大日本史料　第３編之８

堀河天皇
長治二年
二月
一日　太皇太后、宇治ニ行啓アラセラル、
右少弁正五位下兼行右衛門権佐東宮学士文章博士藤原俊信卒ス、
四日　祈年祭、〇大原野祭、
六日　右大臣忠実、文書ヲ内覧ス、
八日　護持僧権少僧都公円寂ス、
九日　春日祭、
十日　彗星ノ出現ニ依リ、法眼勝覚ヲシテ、仁王経法ヲ侍従厨ニ修セシム、
率川祭、
法皇、法華御八講ヲ鳥羽殿ニ修シ給フ、
尊勝寺五大堂ニ於テ、五壇御修法アリ、
十一日　列見、
十三日鳥羽殿小弓合、
十四日　内裏ノ触穢ニ依リテ、園、韓神祭ヲ延引ス、
十五日　藤原清衡、最初院中尊寺ヲ陸奥平泉ニ造立ス、
十六日　御物忌、
十九日　法成寺東北院護摩堂焼失ス、
円宗寺最勝会、
延暦寺衆徒、如法仁王会ヲ祇園社ニ行フ、
廿一日　陰陽寮、宮城四角鬼気祭勅使以下ノ歴名ヲ注進ス、
法皇、大炊殿ニ御幸アラセラル、
廿二日　平等院権別当前律師斉尊寂ス、
廿三日　右大臣忠実、陰陽師ヲシテ、多武峰ノ鳴動ヲ占ハシム、
廿四日　祈年穀奉幣、
廿八日　延暦寺衆徒ノ乱発ニ依リ、祇園社ニ奉幣シテ、之ヲ祈謝ス、
直物、
前斎院令子内親王、禁中ニ移リ給フ、
右大弁藤原宗忠、勤学院ノ修理ヲ巡検ス、
廿九日　法皇、大炊殿ヨリ、内大臣雅実ノ土御門第ニ還御アラセラル、
中宮御悩、〇三社ニ奉幣シテ、御平癒ヲ祈ル、
前斎院令子内親王ノ御所ニ御鞠アリ、
是月　所充、
閏二月
二日　禁中北面ニ於テ、御酒遊アリ、
三日　陣定、〇内文、
宮中御所ニ御小弓アリ、
五日　院尊勝陀羅尼供養、〇仁和寺覚行法親王御導師ヲ勤仕シ給フ、
天台座主慶朝上表ス、
六日　右大臣忠実、文書ヲ内覧ス、
八日政、
御小弓アリ、
十日　御物忌、
十四日　京都地震、〇天文博士安倍宗明、天文奏ヲ上ル、
園城寺長吏僧正増誉ヲ天台座主ニ補ス、〇増誉、上表ス、
十五日　法皇、右大臣忠実ヲシテ、行願寺ノ仏像ヲ奉ラシメ給フ、
十七日　春季仁王会、
法印仁源ヲ天台座主ニ補ス、
二十日　平等院検校及ビ別当ヲ補ス、
廿二日　穢ニ依リテ、春季御読経ヲ延引ス、
廿四日　中宮御所御花合、
廿六日　右近衛権少将藤原有家、病ニ依リテ辞表ヲ上ル、
廿八日　法皇、内大臣雅実ノ土御門第ヨリ、大炊殿ニ渡御アラセラル、
廿九日　東宮泰山府君祭、
三月
一日　御小弓アリ、
二日　右大臣忠実、公卿殿上人ヲ会シテ、一種物ヲ催ス、
三日　筑前竃門上宮焼失ス、
法皇、仁王御八講ヲ大炊殿ニ修シ給フ、
平等院一切経会、
四日　侍臣ノ賭弓ヲ観給フ、
五日　疾疫ニ依リ、大般若及ビ法華御読経ヲ清涼殿昼御座ニ、千僧御読経ヲ東大寺ニ行フ、
法皇、天変ニ依リ、権少僧都賢暹ヲシテ、熾盛光法ヲ大炊殿ニ修セシメ給フ、〇賢暹ヲ法印ニ叙ス、
清涼殿和歌管絃御会、
七日　御物忌
八日右大臣忠実ヲシテ、馬ヲ献ゼシム、
九日　石清水臨時祭、
十日　法勝寺御念仏、
大外記中原師遠、天文奏ヲ上ル、
十一日　御悩、〇請観音経御読経等ヲ行ヒ、御平癒ヲ祈ル、〇軽囚ヲ免ズ、
右大臣忠実、随身国重姓闕ク、ヲ検非違使ニ下ス、
十四日　法皇、春宮大夫藤原公実ノ女璋子を養ヒ給フ、〇大炊殿ニ於テ、
著袴ノ儀ヲ行ハシメ給フ、〇法皇、内大臣雅実ノ土御門第ニ還御アラセラル、
前斎院令子内親王、禁中ヨリ、紀伊守藤原有佐ノ三条第ニ移リ給フ、
十六日　小除目、
陣定ヲ行ヒ、佐渡国司ノ申請及ビ課試年限ノ改定ヲ議ス、
十八日　御悩ニ依リテ、御前ニ孔雀経及ビ寿命御読経ヲ、神祇官ニ御祈ヲ行フ、〇石清水八幡宮等五社ニ仁王講
寺成寺ヲ修理ス、
廿一日　仁明天皇国忌、
廿三日　御悩ニ依リテ、二十二社ニ奉幣ス、
廿四日　御悩ニ依リテ、大般若経御読経ヲ行ヒ、冥道供ヲ修シ、又非常赦ヲ行フ、〇法華経御読経ヲ行フ、
尊勝寺結縁潅頂ヲ延引ス、○之ヲ追行ス、
右大臣忠実、鹿島、香取両社奉幣使ヲ発遣ス、
三十日　院旨ニ依リ、御悩御祈トシテ、千僧御読経ヲ大極殿ニ、大般若経書写供養ヲ清涼殿ニ修ス、〇御等身御
法皇、某所ニ御幸アラセラル、
