たえがたき・を・たえ
はじめに(Iの会)
*ひもじかった日々
代用食
毒でなければ何でも……(小川滋子)
天井がうつるから「天井雑炊」(坂口和子)
家畜の餌を人間が食べる(清水初代)
ジャガイモの皮のダンゴ(牧野綾子)
まずかった茨城一号(坂田良三)
かくれてイモをかじる(大和武平)
食べづらかったトウモロコシ粉(清水初代)
空缶で煮たサツマイモ(内森国太郎)
ふしぎな白い粉(坂口和子)
くる日もくる日もサツマイモ(坂口和子)
米
ガソリン臭い配給米(柏木ちよ子)
トントントントン玄米つき(坂口和子)
歓迎の赤飯かと思ったら……(城仁)
ユウレイ人口で余分にもらう(里村ヨシ)
ポロポロのひきわりめし(高野春枝)
比べっこした銀シャリのおむすび(川添末子)
河川敷でつくったイネ(江川洋子)
パン
ミルクホールで手に入れるパン(清水初代)
自家製の野菜パン、味噌パン(坂口和子)
箱型電気パン焼き器(江川洋子)
鋳物のドーナツ型パン焼き器(森下真理)
「このパン甘いわ」(城昭子)
猫のコッペパンを横取り(矢沢美枝子)
おかず
シマヘビやマムシもおかず(青木はな)
自家製豆腐もどき(坂口和子)
六人家族に魚一匹も当たらず(坂口和子)
ポケットに梅干し(小川滋子)
おからの唐揚げ(清水初代)
野ウサギや山バトのごちそう(飯村勝)
川で夕食のおかず釣り(飯村勝)
タンパク源にビッキ(木俣真)
乾燥野菜の研究(森下真理)
チーズができた(城昭子)
フキにゴボウ攻め(伊藤一男)
すぐ煮える「コンチワ小豆」(坂口和子)
食べられてしまった子ヤギ(村上勝人)
カツオ八人分三十二円(山田和江)
ひどい下痢をした海宝緬(浜田登志子)
水缶詰の配給(内田陽子)
野草・昆虫
スギナもツクシも食糧に(岩原タカ)
吉祥寺の雑草夫人(森下ふく)
お茶代わりゲンノショウコ(古谷光子)
おいしかったホトケノザ(片平千代子)
葛の根を食べる(片平千代子)
姑が育てたハブ茶(城昭子)
国民学校でイナゴとり(川添末子)
調味料
風味もコクもない代用調味料(吉田明子)
なじめなかったヤシ油(坂口和子)
昔ながらの方法で自給製塩(松下義一郎)
岩塩のままで配給(矢沢美枝子)
お米の代わりに砂糖の配給(矢沢美枝子)
アメ横で売った配給の白砂糖(馬場昌子)
黄ザラメ食べたらおできができた(清水初代)
海水から作った代用醤油(川添末子)
おべんとう
サツマイモ二本とタクアン二切れ(近田登志子)
堂々とおべんとう調べ(江川洋子)
最高のぜいたく・のり弁(近藤和郎)
スイトンのおべんとう(藤正美)
折りたたみ式アルミ弁当箱(坪井厚男)
学校給食
母の手で自主学校給食(松本えみ子)
忘れられない一杯の味噌汁給食(津布久洋子)
盛りつけの多いのを目で追って(津布久洋子)
みんなで育てた豚を豚汁に(勝田哲三)
ワラ半紙に配られた脱脂粉乳の粉(三宅直子)
のどを通らない脱脂粉乳スープ(小川滋子)
おやつ
菓子知らぬ子にイモアメのおやつ(城昭子)
ジャガイモのクズからアメづくり(飯村光枝)
黄粉まぶしの工夫おはぎ(森下真理)
乾燥したリンゴの皮もおやつに(坂口和子)
たくさんあった山形のコロ柿(坂口和子)
自然の甘味のサツマダンゴ(川添末子)
ぼたもちのあんこも柿餡(高野春枝)
ちびちびとリスのように……(森下真理)
刺されてもやめられないハチミツ(飯村勝)
学校の帰り道(津布久洋子)
「重営倉」の中のプラム(小川滋子)
生まれて初めてのチョコレート(森下真理)
