昭和天皇とラストエンペラー
はじめに 満州国皇帝溥儀とは何だったのか
唯一の望みは清朝復辟
現状打破としての満州事変
溥儀の思惑、関東軍の思惑
二度の訪日から日満関係を読み解く
*
第一章 復辟への道
「優待条件」の下での清朝皇帝退位
大陸浪人、川島浪速の満蒙独立工作
大隈内閣と反袁世凱の第三革命
満州事変、「矢は既に放たれたるもの」
満州領有から満州独立への転換
土肥原賢二、溥儀の天津脱出を説得
蒋介石の「資金」か関東軍の「玉座」か
*
第二章 満州国建国
昭和七年三月一日、満州国成立
執政は「皇帝の玉座に通ずる階段」
満州国特使派遣、日満皇室交流の始まり
小磯参謀長、満州国指導方針に物言いをつける
国体変更と熱河進出への期待
*
第三章 皇帝即位
龍袍ではなく大元帥の正装で即位
秩父宮の御差遣が決まる
溥儀から訪日応諾の言葉を引き出す
桜の観賞よりも神社仏閣の参拝を
*
第四章 溥儀訪日
旧態依然たる専制君主
吉岡安直、帝室御用掛となる
民国武官の帰国、大衆への啓蒙、天皇機関説
威風堂々の連合艦隊に驚く
貞明皇太后の心配りと御製二首
「宮方とのお別れは実に辛かった」
*
第五章 回鑾訓民詔書
「天皇と私の心持は一つである」
溥儀、詔書案を大幅に修正する
訪日で何が変わったのか
*
第六章 関東軍の「内面指導」
馬賊上がりの後継総理、張景恵
溥儀と婉容、溥傑と嵯峨浩
第二期五ヵ年計画の段階を迎える
林銑十郎陸相の渡満、「内面指導」の強化
二・二六事件の余波で辞任した南軍司令官
*
第七章 建国神廟
皇紀二千六百年記念祝賀のために
再訪日に熱心な関東軍、及び腰の宮内省
「努めて簡素を旨とする」
「建国神廟を創建したき念願であります」
満州国側が用意した「神鏡」
報恩感謝の念をもって天照大神を祀る
永遠の皇帝退位
*
おわりに 東京裁判証言における溥儀の真意
「父祖の地である満州にかえった」
天皇との繋がりを求める
かぎりなく「融合」したはずが
*
あとがき
参考文献