是月　加賀国雑掌、四度公文帳ヲ上ル、
四月
一日　平座、
四日　平野祭、
五日　梅宮祭、
七日　擬階奏、〇吉書奏、
右大臣忠実、興福寺僧申文ヲ覧ル、
八日　潅仏、〇院及ビ東宮御物忌、
十日軒廊ニ賀茂社ノ怪異ヲトス、
陣定ヲ行ヒ、石清水八幡宮ノ常灯断絶ノコトヲ議ス、
祭除目、〇叙位、
十三日政、
院宣ニ依リテ、仁和寺覚行法親王、孔雀経法ヲ大炊殿ニ修シ給フ、
前筑寺守従四位上藤原知家卒ス、
十四日　疾疫流行ニ依リテ、相撲使ノ発遣ヲ停ム、
十五日　斎院禎子内親王御禊、
十七日　右大臣忠実、賀茂社ニ詣ヅ、
正四位上行内蔵頭兼伊予守藤原国明卒ス、
十八日　賀茂祭、
十九日　東宮御悩、〇法皇、東宮御所ニ御幸アラセラル、
廿一日　吉田祭、
廿二日　法皇、大臣雅実ノ土御門第ニ還御アラセラル、
廿三日　石清水八幡宮宝殿ノ怪異ヲ軒廊ニトス、
天下ノ祈トシテ、十二社ニ御読経ヲ行フ、
法皇、天皇ノ御悩ニ依リ、丈六普賢延命像ヲ造立シ給ヒ、権少僧都長覚ヲシテ、普賢延命法ヲ尊勝寺観音堂ニ修
右大臣忠実、疾疫ノ流行ニ依リテ、百座仁王講ヲ修ス、
廿七日　疾疫ノ流行ニ依リテ、紫宸殿ニ大般若御読経ヲ修シテ、之ヲ祈禳セシム、
法印賢暹ヲシテ、清涼殿昼御座ニ、御等身七仏薬師像ヲ供養セシメ、法眼勝覚ヲシテ、同二間ニ尊勝曼陀羅供養
陣定ヲ行ヒ、諸国条事及ビ摂津勅旨田ノ事ヲ議ス、
省試、
廿九日　村上天皇中宮安子国忌、
興福寺政所、大和栄山寺ヲシテ、同寺領荘園ノ国役ヲ拒マシム、
五月
一日　右大臣忠実、陰陽師ヲシテ、多武峰ノ鳴動ヲ占ハシム、
三日　院御物忌、
四日　陣定ヲ行ヒ、筑前竃門宮ニ於ケル濫行ノコトヲ議ス、
六日　法印賢暹ヲシテ、七仏薬師法ヲ桂芳坊ニ修セシム、〇賢暹ヲ護持僧ト為ス、
復任除目、
京極殿懺法、
七日　後三条天皇国忌、〇円宗寺ニ御念仏ヲ修ス、
八日　太皇太后、十一面観音及ビ心経三百巻ヲ右大臣忠実に賜フ、
十日　御物忌、
十二日　霖雨ニ依リテ、丹生、貴布爾両社ニ止雨奉幣使ヲ発遣ス、〇京都鴨、桂両河泛溢シ、院御所、鳥羽殿浸
石清水八幡宮三昧堂ノ死穢ヲ軒廊ニ卜ス、
十五日　最勝講、
十九日　筑前竃門上宮ノ焼失等ヲ軒廊ニ卜ス、
僧事、
二十日　法皇、御夢想ノコトヲ、右大弁藤原宗忠ニ示シ給フ、
廿一日　右大臣忠実、文書ヲ内覧ス、
廿三日　禁中ニ御遊アリ、
廿四日　石清水八幡宮ニ奉幣シテ、同宮ノ怪異ヲ祈謝ス、
廿六日　法皇、内大臣雅実ノ土御門第ヨリ、鳥羽殿ニ御幸アラセラル、
右大臣忠実、春日社ノ怪異ニ依リテ、仁王講及ビ尊勝陀羅尼ヲ修ス、〇同社ニ奉幣ス、
廿七日　賑給使ヲ定ム、
廿九日　大神宮ニ奉幣シテ、公卿勅使発遣ノ延引ヲ祈謝ス、
是月　大宰権帥藤原季仲、仁和寺覚行法親王ノ仰ニ依リ、釈論通玄鈔、同賛玄疏ヲ高麗ニ求メテ、之ヲ奉ル、
六月
一日　御物忌、
二日　陣定ヲ行ヒ、筑前竃門宮神人殺害人ノ赦ニ会フノ可否ヲ議ス、
八日　堀河院ヨリ、内裏ニ還幸アラセラル、〇中宮亦還啓アラセラル、〇中宮職事ヲ加補ス、
十日　御体御卜奏、
吉田社月次祭幣物ノコトヲ右大臣忠実ニ諮リ給フ、
東宮、右大臣忠実ノ馬ヲ覧給フ、〇忠実、東宮ニ馬ヲ献ズ、
十一日　月次祭、神今食、
十四日　祇園御霊会、〇検非違使中原範政ノ郎等、祇園神人ト闘争ス、〇神人、陽明門ニ群参シテ、之ヲ訴フ、
十五日　大宰府、藤原頼良ノ香椎宮権大宮司清原恒久ヲ殺害シ、同宮神輿、鉾等ヲ毀棄セシコトヲ言上ス、〇大
十六日　月食、〇僧六十口ヲシテ、大般若経ヲ紫宸殿ニ読誦セシム、
十八日　臨時除目、
廿三日　内裏還幸ノ後政始、
東寺金堂、潅頂堂等ヲ修造ス、
廿五日　東宮、新写大般若経ヲ同御所ニ供養シ給フ、
廿六日　中宮御願寺御堂及ビ前斎院令子内親王ノ新造御所堀河院上棟、
右大臣忠実、陰陽師ヲシテ、興福寺西室僧房造作始及ビ同寺諸堂仏像修理始ノ日時ヲ勘申セシム、
廿七日　政、
廿九日　前斎院令子内親王、紀伊守藤原有佐ノ三条第ヨリ、禁中ニ移リ給フ、
