戦後日本病人史

序章　戦後日本病人史の構図
患者学（病人学）の登場
病人史の提唱
戦後日本病人史の特徴
資料をめぐる問題
「過去を忘れない者だけが、未来の主人公になることができる」
第１部　戦後日本病人史の諸相
戦争と病人
被爆者の戦後史
医学犯罪と病人史
経済復興期の病人
一般病の病人史の時期区分
感染症、栄養失調、人工中絶の時代‐対症療法から第一次医療技術革新の時代
第一次医療技術革新の時代
「細菌の逆襲」‐公衆衛生の軽視と運動
らい予防法廃止までの遠い道‐プロミンが開発されても生涯隔離続く
高度経済成長から成人病の時代へ
はじめに
成人病時代へ‐国民皆保険と第ニ次医療技術革新
がんと闘う病人
救急医療と病人
人工透析とともに生きる患者
成人病から老人病へ
医療費抑制政策と病人への影響
リハビリテーション医療の登場
戦後病人史のなかのリハビリテーション医療
リハビリテーションの黎明と病人像
リハビリテーションをはじめた病人たち
自立生活の流れ
入院リハビリテーションと病人
地域リハビリテーションと病人
妊娠・出産と乳児死亡・未熟児の動向
妊娠・分娩の戦後史‐少子化の歴史的背景
乳児死亡と未熟児の戦後史
少子化の問題
育児法の変遷と乳児
戦後の女性のライフサイクルの変容
はじめに‐病人史の視角から
女性のライフサイクルの変貌
多様化する女性のライフコース
多産多死から少産少死へ‐妊娠・出産・中絶・避妊の戦後史
事情のある妊娠・出産の場合
性革命と女性
高齢者の性をめぐって
産業構造の変動と社会病
社会病の戦後における系譜
職業病・労災と就労構造の変貌
公害による戦後病人史
薬害・医原病の多発とその背景
はじめに‐二重の犠牲を強いられた病人たち
第一次医療技術革新と医原病
予防接種禍の歴史
薬漬けの時代へ：国民皆保険と薬害
第二次医療技術革新と「医療の告発」
薬害エイズと九〇年代
医療事故の多発と被害者
「認定」と「補償」の責任論
病人史における社会病の「認定」と「補償」
「認定」制度のはじまり
社会病の拡大と「認定」問題
国・企業の巻き返しと国家賠償訴訟
国家賠償を求める病人たち
社会病の「和解」と戦争責任
精神障害者と「こころを病む」人びと
はじめに
戦中戦後の精神病者
分裂病の戦後病人史
「心の病」の戦後史
戦後の依存症の歴史
子どもの処遇‐変わりゆく家族の中で
「こころを病む人」の戦後史
幼児虐待とトラウマ
世紀末の精神状況から二一世紀へ
重症心身障害児（者）の歩み
重症心身障害児医療の黎明
ひととして生きようとする障害者に〝壁〟
光と影‐施策の歪み：重症も一八歳以上も受け入れ。しかし予算は少ない
障害者に対する〝見方〟
「障害者の権利擁護をすすめる」施設で働く福祉労働者
おわりに
寝たきり・痴呆老人の戦後史
「寝たきり老人」「痴呆老人」の登場
収容された老人たち
家族依存の在宅ケア
介護社会化への胎動と残された課題
難病患者の苦悩と挑戦
はじめに
難病とは
難病の患者運動の歴史
難病患者の実態
現在の難病患者
第２部　現代医療のパラダイム転換と病人・障害者
はじめに－第三次医療技術革新の特徴
脳死・臓器移植の軌跡‐心臓移植の提起した問題
南アのバーナード博士の心臓移植
日本の心臓移植で明確になった問題
医師が死期判定
臓器移植法の制定
臓器移植法の成立以降の移植例をめぐって
生体間移植の問題
人体部品ビジネスの国際化
医療のパラダイム転換の下での病人像は
性革命から生殖革命へ
人類の二大欲求‐〝生と性〟
性革命の実現過程‐〝性と生殖〟の分離へ
水面下で進行した生殖革命
女性の側からみた性革命・生殖革命
性、生殖の商品化・ビジネス化
脳死・臓器移植と生殖革命の共通性とちがい
二一世紀の死と生死観
心臓移植とホスピスを〝対〟で考える
死亡数急増の二一世紀
死への二つの道
現代医療の現場で‐〝スパゲッティ症候群〟と病人・家族
安楽死と二一世紀の死
ホスピスは建物ではなく、ケアの哲学と運動である
日本でのホスピスの動向
二一世紀の生死観
生死観と社会保障
情報技術（ＩＴ）革命・ゲノム革命と病人・障害者
情報技術（ＩＴ）革命・ゲノム革命の可能性と問題点
二一世紀にもちこされた医療・福祉の構造改革
ニ一世紀に期待される健康・環境技術
医療・福祉のＩＴ革命の動向
ロボット化と医療・福祉、病人・障害者
ニ一世紀はゲノム革命・遺伝子の時代‐ゲノム革命の二面性
国民、病人にとってゲノム革命とは何か
おわりに－生命倫理と生死観の再構築
社会保障国家への道‐病人史的視角から
二一世紀の科学技術の展望
社会保障国家への道
病人史の視角からみた国際連帯
あとがき
索引
図表目次あり