この国のなくしもの
- サブタイトル
- 何がわれらを去勢したのか
- 編著者名
- 野坂 昭如 著者
- 出版者
- PHP研究所
- 出版年月
- 1997年(平成9年)8月
- 大きさ(縦×横)cm
- 20×
- ページ
- 308p
- ISBN
- 4569557228
- NDC(分類)
- 914
- 請求記号
- 914/N97
- 保管場所
- 地下書庫和図書
- 内容注記
- 昭和館デジタルアーカイブ
まえがき
指導者不在の時代、せめて親は子供の規範であれ
かつて男の夢は指導力ある一群の頭目
天下人三者のリーダー的資質
明治時代以降、わが国にリーダーは不在
天皇絶対を完成させたのは暴力集団「軍」
責任感ある指導者が育たない理由
愚鈍なリーダーの下、大日本帝国は崩壊した
各分野に規範となる人物がいるべきだ
「軍国少年」と「少女売春」、いったいどちらがまとものなのか
戦時色のうすかった昭和十年代前半
「一億火の玉」をいったい誰が信じていたのか
思いきり自由だった「軍国少年」
目前の死をひかえた、それぞれの生
かりそめの「豊かさ」は若者への爆弾
戦時中は今よりもっとふつうだった
たった一つの敗戦が日本をリビドー低下国にした
「戦後」はいつ終わったのか
高度経済成長がぼくを社会派に変えた
今の日本を見直せば世の中すべて「去勢」状態
敗戦で農業と文化を失った日本の行く末
性的情報が氾濫するなか、男は幼児化、女は影絵に
もし違う負け方をしていたら……
他国を責められぬ日本の核事情
フランスの「シテデュリーブル」に招かれて
核実験で消えた日本文化芸術祭
後始末を他国にまかせ核開発に猛進中
アメリカの核持ち込みを黙認した日本人
日本に核武装させないために核で守る
ぼくにも少しはフランスとの縁がある
言葉を失った日本民族の崩壊
歌詞が伝わる往年スターの歌
子供は歌から豊かな日本語を体得してきた
ヨーロッパの国家を支えてきたのは国境と言葉
日本人には理解し難いプライドの高さ
国境を持たない日本人の言語習得について
戦時でさえ抽象的だった「愛国心」
自国語を身につけねば民族は滅びる
売春少女の未来は自立した強い女
最貧困層で感じた「生」の実感
時代にあわせて調子良く生きて来た
男女別学世代のぼくの女性遍歴
堅気の娘とつき合えぬまま世の中は中学生売春へ
女子高生の売春は自己確認の一つの手段
セックスを男と対等に楽しむ
子供造り放題、いい加減な男の話
ぼくの雑用係をしていたある男
女癖の悪さが露見した婚約問題
それでもなぜか結婚に至った
彼と関わりのある女性が次々と、登場
いったい彼に子供は何人いるのか
彼の心の在り方こそ男として正直なのか
コミュニティの確立こそ危機管理の基本
地震でわかったわが国の危機管理の現状
個人の力ではいかんとも為し難い
地震は天災だが運不運が前提にある
対処システムをつくる前に倒壊原因を究明すべし
子供のうちに身につけたい共同作業のコツ
個人の危機管理は近所づき合いから
老後への備えは蔵書の整理から
わが蔵書の内容は「差別」「天皇」「戦争」「昭和」
震災で散乱した蔵書が重荷に
夥しい量の衣類も整理
四十年以上昔を思い衣類をを質屋へ
手もとに残った生原稿の価値はいかに
防空カーテンで派手やかになった書斎の居心地
住専問題にもの申す
今どきの広告から察するサラ金事情
質屋の仕組みは日本の代表的文化
サラ金が市民権を得るまでの金貸しの役割
預けた金におっとりしている日本人
とりあえず「病院死」を拒否すべし
無意識にあるアニミズム
死を遠ざければ生の確かめもうすれる
ふつうの人間の二つの死に方
意志をまっとうした学者の死
現代日本での餓死は見事な死に方
高齢化社会は長く続かない
自分で自分の死を始末せよ
病院死を拒否して最大の遺産を遺すべし
母国語がおろそかになれば、即ち植民地
古典をテキストに日本語を学んでいたパリの学生
正しいフランス語を体得してこそフランス人
ぼくの日本語習得は古典・漢文から
語彙を豊富にさせた大人たちの会話
現代文学作品は教材にふさわしくない
豊かな日本語は世間から学べ
宗教ではない宗教に群れる日本人
日本人は自分を無宗教というけれど…
インテリの町神戸の宗教
祖母に学んだ「ホトケ」のしきたり
天皇教に「洗脳」されなかった子供たち
自分を支えるのは多くの「死者」
「あの世」思いわずらう日本人は宗教民族
孫たちの平均寿命
先行き暗い時代に生まれた世代へ
戦時中に乳呑児をかかえた母親たち
出生率の低下と、奇型の増加
背は伸びたが体が弱くなった現代人
子供の成育環境はますます悪くなるばかり
繁栄を築いた充足感とり孫の寿命を心配すべし
作家が群れた銀座文壇バァの酒の味
三十年前作家と編集者のつき合いは文壇バァから
ホステスのいるクラブに連夜通う
店の常連すべてが直木賞作家の新宿、四谷のバァ
銀座「ゴードン」の全盛と「姫」の出現
地下「まり花」の急な階段
小説雑誌と文壇バァ消滅の時代
「死顔」を観せることが成熟への必須条件
「死」に目覚めた日本人
「死」の流行は「生」への歪みのあらわれ
「死顔」を観ない若者たち
ぼくの死顔体験は十一歳
死は特別なことではなかった
妙な縁で立ち合ったある老夫婦の死
「死」への態度を変えた戦争
子供に死顔を観せよう
教科書問題に興味なし、親が勉強して歴史を教えよ
今も癖まで思い出せる小学校教師
中学教師はあえて真実を告げた
耳にやさしかった教頭先生の言葉
国家のために「死ぬ」を判らぬ軍国少年たち
自らの中学時代は軍国少年より勤労少年
教科書で培われないことを吸収した学校生活
教科書問題がピンと来ない理由
歴史は親が子供に伝えるべし
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