三十日　軒廊御卜、
流人源頼治ヲ召還ス、
七月
三日　法皇、内大臣雅実ノ土御門第ヨリ、鳥羽殿ニ御幸アラセラル、
七日　御物忌、
法印賢暹ヲシテ、如意輪像ヲ清涼殿二間ニ供養セシメ、又六字法ヲ仁寿殿ニ修セシム、
十日　御書所御作文、
十四日　東寺ノ訴ニ依リ、延暦寺ヲシテ、同寺ノ東寺末寺伊勢多度神宮寺拝ニ本宮石本ニ押妨スル子細ヲ弁申セ
十五日　石清水八幡宮護国寺修理別当円賢ヲ宇佐弥勒寺講師職ニ補ス、
法成寺自恣
十九日　右大臣忠実、馬ヲ東宮ニ献ズ、
廿二日　施米定、
陣定ヲ行ヒ、出羽及ビ豊後ノ条事等ヲ議ス、
廿五日　右大臣忠実、興福寺衆徒蜂起ノコトヲ奏聞ス、
廿八日　祐子内親王御悩、
廿九日　御悩ニ依リテ、御占ヲ行ヒ、大僧正増誉ヲシテ、御平癒ヲ祈ラシム、〇増誉ニ牛車ヲ聴ス、
是月　春日社法蔵ヲ修理ス、
正五位下行陰陽頭兼陰陽博士賀茂成平卒ス、
八月
二日　軒廊御卜ヲ行ヒ、豊受大神宮ノ怪異ヲ卜ス、
陣定ヲ行ヒ、斎宮移御ノ御所ヲ議ス、
御悩ニ依リテ、大般若経読経ヲ紫宸殿ニ、孔雀経御読経ヲ清涼殿ニ修ス、〇法華経御読経及ビ三壇御修法等ヲ行
御物忌、
三日釈奠、
法皇、内大臣雅実ノ土御門第ヨリ、大炊殿ニ御幸アラセラル、
中宮御悩、
四日　北野祭、
八日　御悩ニ依リ、大神宮以下九社ニ奉幣シテ、御平癒ヲ祈ル、
九日　霖雨ニ依リテ、丹生、貴布禰両社ニ止雨奉幣ス、
十日　御悩ニ依リテ、薬師経御読経ヲ行フ、〇寿命経御読経ヲ行フ、前斎院令子内親王、禁中ヨリ、某所ニ御方
十一日　定考、
十三日　天変及ビ御悩ニ依リ、内大臣雅実ヲシテ、大神宮ニ奉幣セシム、
十五日石清水水放生会、
十六日　駒牽、
伊賀国司、同国ノ開発田ヲ注進ス、
十九日　天文博士安倍宗明、天文奏ヲ上ル、
松尾社司等、同社遷宮用途料目録ヲ注進ス、
二十日　宋泉州ノ人李充等、筑前博多津ニ来航ス、〇大宰府、府使ヲ発シテ、之ヲ存問セシム、
廿二日　軒廊御卜、
廿四日　仁寿殿ニ六観音御修法ヲ行フ、
廿五日　右大臣忠実、文書ヲ内覧ス、
廿六日　光孝天皇国忌、
廿七日　右大臣忠実、蔵人頭源重資ヲシテ、興福寺西金堂衆徒ト権中納言大江匡房トノ争論ノコトヲ奏セシム、
廿九日　延暦寺衆徒及ビ日吉神人、陣頭ニ群参シテ、大宰権帥藤原季仲ヲ訴フ、〇日吉神人、季仲及ビ検非違使
法皇、土御門殿ヨリ、鳥羽殿ニ御幸アラセラル、〇大炊殿ニ渡リ給フ、
九月
一日　御物忌、
二日　陣定ヲ行ヒ、宇佐八幡宮弥勒寺中ノ闘争ノコトヲ議ス、
三日御悩ニ依リテ、御灯ヲ停ム、〇中宮、亦御不例ニ依リテ、御灯ヲ停メ給フ、
五日　斎宮寮ノ修理ニ依リテ、斎宮御匣殿ニ移御ノコトヲ沙汰ス、
六日　右大臣忠実、文書ヲ内覧ス、
七日　祈年穀奉幣、
九日　重陽宴、
十一日　伊勢例幣、
十三日　賀茂社ノ怪異ニ依リテ、同社ニ奉幣ス、
十五日　公家御祈トシテ、禁中ニ一日大般若経書写供養ヲ行フ、
禁中千部御経転読結願、〇二間ニ於テ、法印賢暹ヲシテ、同経ヲ供養セシム、
法皇、土御門殿ヨリ、鳥羽殿ニ御幸アラセラル、
十七日　二条院、菩薩樹院ニ崩ジ給フ、
十八日　御悩ノ後、始メテ、前斎院令子内親王ノ御方ニ渡御アラセラル、
宇佐八幡宮寺宝塔院喜多院別当ヲ補ス、
廿一日　節分ニ依リテ、法皇、鳥羽殿ヨリ、土御門殿ニ御方違アラセラル、
廿二日　贈太皇太后賢子国忌ニ依リテ、法勝寺常行堂ニ御念仏ヲ修ス、
廿四日　前斎院令子内親王、禁中ヨリ、某所ニ御方違アラセラル、
廿五日　右大臣忠実、和泉守藤原良兼ノ赴任ニ餞ス、
廿六日　東宮御物忌、
請印政、
廿七日　太皇太后、宇治ニ行啓アラセラル、
廿九日　醍醐天皇国忌、
三十日　前斎院令子内親王、禁中ヨリ、紀伊守藤原有佐ノ三条第ニ移リ給フ、
十月
一日　平座、
御悩、
二日　御物忌、
三日　仁和寺覚行法親王、新造北院ニ移リ給フ、
六日　法皇、土御門殿ヨリ、鳥羽殿ニ御幸アラセラル、
七日　秋季仁王会、
十日　興福寺維摩会、
日吉社司等、陣頭ニ群参シテ嗷訴ス、
○同神人等、亦嗷訴ス、
