正力松太郎と鈴木東民
徳田球一の甘い詰めが正力を救う
正力株買収を勧めたGHQ
緒方の戦犯容疑は徳田陳述書に一因
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5 GHQ、社主家、三等重役、そして労働組合
国会も八割が初当選組
食糧メーデーを指揮した聴濤
周到に画策された鈴木東民解任劇
実力部隊に販売店動員
GHQが提唱した「編集権」と新聞協会
反転攻勢をかけ新聞ゼネスト
大なり小なり御用組合
運命共同体になった朝日労使
吉田内閣打倒に向け「二・一ゼネスト」
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6 社主家の攻勢と「アサヒ・マン」
突出していた朝日社説
新聞社の資本と編集の関係に注目している
ゾルゲ事件の田中慎次郎の復社
突然の村山長挙質問
資産家を直撃した一回限りの財産税
GHQからもたらされた「村山情報」
「朝日新聞は共産主義者に支配されている」
見せられた共産主義者リスト
スパイ「アサヒ・マン」
棚上げされた「資本と経営の分離問題」
村山社主への組合の釈明
朝日新聞社に、「G項該当」の決定
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7 公職追放と「フジヤマのトビウオ」
二一万人を公職追放
追放審査に不満を表明した村山釈明書
負傷写真を探し出し異議申し立て
基礎研究重視し、調査研究室設置
『週刊朝日』は辰野、夢声、吉川らを積極起用
国民を熱狂させた古橋の快挙
古橋を取材したのは織田幹雄
賃金闘争で先鋭化する組合
朝日初のストライキに突入
「サザエさん」の登場
長谷部、ついに社長になる
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8 朝鮮戦争と「ゾルゲ」の呪縛
米国不介入を信じ、南進を許したスターリン
報道禁止になった小倉の脱走兵事件
「洞ケ峠は許さない」
報道機関から始まったレッドパージ
指先が震えていた信夫編集局長
インボデンの首切り命令
GHQが持ち出した笠信太郎の追放
「ゾルゲ事件」に執着したウィロビー
「ゾルゲの影」で『朝日評論』廃刊に
挫造された伊藤律会見記
ウィロビーの復讐
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9 村山復僻で緒方去る
米内、中野、古島の人物論執筆に専念
「神風」だった朝鮮戦争
共販解体を見越し、系列化を推進
朝日株売却を考えていた村山家
社主家の「裏金庫」は朝日信用購買組合だった
密かに議員立法で提案
掲載されなかった羽仁の反対演説
新聞社の特権・利益を保障した特例法
一夜にして醤油の町になった川崎
決起集会に化した村山祝賀会
即座に撤廃させた大株主権限の制限条項
信夫が持参した金一封
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終章 かかる時君しあらばと
亡骸を朝日の社旗で覆う
筆政の確立こそ「経営」の基盤
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あとがきに代えて
参考文献
朝日新聞を中心とする戦中・戦後史略年表
人名索引