伊賀流忍術伝
1
忍術の稽古
猿を伴れて奥山へ
猪がバツト消えた
五十年来工夫した兵糧だ
この位出来れば怖れるものは無い
2
箕作城下の首斬
君父の敵山住主膳
首を斬つて城門に梟す
召捕たものは加増
腐甲斐無い奴
命あつての物種
3
箕作城内の騒
曲者召捕の高札
仙人が淵へ山狩
是より奥へは這入れません
無数の猿がひきかく
4
城主の出陣
主膳の身体が宙を飛ぶ
死骸をつゞらの中へ入れてポン
二百人を引連れ自身出馬
押え付たのは大石
5
六角家再興
玄蕃を宙に吊るす
乞食の着物と着更へさせた
焼場小屋へ頼む
怪しい乞食牢内へ投り込め
6
毛受勝助の不覚
大小の中味を天井へつるす
毛受勝助だ
この家には魔法遣が居る
三十人裸体で珠数繋ぎ
7
主家再興に尽力
秀吉公に目通したい
上々首尾で退出
松の木蔭に待伏せ
押えつけたのは石灯篭
貴様も飛上りだ
8
両名人の術比べ
甲賀流忍術の大名人
茶菓子は石茶は千振
空中で大鷲と大蛇の争ひ
伊賀流と甲賀流
9
悪者を膺懲
立合が出来なけりや娘をかせ
料理屋へ一緒に来い
三十両の金が木の葉
有金を賭仕合で取られた
10
不思議な気合
天下無敵飛入十層倍の賭
この鉄扇で相手致す
此方から踏み倒す
山家に美くしい女
11
石川五右衛門と面会
二升の酒が七杯で終つた
乃公は由緒正しい武士の果
貴様に過ぎた女房
乃公は盗賊が嫌に成た
12
明智三羽烏の一人
火遁の術だけ授けた
五右衛門の末路
豪傑が追剥に落ぶれた
鳥の様な奴だ
天下のお尋ね者
13
忍術を譲るべき豪傑
七尺有余の大男
忍術なんと怪しい看板
押えつけたのは羽織
パツと切りつけて見れば天然石
14
希代の豪傑
酒はあびる方
互角で飲まう
師弟固めの酒宴に一斗二升
才蔵チヨイトひねつてやれ
15
五右衛門と面会
貴様位の腕は無い
五右衛門に逢たら懲してやれ
無暗と仕官するな
千両箱が消え失せた
16
殿下上覧の忍術
両忍術名人の結義
忍術の極意を見せてやれ
握つて居る微塵丸
数十百匹の鼠
17
真田幸村に面会
これが清海入道
キリキリ舞を初めた
泉水の中へポン
誰れに打れたか分らない
これも味方だ
18
大阪城訪問
六角家随一の美人
大変女がだんだん傍へ
成程物堅い男
刀に掛けた縁談
パツと消える
19
駿府城へ出向
天地間に分らぬ事はない
随身ではない相談相手
重大な任務
金屏風へ書置き
英雄の終