十一日　政、
十四日　前斎院令子内親王、紀伊守藤原有佐ノ三条第ヨリ禁中ニ移リ給フ、
十八日　法勝寺大乗会、
廿一日　院御物忌、〇法皇、右大弁藤原宗忠ヲシテ、真如院及ビ前陸奥守源義家申請ノ事等ヲ奏セシメ給フ、
廿五日　陣定ヲ行ヒ、大宰府及ビ石清水八幡宮等ノ訴訟ヲ議ス、〇延暦寺衆徒ノ訴ニ依リ、大宰権帥藤原季仲ヲ
廿六日　法皇寵妃祇園女御、姓名闕ク、祇園辺ニ堂宇ヲ建立ス、〇之ヲ供養ス、
廿七日　法皇御所土御門殿ニ行幸シテ、東宮ノ御著袴ヲ行ハセ給フ、〇左近衛少将藤原通季等ニ東宮ノ昇殿ヲ聴
三十日　延暦寺衆徒、祇園社神輿ヲ奉ジテ、陽明門ニ到リ、大宰権帥藤原季仲、石清水八幡宮別当光清及ビ検非
法皇、土御門殿ヨリ、大炊殿ニ御幸アラセラル、
是月　法眼勝覚ヲシテ、東宮六字経御修法ノ支度ヲ注進セシム、
河内国司、留守所ヲシテ、同国権心寺領ニ雑役ヲ課スルヲ停メシム、
十一月
二日　春日祭、〇平野祭、
東寺ノ訴ニ依リ、伊勢多度神宮寺ヲ、旧ノ如ク、真言別院ト為サシム、
三日　梅宮祭、
四日物御忌、
六日　大外記中原師遠、天文奏ヲ上ル、
七日　無品祐子内親王、土御門高倉第ニ薨ジ給フ、
左衛門尉源明国ヲ弓場ニ拘ス、
入道前安房守源親元寂ス、
八日　右大臣忠実、文書ヲ内覧ス、
九日　太皇太后、右大臣忠実ノ第二行啓アラセラル、
十日　法皇、御懺法ヲ鳥羽殿ニ修シ給フ、
十四日　吉田祭、
十五日　延暦寺衆徒及ビ石清水八幡宮神人等ノ濫行ニ依リテ、大神宮以下七社ニ奉幣ス、
成務天皇御陵鳴動ス、〇男山鳴動ス、
十六日　法皇、右大弁藤原宗忠ヲ御使トシテ、御祈ノ事等ヲ奏聞セシメ給フ、
十八日　大原野祭、
仁和寺御室二品覚行法親王、仁和寺新造北院ニ薨ジ給フ、
十九日　仁和寺覚行法親王ノ薨去ニ依リテ、五節及ビ園、韓神祭ヲ停ム、〇豊明節会ヲ停ム、
二十日　鎮魂祭、
廿一日　新嘗祭、
廿三日　東宮鎮魂祭、
廿四日　陣定ヲ行ヒ、尾張条事ヲ議ス、
廿七日　仁和寺覚行法親王ノ薨去ニ依リテ、賀茂臨時祭ヲ延引ス、
廿九日　法成寺八講、
十二月
一日　御物忌、
軒廊御ト、
二日　陣定ヲ行ヒ、前大宰権帥藤原季仲等ノ罪名ヲ議ス、
七日　賀茂臨時祭ヲ追行ス、
九日　触穢ニ依リテ、石清水八幡宮奉幣及ビ内侍所御神楽ヲ延引ス、〇神今食及ビ御体御ト奏ヲ延引シ、大祓ヲ
十二日　院御物忌、
十四日　京官除目、
位記請印、
十五日　月食、
十六日　月次祭、神今食ヲ追行ス、
十七日　太皇太后御悩、
十九日　尊勝寺阿弥陀堂、准胝堂及ビ法華堂ヲ供養ス、〇非常赦ヲ行フ、〇供僧ヲ補ス、
蔵人ヲ補ス、
二十日　内侍所御神楽ヲ追行ス、
弓場始、
廿一日　荷前、
参議源顕雅ヲ成務天皇、神功皇后ノ二陵ニ発遣シテ、鳴動ヲ祈謝ス、
陣定ヲ行ヒ、前大宰権帥藤原季仲ノ罪名ヲ議ス、〇復之ヲ議ス、
廿二日　石清水、賀茂二社ニ臨時奉幣使ヲ発遣ス、
御体御ト奏ヲ追行ス、
官奏、〇所充申交、
中宮、京極殿ニ御方違行啓アラセラル、
廿四日　御仏名、
廿五日　政及ビ不堪佃田荒奏、
東宮、始メテ、禁中ニ渡御アラセラル、
右大臣忠実ヲ関白ト為ス、
廿六日　官奏、〇不堪佃田定、
廿八日　政、〇官奏、〇位禄定、〇大糧申文、
廿九日　円宗寺法華会結願、
後不堪佃田奏、〇請印政、
陣定ヲ行ヒ、前大宰権帥藤原季仲ヲ周防ニ配流シ、従類六人ヲ遠流ニ処シ、石清水八幡宮所司三人ヲ禁獄ス、
三十日　追儺、〇小除目、〇阿闍梨六口ヲ補ス、
是月　仁和寺真行覚法法親王ヲ仁和寺寺務ニ補ス、
是歳　季御読経ヲ停ム、
年末雑載
天文、変異、
神社、
仏寺、
公家、
諸家、
婚姻、
疾病、
生死、
学芸、
訴訟、
注進、
売買、
嘉承元年
正月
一日　小朝拝、〇節会、〇東宮御戴餅ノ儀ヲ行フ、〇院拝礼ヲ停ム、
二日　朝覲行幸ヲ停ム、〇関白忠実、亦臨時客ヲ停ム、
三日殿上淵酔ヲ行ヒ、二宮大饗ヲ停ム、
四日　彗星、西南ノ天ニ見ハル、〇地震アリ、〇大外記中原師遠、天文奏及ビ彗星形象勘文ヲ、直講清原信俊、
