科学大国アメリカは原爆投下によって生まれた
はじめに
プロローグ
第一章 真空管ラジオ少年の情熱
原爆計画の生みの親
一〇〇%のアメリカ人
ナイーブさと剛胆さ
ベンチャー起業家の走り
工作の快楽
第二章 巨大な危機が近づいてくる
孤立主義に抗して
恐るべき牧師の息子たち
危険な研究
新大陸へ渡った発見
兵器開発という聖なる職務
アメリカの核研究とサイクロトロン
アインシュタイン書簡
原爆研究機関の設立
核分裂研究への接近
開発計画を立ち上げたのは誰か-アインシュタインとブッシュ
第三章 原爆製造はほんとうに可能か
軍産科学を結びつける
ルーズベルトへの嫌悪と敬愛
独特な軍事科学研究組織
原爆製造の可能性はとても低い
ドイツとの競争
困惑の日々
孤独なオルガナイザー
必要なのは原爆製造が可能か、ではなくて、いつできるのか
第四章 「これは博打(ギャンブル)だ」-責任の所在不明で着手される原爆開発
ペニシリンから原爆まで-科学研究開発局の発足
プルトニウム爆弾の影
イギリスからもたらされた決定的報告
あまりに不確実な原爆開発-ブッシュの不安
原爆プロジェクト最高政策決定機関の設立-共有される「責任」
高価な賭け
第五章 マンハッタン計画の誕生
開発組織の強化
シカゴ放射能汚染の危険と隣り合わせの連鎖反応制御
すべての方法を試せ
大きな落とし穴-軍との確執
グローヴズの登場
そんなに速くお金を使えません
難産の原爆製造
第六章 パワー・ポリティクス
アメリカとの協力に躊躇するイギリス
イギリスとの協力に躊躇するアメリカ
問題のイギリスの企業幹部の訪米
当初からソ連にたいする武器と考えていたイギリス
ルーズベルトの奇妙な態度
二枚舌の大統領
チャ-チルとの対決-ダウニング街にて
巧妙な「手ちがい」
剛腕科学官僚とケベック協定
イギリスの巻き返し
情報の流出とスパイ事件
「疑いもなく不適当な提携相手」のフランス
第七章 ルーズベルトの死
ドイツの「原爆の影」におびえた人々
ハイゼルベルクの謎
原爆の亡霊の向こう側
用途不明の巨大な兵器
大統領に顧みられない戦後政策の立案
ボーアの戦後政策
ハイドパークの英米首脳会談
ルーズベルトへの不信
疲弊した人々
第八章 民主主義体制下の秘密計画
何も知らない新大統領
頭痛のたね
シラードとブッシュの対決
もう一人のブッシュ
使われた二〇億ドルのゆくえ
原爆投下は誰のため?
第九章 原爆投下
科学者間の亀裂
いばらの道
日本への原爆投下の是非と事前警告
核の国際管理
原爆投下という「スペクタクル」
スターリンの反応
原爆投下
原子力についての判断をゆだねたスマイス報告
第十章 原爆の補償装置
「脳の延長」の装置
迷走するエッセイ
怒るブッシュ
世間の科学観のドラスティックな変化に抗して
「しかるべきとき」を待つ
「奇妙な破壊兵器」とのバランス
第十一章 自由世界の守護神
軍産科学複合体制の確立
科学財団設立をめぐる争点
原子力委員会と科学財団は両方の天秤
哀れな法案-混迷する原爆管理
「一個の罪悪だ」-若い科学者たちの激しい反発
第十二章 科学官僚のたそがれ
原爆の国際管理-宙ぶらりんの大統領顧問
常軌を逸した首脳会談
振りまわされるブッシュ
「しろうと」あつかいの首脳陣
バルーク国連原子力委員会アメリカ代表との対立
大物科学官僚の末路
第十三章 超保守主義のイデオローグ
トルーマン政権からの離脱
必要悪としての政治権力
スプ-トニク・ショック-原爆とコンピュ-タ-
粗大ごみになった「新時代のマシン」
ロズウェルのUFO神話に登場させられたブッシュ
原爆を使うことに微塵のためらいもない
デマゴーグの誕生
軍の広告塔
水爆-はじまった核開発競争
第十四章 科学技術を超えて
フランケンシュタイン・マシン
超感覚知覚への関心
記憶の遺伝
遺伝をめぐる東西対立
「道筋(トレール)をたどること」への関心
科学を超えたもの
蘇える「メメックス」
エンゲルバートとシリコンバレー
歴史に残るデモンストレーション
エピローグ
註
参考文献
年表
あとがき