スタジアムの戦後史
はじめに
第一章 後楽園球場-稀代の興行師・正力松太郎の呪縛
砲兵工廠跡地に建てられた待望の球場/自前の球場を持たなかった正力松太郎/太平洋戦争と後楽園球場/二ヵ月で解除された占領軍の接収/別所引き抜きと三原ポカリ事件/
シベリアから帰還した水原茂/禁欲主義の対極にある空間/テレビ放送開始と長嶋入団/最初で最後の天覧試合/総合的なアミューズメントゾーン/
テレビと後楽園球場の蜜月/長嶋引退セレモニーと球場のスタジオ化/日本初のドーム球場/色あせる多目的ドーム球場の魅力/天然芝志向の選手たち/
東京ローカルに戻れるか
第二章 両国国技館-相撲界の悲願と昭和天皇の祈り
風船爆弾の製造工場/「占領軍慰安大相撲」と横綱双葉山の引退/メモリアルホールと改称/二つの仮設国技館/テレビ中継と「栃若時代」/「柏鵬時代」の到来/
相撲界と両国/日大全共闘のマラソン大衆団交/春日野理事長の執着/新国技館の静寂/還暦記念の土俵入り/昭和天皇、最後の相撲観戦/海外出身力士とチカラビトの伝統
第三章 川崎球場-高度成長を支えた労働者の「遊園地」
「三つのスタジアム」が密集する都市/若い労働者の町/作家・久米正雄と社会人チーム/アマチュア野球のメッカ/高橋ユニオンズ/名将・三原脩と川崎球場の黄金時代/
横浜新球場建設と新しい婿探し/工業都市の変貌/伝説のダブルヘッダー「一〇・一九」/再生への道はあるか
第四章 日本武道館-「国粋」と「国際」の間
伝統と国際化の相克/超党派「武道会館建設議員連盟」/公営競技の補助金に目をつけた正力/松前重義と設計コンペ/山田守の建築思想/外国人に評価されたデザイン/
「プールを柔道会場に」という奇策/「武道館はオリンピックのために作るのではない」/猛烈な突貫工事/ビートルズがやって来る/
「不良の音楽」と「神聖な武道の殿堂」/ボブ・ディランのお墨つき/柔道と剣道、二つの道/若いアーティストの通過儀礼の場/『大きな玉ねぎの下で』
第五章 東京スタジアム-「ラッパ」と呼ばれた男、永田雅一の栄光と挫折
ラッパと呼ばれた財界の名物男/不運つづきの球団オーナー/優勝監督・西本幸雄の解任/河野一郎らのバックアップで球場建設/下町の住宅街にある「夢の球場」/
後楽園とは違う観戦スタイル/いまだ破られていない五者連続本塁打記録/「長谷川一夫」と飯島秀雄/映画の時代の黄昏/ロッテへの売却と破産宣告/
「夢の球場」の終わり/「地域密着」とオーナー経営者/ワンマンの純情
あとがき
主な参考文献
関連年表