法成寺修正、〇関白忠実、関白ノ後、始メテ、法成寺ニ詣ヅ、
五日　叙位、
東宮、清涼殿ニ渡リ給フ、
興福寺僧宣覚ヲ太元帥法阿闍梨ト為ス、
六日　諸寺修正、
七日　白馬節会、〇装束使左中弁原重資ノ怠状ヲ召ス、
八日　御斎会、〇後七日御修法、
典薬頭正四位下丹波忠康出家ス、〇卒ス、
九日　関白忠実、侍所、蔵人所ヲ分置ス、
十日　女叙位、
右大弁藤原宗忠ヲ勅使トシテ、法皇ニ春行事等ヲ奏セシメ給フ、
十三日　御物忌、
関白忠実、初度著陣ノ儀ヲ行フ、
十四日　太皇太后、御悩ニ依リテ、法橋成信ノ五条房ニ行啓アラセラル、〇御修法等ヲ行ヒ、御平癒ヲ祈ル、
十五日　兵部手結、
十六日　踏歌節会、
蔵人ヲ補ス、
大僧正増誉ヲシテ、御修法等ヲ行ハシム、
関白忠実、関白後、始メテ、平等院ニ詣ヅ、
十七日　射礼、
関白忠実、文書ヲ内覧ス、
十八日　賭射、
十九日　御悩〇、法皇、鳥羽殿ヨリ大炊殿ニ御幸アラセラル、〇関白忠実、勧学院歩ヲ停ム、〇神祇官及ビ諸寺
秀才藤原令明、献策ス、
廿二日　法眼勝覚ヲシテ、仁王経法ヲ修セシム、
御悩ニ依リテ、県召除目ヲ延引ス、〇復延引ス、
廿五日　政始、
廿七日　大神宮別宮御装束ヲ調進セシム、
三十日　陣定ヲ行ヒ、諸国司ノ申請及ビ諸社ノ訴等ヲ議ス、
二月
二日　関白頼通忌日法会、
三日　関白忠実、文書ヲ内覧ス、
四日　祈年祭、〇大原野祭、〇天変ニ依リテ、二十二社奉幣ノ事ヲ議シ、奉幣使ヲ大神宮ニ発遣ス、〇二十一社
六日　中宮、侍従厨ニ御方違行啓アラセラル、
七日　六条殿御堂修二月、
東宮、弘徽殿ヨリ、法皇御所土御門殿ニ退出アラセラレ、法皇、土御門殿ヨリ大炊殿ニ御幸シ給フ、
八日　法勝寺常行堂修二月、
院尊勝陀羅尼供養、
九日　春日祭、
十一日　御物忌、
列見、
十三日　臨時賑給、
法皇、土御門殿ヨリ、鳥羽殿ニ御幸アラセラル、
前斎院令子内親王、弘徽殿ニ入リ給フ、
関白忠実、関白師実ノ忌日法会ヲ宇治ニ修ス、
十四日　園、韓神祭、
釈奠、
十六日　御悩ニ依リテ、除目ヲ延引ス、〇法皇鳥羽殿ヨリ、土御門殿ニ還幸アラセラル、〇諸種ノ御読経、御祈
十七日　流人藤原季仲ノ配所ヲ常陸ニ改メ、其子刑部少輔懐季、少納言実明ヲ解官ス、〇季仲ノ事ニ依リ、石清
十九日　円宗寺最勝会、
入道前讃岐守文章博士正四位藤原行家卒ス、
廿三日　関白忠実、興福寺上座定深ヲ清水寺別当ニ補ス、〇清水寺衆徒、峰起シテ、定深ノ別当ヲ罷メンコトヲ
廿七日　太皇太后、関白忠実ノ為メニ、仏経ヲ供養シ給フ、
前斎院佳子内親王、仁和寺中ノ御願御殿宝蓮院ヲ供養シ給フ、
廿八日　参議藤原宗忠ヲ光孝天皇後田邑山陵ニ遣シテ、陵域掘損ノ由ヲ祈謝セシム、
是月　陰陽寮、宮城四角四堺祭勅使以下ノ歴名ヲ注進ス、
三月
二日　法皇、前斎院令子内親王ノ新造御所堀河院ヲ御覧アラセラル、〇令子内親王、紀伊守源有佐ノ三条第ヨリ
三日　御灯、
法皇、大炊殿ヨリ、東宮御所土御門殿ニ還幸アラセラル、
四日　御物忌、
八日　法皇、興福寺僧ヲシテ、法華御八講ヲ石清水八幡宮ニ行ハシメ給フ、
十一日　県召除目ヲ追行ス、〇関白忠実ノ東宮伝ヲ罷メ、内大臣雅実ヲシテ、之ヲ兼ネシム、
十四日　石清水臨時祭、
兵部大輔源師俊等ニ昇殿ヲ聴ス、
十五日　陣頭ニ於テ、随身等闘争ス、
十七日　桓武天皇国忌、
法皇、石清水八幡宮託宣ノ証人ヲ召シテ、之ヲ問注セシメ給フ、
関白忠実、平等院経蔵内仏像ノ湿損ヲ実検ス、
十九日　祈年穀奉幣、
廿一日　法皇、大炊殿ヨリ、東宮御所土御門殿ニ還幸アラセラル、
廿三日　京都地震、〇天文博士安倍宗明、天文奏ヲ上ル、
軒廊御ト、
勧学院歩ヲ追行ス、
廿四日　尊勝寺潅頂、
法皇、関白忠実ヲシテ、四条大納言十巻抄北山抄ヲ上ラシメ給フ、
廿五日　関白忠実、文書ヲ内覧ス、
廿六日　春季仁王会、
法皇、土御門殿ヨリ、鳥羽殿ニ御幸アラセラル、
廿八日　政、〇復任除目、
関白忠実、賀茂社詣ノ延引及ビ牛車ノ事ヲ沙汰ス、
廿九日　興福寺及ビ法成寺ノ僧従、関白忠実ノ第ニ参賀ス、