傑作の薄皮まんじゅう(森下真理)
こってり甘い「はなや」のおしるこ(城昭子)
誰が一番うまくできるか(津布久洋子)
貴重な米をポンあられに(森下真理)
侘しいお茶席の菓子(森下真理)
人気だった一円の「あたり」ガム(山口典子)
サイダーとシトロン(城昭子)
くだもの
セロファン包みの干しバナナ(長田百代)
豊富にあった疎開先の果物(近田登志子)
妹の夏ミカンをみんなで分けて(森下真理)
リンゴが三個で十円(村井孝夫)
はじめて見たバナナ(合田純代)
外食
定食屋から雑炊食堂へ(新井喜久美)
ズルズルすすった雑炊食堂(村井孝夫)
シロ券でスープごはんにありつく(村井孝夫)
麺米寿司におから寿司(山村和男)
ヤシ油の浮いた天ぷらそば(山村和男)
高歌放吟ご法度のヤミ宴会(渡辺四郎)
香飛をご存じですか(中嶋哲明)
味も素っ気もない海草麺(中川信子)
「手入れですよ」にかくす徳利(山本恭平)
フルコースで「宴会」会議(前崎八重子)
家庭菜園
できのよくなかった庭の畑(坂口和子)
焼け跡の他人の土地を無断借用(清水初代)
水っぽいカボチャしかできなくて(小川滋子)
明治座前に一面の麦畑(笠原郁恵)
台所用品
アルミ鍋の代わりに土鍋(斉藤幸恵)
すぐ割れる素焼の魚焼網(吉田ムツ)
風流ではあるけれど(久保規子)
薬臭さが鼻につき(西川節子)
大空襲にも焼け残った陶器(森下真理)
あまり売れなかった鉄カブト鍋(坂口和子)
*命の糧を求めて
買い出し
げに食物の恨みは恐ろしい(矢沢美枝子)
教え子の農家を頼って(黒川和代)
おはやしの道具がお米に(茂木三雄)
殺人的な買い出し列車(江口シズ)
買い出し列車の特等席(森下真理)
五貫目のリュックを背負って(坂口和子)
車中の食糧検査(加藤正人)
暗がりで仕返し(塚本小枝)
若いおばさんモンペはいて(吉沢文子)
「着物は女の命といいます……」(高野春枝)
物々交換
生きる道だった物々交換(野村俊子)
盛況だった委託販売所(坂口和子)
絹ものよりも木綿もの(桜井ウメ)
物々交換所を利用(江川洋子)
毎夜、ヤミ米を配達する(川鍋文一)
タケノコ生活
裸になった花嫁さん(近田登志子)
ただの紙のお札で騙されて(行平直子)
命の糧の本を売る(村山儀一)
公益質屋のお世話になる(坂田弘)
金物拾って買い食い(福田幸助)
ヤミ
大学生のヤミ屋(笹田正剛)
丸の内にオフィス構えて密輸業(芦田淳一)
新橋辺りの動くヤミ市(垂沢一郎)
豚になった民衆(村井孝夫)
ヤミ市で酒を売る(矢沢美枝子)
氷屋のお嫁さんになってもいい(坂口和子)
ヤミ市で売ったもの(山下肇)
ヤミを食べずに飢え死しましょう(森下真理)
家計
病人かかえた戦後・わが家の家計簿(赤田健一)
近郊農家の戦後の暮しぶり(岡田晴雄)
*にわかドロボウ
にわかドロボウ
ねらわれた「上弁当」(石川二郎)
ドロボウ湯(村井孝夫)
さげすむ人の目の中を……(片平千代子)
焼け跡のスルメ(米沢一夫)
ひょう変した市民(山川フミ)
敗戦と同時にドロボウに走る(高野春枝)
畑ドロボウ日記(岡田晴雄)
沖縄強制労働を恐れながら(鈴木哲夫)
靴を盗んでみたら右ばかり(鈴木哲夫)
板の間かせぎ(城昭子)
小学生の弁当ドロボウ(飯村道子)
*生きて帰って……
千人針
和裁の仲間とさした千人針(城昭子)
一軒一軒千人針を頼んで歩く(近田登志子)
銭湯の番台にあった千人針(斉藤明子)
「丈夫で帰ってね」と針を持つ(山川フミ)
武運長久を願う千人針(川添末子)
