図書イキテ アイシテ000049527

生きて愛して

サブタイトル1~10
目で聞いたもうひとつのヒロシマ
編著者名
仲川 文江 著
出版者
ひろけん(広島県手話通訳問題研究会)
出版年月
1989年(平成1年)8月
大きさ(縦×横)cm
21×
ページ
178p
ISBN
NDC(分類)
916
請求記号
916/N32
保管場所
閉架一般
内容注記
和書
目次

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推薦のことば

第一章 悲しゅうて情のうてうれしゅうて(掛谷長助さん)
広島で生まれて
小舟にのって盲の生徒の手をつないで学校へ
ガラス工場と大工へと
娘の死の悲しみ
手から火がでた八月六日
私を見つめる目、私の妻
十一年余の苦しいつらい原爆後遺症のすえに
十二名の合同位牌に誓う
そして、ろうあ協会のこと

第二章 紅蓮のなか空中をかきわける手足とともに(小林正治/千代子さん)
放蕩生活の末に
鉛筆削りの名人(?)
八月六日朝しんどうないか…
背中にアイロン、目の前にフラッシュの親玉
男も女もなく、ただ真っ黒な…
天までとどく炎、重なる死体
ひもじさ、恋しさ、かなしさ
原爆後遺症と聞こえないこと
死んだ子はやっぱり八歳

第三章 黒い雨の降るなか私の見たもの言えぬ苦しみ(浜田芳子さん)
幸せな頃と失聴と
空に浮いた二階建ての家
身体にあたる小石ほどの黒い雨
米つぶが泳ぐ食事
地獄と暑さのなかで
水、みず、みずとうめく声
身も心も切り裂いて
泣いて泣いて泣き暮らし

第四章 皮膚がはぎとられ眠った娘(松下輝雄/キリノさん)
中国で働いた日々
入院したため被爆しなかったが…
早く母も死に、ろう学校も行けなかったが…
赤い大きな玉と、えぐられた広島
死を思いながら生きつづける苦しみ
月日が身も心も

第五章 胸が潰れるほどの悲しさの中で(行田敏明・庫子さん)
考えられんお金つかったけれど
世界が広うなった手話
真っ赤に燃える火玉
八月八日市内に入れて
顔が剃げとられとる
命だけ助かったと喜んだのに
水をあげると死ぬ姿に
地獄の中を
何んもかんも不足した時代
どれをとっても恵まれましたが…

第六章 新しいいのち私のいのちみんなのいのち(菊岡敏子さん)
八ヵ月のお腹の子をかばって
見られるさまじゃなかった
六人のろうあ者はどこに
生きていることが不思議
一人で留守が心配
ホームで気の張った日々
健聴の人たちに少しでも

第七章 スパイにさせられたが今生きる(国井正男さん)
スパイにさせられ裁判に
放浪のすえに

第八章 雨がふると食べられんので母は…(福島利彦/イトミさん)
入れるもののない弁当
身体が弱って広島へ
オレンジの空と弟の圧死
御幸橋附近には
つっかい棒で支えた校舎
父の死と赤貧の生活へ
黒、赤青の雲と降る夏
あれはいけん
そして、夫婦の会話

第九章 寒さ、空腹、雪のつらさそれ以上のこと(黒川トモエさん)
つくしてくれた次姉
一度も家に帰ることもなく
寒さと雪のつらさ
みられぬほどの重傷の母
泣き泣き水を
猛反対の中で結婚
無の状態で

第十章 樺太望郷(三上キミエさん)
瞼の風景、生地樺太
初めてみた手話
敗戦とソ連兵
第二のふるさと広島に
第十一章 手話って書けた嬉しさよ(三上良夫さん)
父への反抗
手話と文字と友だちと
光も音もない被爆
無国籍者になっていたとは
免許と猛勉強

あとがき