新聞小説史 昭和篇2
I 永井荷風の「墨東綺譚」-木村荘八の挿画物語-
「朝日」荷風のすれ違い
「朝」「読」の荷風詣で
「終日執筆更に倦まず」
原稿料をめぐって……
運命を賭けた名挿し絵
単行本と新聞のちがい
「新聞記者は応待せず」
「意外に当り候」
『朝日』岩波に敗北
モデル、種田政明
荷風門弟、邦枝完二
II 文学統制と新聞小説-小汀利得と子母沢寛-
連載物の花畑の中に
鏡花調か雪岱調か
情感を盛る線描
小説に口出す社長
清方から雪岱へ
戦時下の大衆小説
「新選組始末記」
「内職はよし給え」
退社の動機「城戸事件」
育ての親・小汀利得
編集局長と作者の意気
III プロ文学と小説の神様-片岡鉄兵と横光利一-
「恩に酬ゆる気持」
浪人して知る淋しさ
社会部長、バーで夜勤
「時の敗者」の成功
紫煙に浮ぶ鬼気の形相
新聞とプロレタリア文学
片岡鉄兵の器用さ
社会主義的新感覚
市井・人民・武田麟太郎
プロ文学の星雲期に
「小説の神様」登場
純文学の通俗小説化
森敦「酩酊船」の経緯
“神様”の大旅行
騒然、人民戦線のパリ
文豪荷風と競作
IV 川口松太郎と岩田専太郎-鈴木庫三少佐の「威力」-
七十九歳の筆力
懸賞小説で生活
久保田万太郎に就く
記者と作家の食い違い
岩田専太郎の幸運
映画と川口松太郎
三益の楽屋で一回分
名作の裏がえし
軍部に睨まれる
時局認識の旗印
V 丹羽、石川の戦争受難-傷だらけの新聞小説-
「よっしゃ」と連載
十万枚を越える筆力
情報局に睨まれる
相次ぐ発禁執筆停止
発行停止で脅迫
戦争と作家の眼
「生きている兵隊」の報道
したたかな文士根性
叔父石川六郎の助言
傷だらけの新聞小説
「題も小説のうち」
「風にそよぐ葦」
残虐極まる横浜事件
小説連載の間合い
人間と社会への祈り
VI 林芙美子への待遇-張り合う『朝日』『毎日』-
雑誌社の放浪記
連載終って安来節
新聞連載の記念品
身体で読む新聞小説
「めし」に尽きた花の生命
新聞小説の舞台裏
新聞社に好かれる
新聞とつき合う法
芙美子を嫌った『毎日』
「うず潮」から「めし」へ
VII 吉川英治と大仏次郎-デビュ-から鍔ぜり合い-
大仏次郎V.S.吉川英治
「宮本武蔵」論争
「作家だから小説で書く」
若者を支えた人間像
入れ替わる大仏と吉川
インテリ絶賛「赤穂浪士」
吉川=デューマ、大仏=ユーゴー
伝奇を貫く二つの流れ
大家がほめた作品
通行証は「鞍馬天狗」
VIII 戦争教科書「宮本武蔵」-「読売」は「太閤記」を獲得-
本位田又八のモデル
吉川文学は国民文学か
空想と現実、偶然の暗合
戦争の影響「国民文学」
「労苦と歓喜を一つに……」
執念の「新書・太閤記」
吉野村通いの三年間に
「新・平家物語」由来
歴史学と文学の間
「私本太平記」の構想