千人針をことわった兄(菅野きみ江)
「千人力」ならぬ「五百人力」(若松稔)
お守り・寄せ書き
弾丸よけ、爆弾よけ(森下真理)
お金の隠し場所にお守り袋(本間宏治)
荒木大将の署名入り寄せ書き(伊藤一男)
慰問袋
面はゆかった慰問袋作り(城昭子)
作文の時間に書いた慰問文(森下和代)
慰問袋が迷惑袋(?)に(森下真理)
満州で受け取った慰問袋(清水正平)
*銃後の手に油
勤労動員
病気の母を放って勤労動員に(森下真理)
おやつ、おみやげ付農村動員(津布久幸男)
軍需工場で働く(清水千代)
レンズ磨きにはげむ(石森貞子)
解放感のあった勤労動員(小山誠三)
体が弱くて伝令係りに(新井幸一)
荒れ放題の勤労動員(大和武平)
村ぐるみの勤労奉仕
町に割り当てられた風船爆弾作り(小沢恵子)
高々度飛行用燃料「松根油」(中島幸太郎)
勤労奉仕で北海道の炭鉱へ行く(小川都次郎)
婦人会・町会・隣組
りりしい女消防隊(角川小枝)
銃後の守りは国防婦人会の手で(青木はな)
勤労奉仕に励んだ国防婦人会(及川つね)
役に立たなかった消火訓練(木村幸子)
銃後を守る男の仕事(石森泰治)
いばっていた警防団(武田宏)
消えてしまっていた隣組(森下真理)
医薬品不足に手も足も出ず(吉良憲夫)
GHQと隣組(小川文雄)
供出
「あほやな」(森下真理)
卒業記念の金カップまで(小川滋子)
正直農家に厳しい割り当て(青木はな)
供出で丸坊主になった山(青木はな)
*焼夷弾の雨の下
空襲
顔をヤケドから守った防空ずきん(三宅直子)
弁償してくれなかったオーバー(石井好信)
爆弾落下音のレコード(森下真理)
死体の臭いが手にしみついて(上杉フク)
駅で空襲にあう(山本静枝)
空襲でばれた隠匿物資(森下真理)
「焼け出され」と軽視され(森下真理)
罹災証明の数字を書きかえる(三原正代)
母を殺したのがあの爆音とは……(津村孝子)
折り重なる死体を踏みこえて(大野その)
8月6日、ヒロシマ(前田敦子)
防空壕
防空壕の中で蒸し焼きに(荒井昌子)
縦横に防空壕を掘る(田口靖子)
入らなくなった防空壕(小川滋子)
防空壕が共同墓地へ(森下真理)
家族が二手に分かれて退避(森下真理)
壕舎の寒さに耐えられず(鈴木哲夫)
*戦禍を逃れて
学童集団疎開
学童疎開の日々(山田和江)
子どもの善意なんて信じません(野口多季子)
「おパンですよ」(片平千代子)
疎開者が運んできた都会の風(小川滋子)
梅干しをしゃぶってがんばった(伊藤明子)
学童疎開させた娘の夢をみる(斉藤きく)
東京残留児童から疎開した友だちへ
疎開学童の母娘通信
人の疎開
取り壊されてしまった思い出の家(坂口和子)
粉ミルク事件に知人宅を後にして(三宅直子)
米を見ながら米を食べられず(城昭子)
受け入れ農家の困惑(高野春枝)
疎開家族への父親通信
物の疎開
浅草橋から川越までリヤカーで(鈴木哲夫)
荷造りをしてあるばかりに(森下真理)
疎開させた荷物が焼けて(和田修治)
*あの頃、学校で
学校生活
女の子も作ったグライダー(森下真理)
戦時中の学芸会(森下真理)
空中に字をかく青空教室(池田まつ枝)
魚が楽しみの軍隊式海洋訓練(新井幸一)
「フレンド」から「聖友」へ(清水初代)
「では行きます」(津布久洋子)
中学三年で初めてガラ紡が買えた(小川滋子)
占拠された校舎(本橋徳三)
あわや同盟休校に(近田登志子)
午前、午後の二部授業(三宅直子)
はじめてのPTA(本橋徳三)
