シベリアを生きる
- サブタイトル
- 孫たちへの伝言
- 編著者名
- 若宮 由松 著者
- 出版者
- 新風書房
- 出版年月
- 1998年(平成10年)12月
- 大きさ(縦×横)cm
- 19×
- ページ
- 190p
- ISBN
- 4882694115
- NDC(分類)
- 916
- 請求記号
- 916/W22
- 保管場所
- 閉架一般
- 内容注記
- 年譜あり
- 昭和館デジタルアーカイブ
《発刊によせて》南郷村村長(古館剛浩)
《発刊によせて》南郷村助役(佐藤英紀)
第1部 生い立ちと幼・少年時代
八人兄弟の六男として生まれる
鮭鱒漁船に乗り組むが、下船後豊田紡績に就職
第2部 徴兵検査
徴兵検査の通知を受け、名古屋から郷里へ帰る
目に焼きついた日本の象徴「富士山の雄姿」
上野駅で土産にと「浅草海苔」を買う
各停で一昼夜かかり盛岡に着く
役場で兵事係に面会、八キロの山道を歩く
暗闇の山道は男性でも背筋が寒くなる
懐かしい自然の姿、生家は県境から数米の所
家族全員が揃い十三名の忘れ得ぬ団らん
第3部召集・入隊
次兄に同伴してもらい町役場から福岡町へ
三十六番目で「甲種合格」と大声で復唱
遂に来た「一銭五里のハガキ」
再びこの風景を見られないかもの思いを振り切って
青森電信第四連隊への入隊は私だけ
再検査パス、私服ぬぎ捨て軍服に身をかためる
雪の中で四時間も待ちつづけてくれた次兄に涙する
何ごとも要領を本分とする軍隊生活の第一歩
手紙は封をせず提出し検閲を受ける
第4部 初年兵教育
三日間だけはお客扱い、四日目からビンタ舞う
いきなり講堂に入れられ通信教育を受ける
暗闇でも猫の目のように光る古年兵の目
死を覚悟させられた軍人精神の叩き込み
第5部 渡満
一気に奉天へ赴き電信隊に配属される
多くの内容を缶詰め教育でたたき込まれる
五四九部隊教育隊卒業、教える立場に
軍曹に昇進し参謀通信所所長となる
武器、弾薬、食料もなく戦況は悪化へ
第6部 ソ連軍侵攻
緊急連絡で参謀士官が集合、出撃命令を発信
緊迫下、特命受け新京兵器廠に行くが重機なし
「復命書」を内ポケットに帰隊を急ぐ
憲兵隊で許可を取り軍用列車に飛び乗る
帰隊するも部隊は移動し、も抜けのカラ
加藤准尉に出張報告し肩の荷を下ろす
渾河へ全部隊が移動、残されたのは六名だけ
連絡要員および残務整理のため私も残る
部屋を整理、清掃して気持ちを取り戻す
各兵舎を見回る、手のつけられない散乱ぶり
「じっとしておれぬ、前線に赴く」と口論
日本人女性が「もしもの時これを」と拳銃を差し出したが
「ソ連軍を阻止せよ」との命令出る
市街地は空爆で火の海だが、トーチカから動けず
第7部 終戦
食事中、偶然にも陛下の玉音放送を聞く
今までの辛酸は何だったのかと頭の中は真っ白に
泣き伏している所へ突然ロシア兵現わる
武装解除を受け、丸腰で連行される
日本人女性を裸にし路上で暴行の残虐ぶり
戦争は人間の心まで破壊し野獣にする
元七二五〇部隊営庭に収容される
武装解除された兵器が小山のように
八月十五日夕食のほろ苦い黒パンの味
兵器の山に油をかけ火を放つ、泣き叫ぶ兵
第8部 シベリア送り
偽りの「東京ダモイ(祖国帰国)」に踊らされて
汚れた服装で気力なし、無惨な兵の姿
数千人が敦化に向け、のろのろと出発
夜道を雨にずぶ濡れになりながら進む