四月
一日　平座、
御物忌、
二日　紫宸殿ノ版位粉失ス、〇修理職ヲシテ、之ヲ造ラシム、
関白忠実病ム、〇読経、修法、造仏供養等ヲ行ヒテ、平癒ヲ祈ル、〇太皇太后、亦忠実ノ為メニ、阿闍梨懐誉ヲ
六日　御悩、
八日　斎院ノ侍闘争ス、
九日　嘉承ト改元ス、
十一日　平野祭、〇松尾祭、
十二日　疾疫流行ニ依リテ、四角四堺祭ヲ行フ、
十三日　賀茂別雷社炎上ス、〇社司等、神体ヲ貴布弥社新宮ニ奉還ス、〇陣定ヲ行ヒ、社殿ノ製営、遷宮及ビ幣
十五日　吉田祭、
十九日　官使ヲ伊賀ニ発遣ス、〇左大史小槻盛仲、同官使ヲシテ、東大寺領伊賀黒田杣内簗瀬村分人夫沙汰ノ非
廿一日　賀茂別雷社炎上ノ穢ニ依リテ、斎院御禊ヲ延引ス、〇之ヲ追行ス、
廿四日　賀茂祭、
廿七日　改元及ビ廃朝ノ後政始、
東宮及ビ前斎院令子内親王、禁中ニ移リ給フ、
廿九日　法皇、御懺法ヲ鳥羽殿ニ修シ給フ、〇覚行法親王ノ侍臣、法親王ノ御為メニ、等身阿弥陀像ヲ供養ス、
是月　疾疫流行ニ依リテ、相撲使ノ発遣ヲ停ム、
五月
一日　賀茂別雷社ノ炎上ニ依リ、同社ニ奉幣シテ、之ヲ祈謝ス、
二日　御物忌、
三日　清涼殿ニ於テ、新写大般若経供養及ビ大般若経法華経御読経ヲ行フ、〇東宮御所弘徽殿ニ於テ、大般若経
中宮、侍従厨ニ御方違行啓アラセラル、
六日右近衛府騎射、
七日　後三条天皇国忌、
九日　疾疫流行ニ依リ、千僧御読経ヲ大極殿ニ行ヒテ、之ヲ祈禳ス、
十三日　最勝講〇熾盛光法ヲ仁寿殿ニ修ス、
陣定ヲ行ヒ、大神宮ノコト等ヲ議ス、〇復陣定アリ、
権中納言源顕通及ビ参議藤原顕実ニ昇殿ヲ聴ス、
十四日　八字文殊御修法、〇権律師禅円寂ス、
十六日　東宮帯刀騎射ヲ右近衛馬場ニ行フ、
十八日　黒戸ニ於テ、御遊アリ、〇復御遊アリ、
二十日　春季御読経、
尊勝寺阿弥陀堂ニ於テ、御懺法ヲ修ス、
僧事、〇秀才、給料ノ宣旨ヲ下ス、
廿三日　正四位上阿波守兼中宮亮源高実卒ス、
廿五日疾疫流行ニ依リテ、大祓ヲ行フ、
一切経御読経結願ノ儀ヲ清涼殿ニ行フ、
賑給使定、
大宰府ヲシテ、筑前観世音寺五重塔及ビ僧房ヲ造営セシム、
廿九日　東大寺、賀茂御祖社摂津長渚御厨ノ争論ヲ裁シ、東大寺ヲシテ同御厨ノ地ヲ、賀茂御祖社ヲシテ同御厨
六月
二日　御物忌、
正六位上行明法博士兼左衛門権少尉中原範政卒ス、
四日　右少弁藤原為隆、大神宮及ビ諸社ノコト等ヲ奏聞ス、〇大神宮大宮司大中臣定祐ヲシテ、大神宮ヲ修理セ
七日　祇園御輿迎、〇疾疫流行ニ依リ、同社ニ於テ、大般若経ヲ転読セシム、
内裏ノ穢ニ依リテ、除目ヲ引延ス、
九日　興福寺食堂ニ落雷アリ、〇関白忠実、家司ヲ遣シテ、之ヲ実検セシム、
十日　御体御ト奏、
施米、
東宮御悩、
常陸ノ騒擾ニ依リ、東国国司ヲシテ、源義光及ビ平重〓等ノ党ヲ召進セシメ、又源義家ヲシテ、其子義国ヲ召進
十一日　神今食、月次祭、
御悩、
十四日　祇園御霊会、
十七日　中宮、侍従厨ニ御方違行啓アラセラル、
二十日　疾疫流行ニ依リテ、二十二社ニ奉幣ス、
廿二日　疾疫流行ニ依リテ、臨時百座仁王会ヲ紫宸殿ニ修ス、
法皇、権大僧都覚意等ヲシテ、円宗寺ニ於テ、丈六五大尊像ヲ供養セシメ、五壇法ヲ修セシメ給フ、
臨時除目ヲ追行ス、
前女御藤原道子、堂舎ヲ九条ニ建立シテ、丈六阿弥陀像ヲ供養ス、
廿五日　炎早ニ依リ、蔵人ヲシテ、神泉苑ノ池ヲ浚渫セシム、〇祈雨奉幣ヲ行フ、
廿七日　御悩、〇大般若御読経ヲ清涼殿ニ行ヒ、尊星王法ヲ麗景殿ニ、延命法ヲ桂芳坊ニ修シテ、御平癒ヲ祈ル
廿九日　京都火炎、〇二条以北、大炊御門以南、西洞院以東、室町以西焼失ス、
大祓、〇節折、
是月　京都ノ下人等、田楽ヲ為シテ、京中ヲ横行ス、
是夏　疾疫流行ス、
七月
一日　日食、〇大般若御読経ヲ清涼殿ニ行フ、
御物忌、
二日　陣定ヲ行ヒ、賀茂別雷社司失火ノ罪名及ビ相模条事ヲ議ス、
法皇、鳥羽殿ヨリ、大炊殿ニ御幸アラセラル、
三日　孔雀経御読経ヲ神泉苑ニ修シテ、雨ヲ祈ル、