校外作業
カシの実拾いで宿題が棒引きに(川野二郞)
ドングリ拾っておこづかい稼ぎ(吉沢文子)
臭いのを我慢して(松山良子)
校外作業に明け暮れる(倉本俊)
校庭をジャガイモ畑に(津布久洋子)
殴る
理由もなく殴られて(木村孝充)
涙であやまったビンタ先生(佐藤京子)
学用品・おもちゃ
ポキポキ折れてしまうえんぴつ(伊藤明子)
ガラス製のベーゴマ(津布久幸男)
苦心の手作りキャンバス(城昭子)
すべて手作りの釣道具(飯村勝)
帯芯でランドセルを縫う(馬場昌子)
八方探しまわったランドセル(飯村光枝)
自分でとじた教科書(三宅直子)
肋骨や大腿骨の映った下敷き(小川滋子)
なくなってしまった王様クレヨン(飯村道子)
夏ミカンのようなデコボコのまり(飯村道子)
紙
紙コンプレックス(森下真理)
ネズミ色のちり紙(清水初代)
古新聞も古封筒も再利用(小川滋子)
ワラ半紙に謄写版刷りの賞状(川添末子)
落し紙代わりに野生の葉っぱ(松下義一郎)
*赤ちゃんを抱えて
出産
防空演習の最中に次男を生む(清水初代)
「攻撃精神でがんばるんだ」(栗原好子)
親の思い託した子どもの名まえ(遠藤まみ子)
ミルク
なかなか手に入らないミルク(清水初代)
一合十銭で牛乳を分ける(長塚トヨ)
母乳の代わりにヤギの乳(高野春枝)
メーメーヤギの乳で育った姪子(城昭子)
おむつ
ワカメのようなボロボロおむつ(清水初代)
ふとん綿をおむつ代わりに(清水初代)
つぎ当てだらけのおむつ(中村淑子)
クレゾールの匂いがたちこめて(鈴木古満子)
水色に光っていたビニール風呂敷(城昭子)
*病気と不衛生にこらした工夫
病気・薬
チェリー玉一つ握り隠して(城昭子)
肝油ビスケットと牛乳の特配(森下真理)
結核でもムリな静養(赤田健一)
貧血で朝礼に出られず(小川滋子)
サナトリウムの食事(城昭子)
肺浸潤になり休学(新井幸一)
母の命を救ったペニシリン(三宅直子)
栄養失調五分前(飯村道子)
シラミ
イタチごっこのシラミとり(清水初代)
凍死させてとったシラミ(角川千枝)
黒いシラミと白いシラミ(近田登志子)
ホワイトチーチー(飯村道子)
家畜用のDDT(後藤泰子)
チンチンチブス、大嫌い(小川滋子)
石けん
粘土使って川で洗濯(古谷光子)
ミカンの皮の汁で絹ものを洗う(江田久子)
魚油臭い自家製の石けん(坂口和子)
ムクロジの実を石けん代わりに(羽田昭子)
うどんのゆで汁でシャンプー(江川洋子)
夜勤の工場でこっそり石けん作り(中川一夫)
泡のたたない石けん(入江雅代)
食べられないと言うのに……(小川滋子)
生理用品
話題にしなかった生理綿の不足(清水初代)
プリシラ模造脱脂綿(江藤タキ)
ネルのおこしも使って(岡部かな子)
神々しかった脱脂綿(角川千枝)
焼灰の入った代用品(佐伯公子)
糸クズのようなふき綿(福村志津)
*モンペと国民服
女のスタイル
女性用の標準服(吹谷アサ)
金糸銀糸を抜きとる(角川千枝)
筒袖の上っ張り(小谷みつ)
心ときめくナイロン肌着(坂口和子)
絹ずれの音がするロングスカート(森下真理)
男のスタイル
国民服、国民帽(原浩一郎)
敗残兵姿そのままに(村井孝夫)
背広代わりに海軍士官服(栗林清江)
サラリーマン姿に憧れて(川島達也)
丈夫でしっかりした飛行服(角川千枝)
せっかく手に入れたギンガムを(矢沢美枝子)
キザなグリーンの背広(林加代子)
通学のスタイル
帽子の徽章も手作りで(津布久幸男)