行列の中に元関東軍司令官陸軍大将山田乙三閣下の姿も
夜が明け、小川の水を腹一杯飲んでまた進む
幸運にも敦化から貨車に乗せられる
吉林から水だけ飲んで約百キロも行軍
閣下も一兵卒も同じ貨車で黒パンをかじる
貨車は敦化から延吉→牡丹江→ハルピンと北上
ハイラル駅で引込線に三日間待機する
「東京モダイ」のはずが、なんと「チチハル」へ
山田乙三閣下に銃を突きつけ時計を没収
いずこかへ連れて行かれた参謀たち
日一日と増す寒さに天幕内で耐える
極寒のシベリアへ向かって出発
兵隊を満載した貨車は国境の街満中里を越える
バイカル湖に降り、顔を洗い、水を飲む
運悪く二人の日本兵がソ連兵に銃殺される
ノボシビスクまで約四千キロを行く
一番目の「ルプツオスク収容所」に着く
点呼の人数計算ができないソ連兵
身体検査で写真や認識票まで没収される
第9部 抑留生活
南京虫の大群にやられ眠れず大騒ぎ
今日から重労働始まる(昭和二十年十月九日)
ツルハシとシャベルで側溝掘り
腹をすかせて帰って来ても鳥の餌同然の食事
極秘に抑留者の名簿作りに着手
階級に関係なく一人一人から聞き取る
第10部 抑留中の作業と食糧
命令どおりで融通のきかないロシア兵
悪い食事でも仕事はレンガ運びで重労働
恐ろしい凍傷であわやのところ戦友に助けてもらう
小便をズボンにもらし我ながら情けないありさま
溶鉱炉の作業に替わったが今度は四〇度の熱さ
なさけなや、凍りついた便所の糞崩し
我々のグループでは階級差別を許さず平等
収容所のソ連軍中尉が食糧の横流しで受刑者に
死んだら夜服をはぎ取り素っ裸にして死体置き場に
飢餓・栄養失調・寒さ、そして重労働
寒波の襲来で死亡者が増える
第11部 凍土の穴掘り
死体を埋めるための穴掘り作業
良い歩哨との出会いで幸運が開ける
カッケで足がふくらみ縄で釣って寝る
初めての入浴と散髪、あそこの毛も剃られる
衣服も熱風消毒し、久しぶりにさっぱりした気分
第12部 幸運な五人組
アルタイ・ルプツォフスクとの別れ
精米所の仕事で白米をたらふく食べる
アルタイ地区収容所とは極楽と地獄の違い
三回目の収容所では樹木の伐採
三人のやくざグループとの闘い
“勝新太郎”と名乗るやくざのボス
第13部 四回目の収容所
珍しい現象、蜃気楼の中の街を見る
久しぶりにアルタイ地区の人たちと会う
乾し草の小山を作るのがノルマ
頭を毒ダニにやられ化膿して高熱を出す
メスで切り膿を搾り取ったので治る
ジャガイモの集積作業、炊いてたらふく食べる
第14部 五番目の収容所
トラックと軌道で山奥へ
小川で野セリやザリガニを見つけて食べる
トドマツの大木を伐り倒し、その実を食べる
第15部祖国への第一歩
半信半疑ながら軌道車で森林を出る
五人がシベリア鉄道の客車に乗り換える
アムール河の鉄橋を渡り、初めて帰国を実感
日の丸の旗と山登丸を見て心は祖国に飛ぶ
一歩一歩ふみしめタラップを登る
白米のおにぎりに日本茶で生き返る思い
舞鶴港に上陸、DDTで消毒され風呂に入る
三百円もらったが、すぐ半分になる
京都の東本願寺で一泊し青森へ
資料あり
資料の利用については4階 図書室のご利用にあたってをご覧ください。
- 担当:
- 図書情報部 図書係
- 電話番号:
- 03-3222-2573
- FAX:
- 03-3222-2626

