語りつぐ昭和史 2
二・二六事件前夜(和田日出吉)
暗黒の時代 栗原中尉との出会い 「番町会」を暴く 国家改造運動について一問一答 「日本評論」の発売禁止 渦中の三宅坂を通り過ぎる 総理官邸一番乗り 「蹶起趣意書」 静かに『唐詩選』を読む少尉 凄惨な官邸内部 憲兵の取り調べを受ける 処刑直前の手紙
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満州国の興亡(片倉衷)
満州建国の意義 ロシアとの交渉 日本との交渉と特殊権益 応変の準備 中村震太郎大尉事件 事変の突発と関東軍 深夜の決断と事変解決の方向決定 事変の進展と建国運動の展開 満州国の建設 三大国策の確立 諸外国との関係 建国の成果 おわりに
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天皇機関説=統帥権の干犯も含めて=(神川彦松)
五十五年戦争 人類文明の大転回期 国粋主義と欧化主義の論争 天皇主体説か天皇機関説か 上杉・美濃部の憲法論争 美濃部博士の『憲法撮要』 明治憲法第十一条と第十二条 全体主義体制について 軍令大権と軍政大権 惟幄上奏権の問題 ロンドン会議と統帥権干犯問題
ワシントン条約廃棄と天皇機関説・国体明徴問題 危機の時代のチャレンジに対するレスポンス 核時代の人類
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五・一五、二・二六事件(横溝光暉)
両事件の共通点と相違点 五・一五事件当日 犬養首相ついに薨去 誤解された森書記官長 二・二六事件当日 岡田首相の生存 内閣総理大臣臨時代理 岡田首相の官邸脱出 本郷から下落合へ いよいよ参内 松尾大佐の遺骸搬出 岡田首相の生存発表
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転向をめぐって(鍋山貞親)
話のいとぐち=転向とはなんぞや 強制された考える生活 今とは違う昔の共産党 当時の激動的な内外情勢 激流に抗する共産党の戦い 共産党の反戦闘争=自国敗戦 天皇制打倒の新綱領=三二年テーゼ 自国敗戦主義の反省 天皇制についての開眼
決意のきっかけ=銀行ギヤング事件 割り切る思想の非人間性 獄中より声明発表 若干の要約と補遺 質疑応答
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人民戦線事件のころ(佐々木更三)
人民戦線事件で検挙される “講座派”と“労農派” 全国大衆党の結成と軍部の大陸侵略 峻烈をきわめた拷問 保護監察下に迎えた終戦 日本社会党の創立 国際経済社会の将来 アラブに匹敵する中国の石油資源 今も生き続ける人民戦線 「日中平和条約」へ
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国家総動員法(岡田菊三郎)
はじめに 第一次大戦の産物、軍需工業動員法 総動員法の制定に陸軍が動き出すいきさつ 諸外国の実例 国家総動員法は絶対に必要なものだったか
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満鉄(伊藤武雄)
満鉄のイメージ 二十世紀前半に存在していた「一事物」 満鉄誕生 日露戦争の外交 営業開始 「満鉄王国」と後藤新平の構想 中央組織と付属地の性格 利潤の源泉=四億(、、)の労働者 満州における競争的国際分割
日露協調と抗日闘争 営業成績と社員・嘱託・重役 満鉄の技術評価 結びと質疑
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関係略年表
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装幀(多田進)
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図版(吉沢家久)