桑の木の皮で作った学童服(宮沢晴子)
セーラー服から標準服へ(坂口和子)
さざ波のモンペ(近田登志子)
染め見本のモンペ(森下真理)
雨がふるとはだしで下校(片平千代子)
「赤ちゃいの」(山田孝枝)
女学生も着た国防色の動員服(石森貞子)
洋服に羽織を着て通学(山田和江)
下駄ばき女学生(江川洋子)
リフォーム
袴からモンペ三枚(三宅直子)
セルの着物で息子の学生服(多田南代)
シーツのシャツに毛布のオーバー(荘司由子)
衣類につきもののつぎ当て(森下真理)
足袋を縫う(城昭子)
引き揚げ荷物の毛糸(城昭子)
スフ
火がついたスフのエプロン(松原千恵)
ヒラヒラ波打つスフの洋服(山田茂)
洗濯に困ったスフ(村松知子)
ボロボロになったスフの学生服(豊田雅子)
国防色
国防色一色の中学生の制服(飯田則子)
女性に不人気のカーキ色(戸塚清子)
国防色の夜具(矢沢美枝子)
代用ボタン
こわれやすい代用品(太田知江)
ダラリと垂れ下がる瀬戸ボタン(森下真理)
海外からの衣料
ねまき代わりにイブニングドレス(徳永元)
ダブダブのアメリカ古着(渡辺憲二)
娘ごころを魅了したララ物資の山(坂口和子)
ふとん
売るもののないふとん屋(山本キク)
ワラ床で暖かく眠る(鈴木邦子)
綿の代わりにワラを詰める(面川弘之)
ネズミの糞のような綿入ぶとん(角川千枝)
二千四百円もしたふとん皮(坂田英子)
履物
イヌの皮も靴に(細井伸二)
いつまでも履いた九文のゴム長(津布久洋子)
雨の日には履けない鮫皮の靴(岡部かな子)
牛皮靴もどきの鮫皮靴(松下義一郎)
ハイヒールに憧れながら(坂口和子)
一週間ですり切れるかかと(横田淳子)
下駄を自分で作る(柳田良子)
子どもの靴も手縫いで(清水初代)
買えなかったレインシューズ(三ツ谷予利子)
クジラ皮で靴を作る(村野武志)
新聞紙を敷いて履いた靴(坂口和子)
*おしゃれがしたかった
おしゃれ
戦時中も口紅だけひいて(村井孝夫)
粘土屋で売っていた美顔パック(川野光子)
紙で編んだハンドバッグ(岡部かな子)
軍手を紅茶で染める(矢沢美枝子)
化粧水の代わりにヘチマ水(川田信子)
戦時中の学生のおしゃれ(相良次郎)
空きビンを持ってクリーム買いに(樋口康子)
ガラスナイロンのストッキング(坂口和子)
ファンデーションのはしり(森下真理)
自分で工夫したリボンのおしゃれ(森下真理)
端布で作った造花のブローチ(森下真理)
八掛から絹のブラウスを作る(佐久間ユウ)
パーマ
電髪から淑髪へ(角川千枝)
戦中・戦後美容院繁盛記(諸井ふみ)
木炭持参でかくれてかけたパーマ(田中美代子)
*非常時の冠婚葬祭
結婚式
戦時中田舎で最後の豪華な結婚式(角川千枝)
「非常時だからつましく」(栗原好子)
モンペと国民服の結婚式(小谷みつ)
三越で挙げた終戦直後の結婚式(江川洋子)
五百円の結納金を用意して(清水正平)
もち米で嫁入りダンスを揃える(浅川あい)
本膳にはアジの尾頭つき(岡田晴雄)
落下傘からウェディングドレス(城昭子)
葬式
英霊を迎える葬式(矢沢美枝子)
一晩中トントン棺を打つ音が……(上杉泰雄)
あらかじめ作っておいた棺桶(降幡環)
唐草模様の風呂敷に包まれて(原良枝)
三つで逝った長男の葬儀(岡田晴雄)
桑の根っ子を持って火葬場へ(鈴木哲夫)
*雨風さえしのげれば
住宅
住宅難の中を転々と(清水初代)
三畳間に五人で寝る(伊藤一男)
紙でふいた屋根の家(面川弘之)
家賃三十六円也(村野三夫)
