唱歌教材で辿る国民教育史
はじめに
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第一章 唱歌は、明治新時代の歌声だった
伊澤修二とメーソンの作詞・作曲活動
伊澤修二
本邦初の唱歌集とその歌曲
当時の世相と政府の危機感
西南戦争の余韻
手まり歌
抜刀隊
孝女白菊の歌
唱歌が煽るナショナリズム
ノルマントン号沈没の歌
外征勝利気分先取り歌の流行
天皇絶対制国家を印象付ける唱歌
神国日本の誕生を祝う歌
学校は神域となり、多くの式歌が制定された
君が代
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第二章 唱歌の新作ブーム
新しい唱歌集の発刊
新進作詞・作曲家たちとその作品
学歴エリートの愛唱歌
軍人賛美の唱歌
教科書の国定化と文部省唱歌の誕生
教科書の国定制は日露戦争開戦の直前、一気に行われた
文部省唱歌の誕生とそのステップ
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第三章 文部省唱歌は修身・国語・地歴の補強科目だった
子どもたちが教え込まれた神代の神々
高天原の神々と、国の肇
教科書の神話は、日本武尊と草薙の剣に及ぶ
皇国民意識の高揚による外地進出の正当化
日露戦争後の世相
皇統関連教材の変遷
自己犠牲と挫折の美化教材
戊申詔書と地方改良・報徳運動
歴史・地理・古典の教材補強例
史跡案内の「鎌倉」
平安宮廷の才女たち
合戦の武将
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第四章 大正以降昭和の太平洋戦争がおこるまで
大正時代
明治の残響、乃木絢死の衝撃と明治神宮造営
子どもたちが歌ったのは文部省唱歌だけではない
大衆的洋風歌謡ブーム
昭和一桁時代
明治想起教育
農本主義の強調による都市的退廃対策
ミリタリズムと厭戦歌謡
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第五章 子どもたちが愉しんだ学校では教わらない歌
地方の俗謡
浅間山の噴煙の流れ方
地域の盆歌 松本地方の「ぼんぼん」
松本地方のどんど焼きの歌「さんくろう」
戦争中の子どもたちが歌った歌
軍国歌謡の大洪水
統制経済と貨幣価値の下落を歌う
生活難の悲鳴
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第六章 国民学校の少国民時代
太平洋戦争下の子どもたち
少国民も緒戦の四か月は破竹の進撃に驚喜した
尊皇攘夷の昭和版
本土決戦体制下の少国民
国民学校の終焉
敗戦直後の子どもたちの歌声
戦後の文部省唱歌は、擬音歌い込みを誘ったのだろうか
戦後の国定教科書に残り、さらに検定制の共通教材になった曲
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後記