音楽界戦後50年の歩み
音楽界戦後の事件史
『戦犯戦争』をめぐって~山根銀二vs山田耕筰
新制音楽大学の問題点~邦楽科廃止論争
「サンデー毎日」事件~「音楽家クラブ」「日本演奏連盟」の結成
音楽教育の革新~芸大と桐朋音大の方向
交響楽運動、戦後の歴史~ある楽壇長の死
戦後音楽家列伝
作曲家
山田耕筰 音楽界を牽引、交響楽運動、歌曲、オペラの作曲で金字塔
信時潔 古謡、民謡をテーマに作曲、戦時下「街道東征」「海ゆかば」で時代を画す
守田正義 盲目の作曲家、「里子にやられたおけい」他の作曲、音楽評論への警告
吉田隆子 女流作曲家として活躍「君死にたもうことなかれ」他
塚谷晃弘 経済学者で作曲家、その自由人的活動で異才を放つ
芥川也寸志 新響、宮城フィルの育成、著作権の推進、作曲家団体の充実
塚原晢夫 希代の自己主張の音楽活動、ジュニア・オケ育成、「第九」指揮中に死去
矢代秋雄 アカデミズムと自己対決の作品を結晶、夭折した作曲家
武満徹 作曲家として国際的に活躍、邦楽器と洋楽器を結合、個性を創る
指揮者
山田一雄 戦後のオーケストラ運動を推進した指揮者
渡辺暁雄 半世紀に亘ってわが国のオーケストラを指揮、シベリウス、マーラーを紹介
北川剛 ロシア民謡をわが国に普及、国民歌の基盤を育成
石丸寛 九州交響楽団を育成、「五千人の『第九』を歌う会」促進
声楽家
柳兼子 八十二歳でリサイタルを開いた、女流声楽家の先達
浅野千鶴子 詩情豊かな歌唱でフランス歌曲、日本歌曲を絶唱
奥田良三 「歌はこころで歌うものです」声楽界を先導したテナー歌手
下八川圭祐 オペラ歌手として活躍、後年、声専、昭和音大を創立
伊藤武雄 オペラ歌手として活躍、歌曲、オペラの訳詞の功績
四家文子 日本歌曲の演唱一筋「波の会」を結成
関種子 日本歌曲の創唱、ベルクの「ヴォツェック」初演
ピアニスト
井口基成 戦後の演奏界を牽引したピアニスト
井口秋子 戦中、戦後のピアノ教育の先駆者
安川加寿子 女流ピアニストの第一人者として活躍
チェリスト、ヴァイオリニスト、ギタリスト
井上頼豊 独奏者として内外のチェロ作品を紹介、生涯に30回のリサイタル
巌本真理 天才ヴァイオリニストとして活躍、20歳で芸大教授となる
小原安正 一日10時間ギターを弾きっぱなし、名手セゴビアに学ぶギター界の先導者
箏奏者
宮城道雄 箏の世界に新世紀を開き十七絃箏を創る「春の海」他、協奏曲も作曲
舞踊家
石井漠 わが国に舞踊詩(モダン・ダンス)の道を拓いた舞踊家、世界で舞踊公演
ピアノ調律師
原田力男 無名時代の作曲家のプライベート・コンサートを53回開催した調律師
音楽評論家
大田黒元雄 百八冊の音楽書を執筆、洋楽導入の先達を果たす
野村光一 音楽評論家として一方の旗手、音楽コンクールの功績
堀内敬三 歌曲の訳詞多数、オペラ演出、音楽啓蒙の先駆者
山根銀二 戦後の音楽批評界の重鎮として活躍
武川寛海 軽妙な武川節で楽聖エピソード、名曲談を展開
宮沢縦一音楽界の仲介役、オペラ博士の見聞を挙げて執筆
大木正興 若手批評家の中核として活躍、鋭い筆致に定評を呼ぶ
ヴァイオリン指導者
鈴木鎮一 スズキメソードを確立、世界に普及、功績を挙げる
実業家、音楽後援者
大倉喜七郎 多くの文化助成、楽器オークラロの試み、一代のパトロネージ
徳川頼貞 明治、大正、昭和を通じて多面的な音楽パトロン
大原総一郎 大原美術館の会場で委嘱作曲のコンサートを開く
音楽ジャーナリスト
村松道弥 音楽・舞踊のジャーナリスト、70年の実績、音楽団体のまとめ役
桧山陸郎 若き日は文学青年、楽器界のプロモーターとして活躍
作詞家
加藤省吾 「音楽文化新聞」編集長「みかんの花咲く丘」他、童謡詩人
解説 戦後の楽壇史としての人物列伝(音楽評論家 石田一志)
あとがき