紙ガラス張りのタダのアパート(村井孝夫)
宝くじで家が建つ(角川千枝)
しるし半天を畳のヘリに(森下ふく)
鉄カブトで作ったこたつ(城昭子)
手作りのスイートルーム(森下真理)
燃料
松ボックリで炊いたご飯(岩原タカ)
ガスの使用制限(清水初代)
線路ぎわのボタ拾い(川添末子)
燃えるものはみんな燃料に(江川洋子)
ヤミ木炭とソダの抱き合わせ(小川滋子)
オガクズで風呂をわかす(小川滋子)
ヤミ炭をたよりに(斉藤きく)
マッチ
古はがきで作ったつけ木(小川滋子)
硫黄マッチの配給(清水初代)
マッチの代わりに太陽光線(矢沢美枝子)
停電
アセチレン・ランプ(城昭子)
ロウソクでしたお見合い(角川千枝)
風呂
風呂屋にいってカゼをひく(坂口和子)
電車に乗って銭湯へ(村田澄子)
焼け跡のヒト様のタイル風呂(清水初代)
イモを洗うような銭湯(斉藤きく)
便利なドラム缶風呂(小林香代)
*ラジオ・新聞利用法
ラジオ
こっそり傍受した海外放送(新村秀男)
家族中で四球ラジオにかじりつく(木島茂子)
ラジオを抱えて防空壕へ(畑中泰代)
ラジオ修理で飢えをしのぐ(山口善幸)
新聞・雑誌
読む暇なかった新聞(西原喜代)
行列して買った駅売りの新聞(篠崎信吾)
当時の新聞に胸しめつけられて(江川洋子)
新聞記者をめぐる二つのエピソード(村井孝夫)
魚の包み紙用のまとめ買い(結城義之)
新興新聞記者時代(高橋敬明)
満員だったニュース映画館(森下真理)
むさぼり読んだ『紺青』(森下真理)
回覧で活かせ一冊を百冊に(大石俊幸)
*生きるために……
ヤミの女
立川基地の女(清水初代)
普通の娘さんも……(高宮夏子)
蝶結びのネッカチーフ(坂口和子)
アンゴラウサギのセーターで(伊藤一男)
*酒とタバコ
酒
心ウキウキ並んだ国民酒場(村井孝夫)
すえた臭いのカストリ焼酎(根上英生)
ただ酔うためにバクダンを飲む(根上英生)
怪酒・ヤミ製ウイスキー(大滝元晴)
高級カクテル・ウメ割り(服部利三)
有楽町のカストリ横丁(伊藤一男)
薬用アルコールで作ったお酒(坂本勝子)
「目散る」アルコール(江村直彦)
クミチンキ薬でげすと医者がいい(小川滋子)
たたみの下のどぶろく(坂口和子)
タバコ
いろいろ工夫したタバコ(清水初代)
家族中が協力してタバコ作り(坂口和子)
「禁煙事務室」(山田康)
のり巻の要領で(小川滋子)
まぼろしのフキの葉(津布久洋子)
ヤミモク、シケモクでがまんする(鈴木慶一)
洋モクに文化の差を感じて(村井孝夫)
*わずかな楽しみ
うた
ひどく悲しい『海ゆかば』(森下真理)
今も口ずさむ女学生時代のうた(矢沢美枝子)
涙でうたった山崎部隊の歌(宇野栄一)
勤労動員の最中に恋のうた(坂口和子)
つまらなかった愛国百人一首(坂口和子)
楽しかった軍歌演習(大和武平)
あこがれの童謡歌手(三宅直子)
NHKのど自慢(三宅直子)
娯楽
寮を抜け出し最後の演奏会へ(二宮彩子)
手に入った唯一の楽器 木琴(城昭子)
非難の的のバイオリン(小沢三枝)
お腹をすかして芝居見物(諸井ふみ)
東京で最初のダンス教習所(坂口和子)
高下駄はてクィック、スロー(横山けい)
竜宮城のような連合軍クラブ(村井孝夫)
映画
岩波文庫の星二つでロマンの世界へ(森下真理)
映画館の顔パス(松野節子)
すてきだったラブシーン(坂口和子)
旅行
入隊前に最後の旅行(栗栖太郎)
お米持参の新婚旅行(城昭子)
編纂を終えて(伊藤一男)
戦中・戦後 暮しの年表