法皇、陰陽師賀茂道言ヲシテ、天変御祈ノ日時ヲ勘申セシメ給フ、
四日広瀬祭及ビ竜田祭、
五日　権大僧都覚意ヲシテ、孔雀経法ヲ東寺ニ修シ、雨ヲ祈ラシム、
法皇寵姫祇園女御、姓名闕ク、法印賢暹等ヲシテ、鳥羽殿ニ五部大乗経ヲ講ゼシム、〇法皇、之ニ臨御アラセラ
関白忠実、文書ヲ内覧ス、
六日　高野山大塔ニ供僧三人ヲ加補ス、
七日　乞巧奠、〇蔵人源雅兼ヲシテ、堀河殿ノ御書倉ヲ開検セシム、
延暦寺ノ僧仁興、前伊豆守源国房ト共ニ、東寺末寺伊勢多度神宮寺寺領尾張大成荘田畠在家ヲ押領ス、〇東寺ノ
十一日　内大臣雅実、金峰山ニ詣ヅ、
十三日　東宮、御祈トシテ、新造六観音像ヲ東宮御所ニ、新写大般若経ヲ祇園社ニ供養アラセラル、〇六観音法
中宮御願寺ノ御門上棟、〇中宮、侍従厨ニ御方違行啓アラセラル、
右少弁藤原為隆ヲシテ、転輪院ヲ臨検セシム、
十五日　法成寺自恣、
十九日　諸社ノ怪異、炎早ノ咎崇等ヲ軒廊ニ卜ス、〇大神宮以下九社ニ奉幣ス、
請印政、
二十日　丹生、貴布禰両社ニ泰幣シテ、雨ヲ祈ル、
廿一日　右少弁藤原為隆ヲシテ、御書ヲ法皇ニ上ラシメ給フ、〇法皇、御衣等ヲ献ジ給フ、
廿五日　法皇、鳥羽殿内小蛇出現ノ吉凶ヲ、右少弁藤原為隆ニ諮リ給フ、
廿六日賀茂別雷社遷宮、
廿七日　法皇、石清水八幡宮ニ御幸アラセラル、
廿八日　施米、
廿九日　関白忠実初度上表、
内文、
三十日　陣定、
是月　前陸奥守正四位下源義家卒ス、
前上野介文章博士正四位下藤原敦基卒ス、
八月
三日　陣定ヲ行ヒ、賀茂別雷社預三宅実久失火ノ罪名勘文及ビ東大寺領紀伊木本荘ノコト等ヲ議ス、〇実久ヲ隠
四日　北野祭、
五日　東大寺ヲシテ、同寺諸国封戸ヲ徴納シテ、堂舎ノ修造料ニ宛テシム、〇諸国司ノ収公セル同寺寺領荘園ノ
六日　御物忌、
七日　郁芳門院ノ御忌日ニ依リテ、御経供養ヲ六条院ニ修ス、
八日　釈奠、院御物忌、
十一日　定考ヲ延引ス、〇之ヲ追行ス、
十五日　石清水放生会
十六日　駒牽、
十八日　東大寺、大和香菜免田検田ノ事ヲ寺家ニ付セラレンコトヲ同国国衙ニ請フ、〇同国国司、之ヲ聴ス、
廿一日　祈年穀奉幣、
廿五日　太皇太后、宇治ニ行啓アラセラル、〇関白忠実及ビ故関白師実室麗子、之ニ供奉ス、〇太皇太后、故関
廿六日　光孝天皇国忌、
廿七日　臨時除目、
中宮、侍従厨ニ御方違行啓アラセラル、
廿八日　関白忠実、大宰府解及ビ越前国唐人来著ノ解ヲ内覧ス、
廿九日　筑前観世音寺別当暹宴、官使ヲ賜ハラズシテ、同寺堂舎門廊等ヲ修造センコトヲ大宰府ニ請フ、
九月
三日　御灯、
中宮御悩、〇五壇法ヲ修ス、〇五社ニ奉幣シテ、御平癒ヲ祈リ給フ、
九日　平座、
左大臣俊房、所領遠江笠原荘荘司藤原保隆ヲ罷ム、〇保隆、延暦寺衆徒ヲ誘ヒテ、同荘ヲ奪ハントス、〇保隆ノ
十一日　伊勢例幣、
文章博士従四位下藤原実義卒ス、
十二日　蔵人所衆闘争シテ、出納光時姓闕ク、ヲ傷ク、〇犯人ヲ左右獄所ニ拘ス、
十六日　法皇、鳥羽殿ヨリ、土御門殿ニ御幸アラセラル、
十七日　東宮、内裏ヨリ、法皇御所土門殿ニ行啓アラセラル、
十八日　関白忠実第二度上表、
廿一日　御悩ニ依リ、五壇法及ビ尊星王法等ヲ修シテ、御平癒ヲ祈ル、
廿二日　贈太皇太后賢子国忌、〇法勝寺ニ御念仏ヲ修ス、
廿四日　阿闍梨増智ヲ権少僧都ニ任ズ、
廿六日　御物忌、
廿八日　結政、
廿九日　醍醐天皇国忌、
祇園社神人蜂起シテ、丹波守源季房ヲ訴ヘ、内大臣雅実ノ第ニ迫ル、〇法皇、同社執行永範ヲ停任セシメ給フ、
三十日　法皇、土御門殿ヨリ、大炊殿ニ御幸アラセラル、
関白忠実、興福寺東金堂衆徒、同堂領河内其荘ノ住民ト闘争スルニ依リ、検非違使ヲシテ、濫行セル同荘住民ヲ
法眼澄仁、法皇御願寺故太政大臣信長ノ九条堂ノコトニ依リテ、延暦寺ノ衆徒ヲ誘ヒ、信長室其ノ二条第ニ濫行
是月　参議左大弁周防権守源基綱、密ニ任国ニ赴ク、
十月
一日　平座ヲ停ム、
院御物忌、
三日　御悩ニ依リテ、大神宮以下十社ニ奉幣ス、
四日　御物忌、
