海軍江田島教育を知っているか
序章 チームの要=士官の教育に重点をおいた海軍
第1章 海軍兵学校教育とラボラトリー・トレーニング
短期間に精鋭を育成する
体験学習の第一ステップ―(Do)やってみる。行動してみる。体験してみる。
第二ステップ―(Look)ふり返ってみる。反省してみる……〔問題の明確化〕
第三ステップ―(think)考えてみる。分析してみる……〔問題の原因・本質の究明〕
第四ステップ―(Glow)体得する。体得したことを理論化・一般化することによって成長につながる
「Do」(やってみる)「Look」(ふり返ってみる)を反覆して学習した兵学校
体験学習の場では受身ではなく、主体的・能動的・積極的に取り組むことが条件
日常の無難な行動でなく、進んで新しい行動を試みる―失敗から学ぶ―
(Here and now)「今ここ」でのことに焦点をあて、そこから学ぶ
開放的コミュニケーションの必要性
第2章 海軍式「しつけ訓練」から学ぶこと
兵学校教育は「しつけ訓練」からはじまる
「しつけ」の基本は「枠はめ」である
「しつけ」は自分の身近な人の影響が大きい―兵学校の自治制―
個人指導の対番と集団指導
兵学校式「しつけ」は江戸時代から各地の農村にもあった
「しつけ」は集団による自治制で―セルフ・コントロールと責任―
「しつけ訓練」には「しつけ」の目標が必要―CIにも「しつけ訓練」が必要
「しつけ」にはリーダーの率先垂範が欠かせない
「しつけ」には強制と反覆が大切だ
兵学校では何かにつけて「やりなおーしッ!」
兵学校の制裁はすべて鉄拳だった
兵学校のぶん殴りは暴力ではなかった
「しつけ」には集団規範(ノーム)の影響が強く働く
言い訳は許されなかった
「しつけ」も行き過ぎるとマイナスになる―長所も使い過ぎると短所になる―
「マニュアル人間」も数多く輩出した兵学校教育の欠落部分
第3章 海軍式リーダーシップ
リーダーシップの開発に力を入れた
兵学校のリーダーシップは、マネジリアル・リーダーシップが中心であった
2つのリーダーシップの使い分けが大事
一号生徒が主に使うパワーは、強制的パワーであった
権威(威圧)的アプローチと親近的アプローチ
鬼のような一号生徒のやさしさ
マネジリアル・リーダーシップには、権威(威圧)的アプローチと親近的アプローチの使い分けが肝心
親近的アプローチばかりでは企業のマネージャーは失格
自分本位の行動は真のリーダーシップにならない
マネジリアル・リーダーシップには、リーダーとメンバーとの間の心のつながり(ラポート)が大切―催眠の原
兵学校での面白い現象
親近的アプローチは、相手を名指しで呼ぶことから始まる
親近的アプローチには、慰めよりも励ましが大切
効果的なリーダーシップを発揮するには―部下に弱みもみせられるリーダーになれ―
ある会社社長の場合
ノンバーバル・コミュニケーションを地でいく光景
自分の弱みを知り、自覚せよ
「部下はほめて使え、叱って使うな」では人は育たない
リーダーシップは、人と人の関り合いである―一方通行でなく両面通行が必要―
マネジリアル・リーダーシップには、リーダーの率先垂範が必要
第4章 海軍のけじめの精神とつけ方
下士官の教員は、身分的に生徒の上になったり下になったりする
状況に応じた役割を機能的に果たせ
敬礼をしなくて叱られ、敬礼をして叱られる―状況によるけじめ―
権威(威圧)的アプローチと親近的アプローチのけじめ
私的な面に対する温情、配慮が強かった
公私の区別をきちんとつけた
オフィシャルの場の厳しさ、プライベートの場のありのままの人間らしさ
年長の部下を管理するコツ―ものごとに「けじめ」をつけること―
指揮する者は、指揮される訓練が必要―指揮する立場と指揮される立場のけじめ
立身出世主義を排して(Here and now)「今ここ」に生きることを大切にする
第5章 率先垂範の研究
常に「指揮官先頭」「率先垂範」の海軍
すべてのことに「率先垂範」する必要はない
相手から信頼され、尊敬されている人の「率先垂範」が効果的である
「率先垂範」は、集団が危機や困難な状況のときに、もっとも必要である
「率先垂範」はシステム・リーダーシップには阻害になる
第6章海軍教育の限界と欠落部分
初級士官の場合は教育の成果が十分あがった
「指揮官先頭」「率先垂範」の精神が戦略発想の邪魔をした
「情報」の価値を軽くみた海軍
「思慮すること」を軽視した海軍の教育
固定概念にとらわれすぎたのも敗因の一つになった
(Here and now)「今ここ」での精神が大局をつかみ、物事を総合的に判断する力を弱めた
システム・リーダーシップの必要性―少数意見が無視された―
無視された井上大将の意見書
オフィシャルな場ではマネジリアル・リーダーシップが幅をきかせた
日本海軍トップの年功序列が敗戦を導いた
参考文献あり