世襲について 芸術・芸能篇
はじめに-「監修のことば」に代えて(竹内誠)
序章 いま、なぜ世襲なのか-〝物から心へ〟の転換期に、真の熟成を(竹内誠)
〝伝統〟と〝創造〟が相俟ってこそ
芸道それぞれに家元制がしっかりと
もし世襲がなかったら日本文化は?
1章 芸にとって世襲とは-先達を超えんとする〝熱き想い〟が…(藤田洋)
技芸の継承とは〝形無きもの〟である
〝伝承〟は滅んでも、〝伝統〟は続く!
血筋か、実力か、それとも人気か…
かくして〝名家・名跡〟は生まれる
家を継ぐのは〝芸才〟に秀でたもの
2章 名門の強みはどこに-一家一門をあげて人(と芸)を磨き抜く(藤田洋)
純血の〝危うさ〟をも熟知して
「家の芸」と「襲名」が名家を支える
大名跡には常に至高の条件がともなう
千年余の歴史が醸し出す〝収まり〟のよさ
まず〝人間形成ありき〟の「芸は人なり」
伝統芸を継ぐ〝ひたむきな覚悟〟こそが…
3章 何を学ぶ、歌舞伎のそれに-悠久の時が〝代々の客と名優〟を育む(鈴木英一)
「襲名」と「追善」を二本柱にして
臨機応変に名跡を乗り換える〝柔軟さ〟
そこに〝攻撃的な世襲〟を見た!
芸の真髄は「稽古場」の中から
御曹司を〝蝶〟に育てる伝統の威力
4章 歴史的な課題を超えて-連綿たる〝文化の担い手〟としての自覚(鈴木英一)
時として世襲は〝結果責任〟が曖昧に
宿命的に〝芸〟と〝金〟とが併存する
芸という〝利益の継承〟には危険な側面も
まさしく〝秘伝書〟は人を選ぶ!
グレーシー柔術の盛衰に問題の本質が
創始者につながる連続性が家元制を存続
5章 〝美しき裏方〟の役割とは-名跡の〝橋渡し役〟は幾つもの顔をもつ(秋山勝彦)
梨園の妻たちは人知れぬ重責を担って
二人三脚で新しい夫婦像をつくり出す
名優を支え、後継者を育てた賢夫人たち
いま、伝統芸能への女性の新たな進出で
6章 次代へ向けて芸の継承は-競い合う〝血縁〟と〝芸縁〟のなかで(秋山勝彦)
襲名披露で示した〝血筋継承〟の真価とは
坂田藤十郎の復活に見る時代を超えた〝芸の力〟
こぞって逸材の発掘に、若手を徹して鍛える
革新の〝火付け役〟としての猿之助と玉三郎
あとがき(服部幸雄)