岩波講座アジア・太平洋戦争 6
刊行に当たって
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まえがき
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I 破壊される地域/組織化される地域
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地域の中の軍隊(河西英通)
はじめに/手繰り寄せられる地域/帝国軍人を自覚する日/地域の変容と軍事の陳列化/軍事的空間の拡大/おわりに──せめぎあう地域と軍隊
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地域・疎開・配給──<都市と農村>再考(黒河みどり)
はじめに/「都市と農村」の対立/“他者”からの問い/内国植民地・植民地・占領地を問い直す/むすびにかえて──引揚げと戦後
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空襲と地域(大岡聡/成田龍一)
はじめに──空襲論の系譜と論点/「外地」の防空と空襲/「地域」の破壊/「地域」の復興/おわりに
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II 日常と非日常の間
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子どもたちの戦争、子どもたちの戦後(大門正克)
はじめに/『週刊少国民』の世界/本土と占領地の子どもたち/子どもたちの戦後と戦時/おわりに
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消費、生活、娯楽の「貫戦史」(アンドルー・ゴードン)
問題設定──貫戦期の生活史/戦前という基準線──一九二〇年代のマスメディアと近代的な生活/戦争への道と消費社会の波/戦時の近代と消費社会の矛盾/戦後復興の中の消費社会/おわりに──貫戦から戦後へ
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破壊される心と身体(生瀬克己)
はじめに/「障害」のある身体と戦争/国民生活の窮迫と障害者の現実/戦争の激化と障害者イメージの特徴/学童疎開と障害児/防空体制下の障害者/おわりに
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傷痍軍人・戦争未亡人・戦災孤児(植野真澄)
はじめに/戦争と銃後の人々/戦後復興の中で/おわりに
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III 意識の中の戦争
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民衆の戦争体験と戦後──「草の根のファシズム」再考(吉見義明)
はじめに/ある開業医の戦中・戦後──伏見陸軍部隊軍医の場合/ある民間知識人の戦中・戦後──東京・西馬込隣組役員の場合/ある徴用工の戦中・戦後──大阪陸軍造兵廠工場掛試製兵器製造班員の場合/ある若者の戦中・戦後──大阪市電車両工場職員の場合/おわりに
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抵抗の宗教/協力の宗教──戦時期創価教育学会の変容(島薗進)
はじめに/創価教育学会の発展と戦時下の信仰生活/取締りの経過と理由/牧口常三郎は天皇崇敬を肯定したのか?/抵抗と「新体制」/大衆自立思想と排他主義的信仰
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戦争のフォークロア(岩田重則)
折口信夫の「未成霊」学説/戦争のフォークロアの課題/家の動揺/神々の氾濫/「未成霊」をもどす
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「鬼畜米英」論(川村湊)
日米アニメ戦争/桃太郎と鬼畜/日中アニメ戦争/日米架空戦記の世界/「紀ノ上一族」の悲劇/鬼畜爆弾・悪鬼爆弾/羊と狼の世界
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IV 復元/創造された戦争
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戦争資料のリアリティ──モノを媒介とした戦争体験の継承をめぐって(金子淳)
戦争資料の「語り」/戦争資料のひろがり/モノによる戦争の表象/
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聖戦の図像とその後(川村邦光)
視覚史料としての聖戦の図像/聖戦に降臨する現御神・天皇の図像/聖戦に殉ずる皇軍兵士の図像/敗戦後、聖戦アイコンの痕跡/
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沖縄戦をめぐる聞き書きの登場(島山淳)
はじめに/放置された戦場体験/聞き書き記録の登場/語りと記録のはざま/おわりに