六日　陣定ヲ行ヒ、大神宮及ビ香椎宮ノコ村等ヲ議ス、〇復之ヲ議定ス、
御悩ニ依リテ、未断経囚ヲ原免ス、〇諸寺ニ丈六不動像ヲ供養ス、
十日　興福寺維摩会、
十三日　中宮、侍従厨ニ御方違行啓アラセラル、
尾張守藤原為房入京ス、
十六日　結政、
廿一日　右少弁藤原為隆ヲシテ、尊勝寺領荘園公験ノコト等ヲ法皇ニ奏セシメ給フ、
廿二日尊勝寺御懺法、
御悩ニ依リテ、熾盛光法ヲ承香殿ニ、金剛童子法ヲ桂芳坊ニ、大威徳法ヲ尊勝寺ニ修シ、又千部御経供養ヲ二間
前斎院令子内親王、禁中ニ移リ給フ、
廿四日法勝寺大乗会、
廿七日　祐子内親王一周忌御法会、
太皇太后、関白頼通ノ為メニ、枇杷殿ニ於テ、法華経及ビ心地観経ノ書写供養ヲ行ハセラル、
廿九日　法皇、土御門殿ヨリ、大炊殿ニ御幸アラセラル、
三十日　右少弁藤原為隆、諸寺修理覆奏ノ文書ヲ奏ス、
十一月
一日　御暦奏、
二日　関白忠実、文書ヲ内覧ス、
三日　宇佐使ヲ発遣ス、
請印政、〇従一位竃門宮ニ正一位ヲ授ク、
五日　法皇、大炊殿ヨリ鳥羽殿ニ御幸アラセラル、
七日御物忌、
八日　春日祭、〇平野祭、
九日　梅宮祭、
御悩ノ後、始メテ、禁中北面ニ御杯酌アリ、
十一日　高野山執行ケンコウ明算寂ス、
十三日　五節、
十四日　覚行法親王一周忌御法会、
正四位下備中守高階為家出家ス、〇卒ス、
十五日　新嘗祭、
十六日　豊明節会、
権中納言源顕通ニ帯剣ヲ聴ス、
東大寺政所同寺領伊賀黒田荘刀禰等ヲシテ、同荘負田出作田畠ノ立券文ヲ進メシム、
十九日　禁中ニ於テ、種々御遊アリ、
二十日　吉田祭、
廿一日　賀茂臨時祭、
廿二日　政、
廿四日　大原野祭、
廿六日　熊野新宮遷宮日時ヲ勘申セシム、
廿七日　中宮、侍従厨ニ御方違行啓アラセラル、
関白忠実、春日社詣ノ延引ニ依リテ、春日、大原野、吉田三社ニ奉幣ス、
廿九日　法成寺八講、
是月　待賢門ヲ修理ス、
阿闍梨定深ヲ高野山執行ト為ス、
十二月
一日　陰陽寮、日食ノ由ヲ勘奏スルニ依リ、僧六十口ヲシテ、大般若御読経ヲ尊勝寺ニ行ヒテ、之ヲ祈禳セシム
三日　紫宸殿ニ御シテ、雪ヲ観給フ、〇法皇、亦雪御覧ノ為メニ、桂河久我辺ニ御幸アラセラル、
四日　関白忠実ヲシテ、祐子内親王御遣領ノ家地荘園ヲ領セシム、
五日　京官除目、
院御物忌、
七日　御物忌、
検非違使、妖婦ヲ富小路ニ捕フ、
九日　禁中北面御所ニ於テ、御遊アリ、
前斎院令子内親王、禁中ヨリ二条殿ニ還御アラセラル、
十日　蔵人藤原為隆ヲ御使トシテ、東宮御慎ノ事等ヲ法皇ニ奏セシメ給フ、
十一日　月次祭、神今食、
十三日　法性寺座主賢暹ヲシテ、北斗法ヲ禁中ニ修セシム、
施米定、〇外記政アリ、
十四日　法皇、鳥羽殿ヨリ、土御門殿ニ御幸アラセラル、
十五日　内侍所御神楽、
梅宮社装束ヲ盗マル、〇之ヲ調進ス、
十六日　関白忠実、関白ノ後、始メテ、春日社ニ詣ヅ、
十九日　官奏、〇不堪佃田和奏、
廿一日　御仏名、
円宗寺法華会、
陣定ヲ行ヒ、諸国条事等ヲ議ス、
所充申文、
陸奥交易馬御覧、〇御馬ヲ法皇ニ進メ給フ、
廿二日　弓場始、
廿三日　光仁天皇国忌、
大納言源師忠、辞状ヲ上ル、
廿五日　尊勝寺阿弥陀堂不断念仏、
園城寺金剛頂院供養、〇中宮、法成寺ニ御仏ヲ供養シ給フ、
堀河殿ニ遷幸アラセラル、〇中宮、同ジク行啓シ給フ、
廿七日　臨時除目、
官奏、〇不堪佃田荒奏、〇政、
廿八日　荷前、
関白忠実、賀茂社詣ヲ延引スルニ依リテ、同社ニ奉幣ス、
廿九日官奏、〇不堪佃田定、〇位禄定、〇大糧申文、〇前肥後守高階基実ヲ本位ニ復ス、
率分所勾当、装束使及ビ勧学院別当ヲ補ス、
三十日　追儺、〇節折、
請印政、〇著テイ政、〇臨時免物、
阿闍梨十口ヲ補ス、
権中納言藤原宗忠等ニ内及ビ院ノ昇殿ヲ聴ス、
権大僧都長覚寂ス、
是歳　吉田社ヲシテ、四度幣祭ニ預ラシム、
秋季仁王会及ビ季御読経ヲ停ム、
悉曇学僧明覚寂ス、
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