図書アイコク ヒャクニンイッシュ ショウカイ000037262

愛國百人一首詳解

サブタイトル1~10
編著者名
水野 治久 著者
出版者
大衆書房
出版年月
1943年(昭和18年)4月
大きさ(縦×横)cm
19×
ページ
〔108〕p
ISBN
NDC(分類)
911
請求記号
911/Mi96
保管場所
地下書庫和図書
内容注記
落丁あり
和書
目次

あし原やこの国ぶりの言の葉に栄ゆる御代の声ぞ聞ゆる(小沢芦庵)
あしひきの山にも野にも御猟人得物矢手挟み散動りたり見ゆ(山部赤人)
あぢきなやもろこしまでもおくれじと思ひしことは昔なりけり(新納忠元)
あふぎ来てもろこし人も住みつくやげに日の本の光なるらむ(藤原実隆)
あまざかる蝦夷をわが住む家としてならぶ千島のまもりともがな(徳川斉昭)
天地の神を祈りて幸矢貫き筑紫の島をさして行く吾は(大田部荒耳)
天の原てる日にちかき富士の嶺に今も神代の雪は残れり(橘枝直)
天の下すでに覆ひて降る雪の光を見れば貴くもあるか(紀清人)
新たしき年のはじめに豊の年しるすとならし雪の降れるは(葛井諸会)
青海原潮の八百重の八十国につぎてひろめよこの正道を(平田篤胤)
青雲のむかふすきはみすめらぎのみいつかゞやく御代になしてむ(平野国臣)
あをによし寧楽の京師は咲く花の薫ふがごとく今さかりなり(小野老)
霰降り鹿島の神を祈りつつ皇御軍に吾は来にしを(大舎人部千文)
いのちより名こそ惜しけれもののふの道にかふべき道しなければ(森迫親正)
命をば軽きになして武士の道よりおもき道あらめやは(源致雄)
岩が根も砕かざらめやもののふの国の為にと思ひ切る太刀(有村治左衛門)
海ならずたゝへる水の底までも清き心は月ぞ照さむ(菅原道真)
翁とてわびやは居らむ草も木も栄ゆる時に出でて舞ひてむ(尾張浜主)
後れても後れてもまた君たちに誓ひしことをわれ忘れめや(高杉晋作)
大君のためにはなにか惜しからむ薩摩の瀬戸に身は沈むとも(僧月照)
大君の命かしこみ磯に触り海原渡る父母を置きて(丈部人麿)
大君の命恐み大船の行きのまにまにやどりするかも(雪宅麿)
大君の御楯となりて捨つる身と思へば軽きわが命かな(津田愛之助)
大君の御贄のまけと魚すらも神世よりこそつかへきにけれ(石川依平)
大君の御旗の下に死してこそ人と生れし甲斐はありけれ(田中河内介)
大君の宮敷きましし橿原のうねびの山の古おもほゆ(鹿持雅澄)
皇は神にしませば天雲の雷の上に廬せるかも(柿本人麿)
大御田のみなわも泥もかきたれてとるや早苗は我が君の為(賀茂真淵)
大宮の内まで聞ゆ網引すと網子ととのふる海人の呼び声(長奥麿)
大日本神代ゆかけてつたへつる雄々しき道ぞたゆみあらすな(賀茂季鷹)
大山の峰の岩根に埋めにけりわが年月の大和だましひ(真木和泉)
思ひかね入りにし山を立ち出でて迷ふうき世もたゝ君の為(藤原師賢)
かきくらすあめりか人に天つ日のかゞやく国のてぶり見せばや(藤田東湖)
限なき恵みを四方にしき島や大和島根は今さかりなり(藤原為定)
かぐ山の尾の上に立ちて見渡せば大和国原早苗とるなり(上田秋成)
かけまくもあやに畏きすめらぎの神のみ民とあるが楽しさ(栗田土満)
鹿島なるふつのみ霊のみ剣をこころに磨きて行くはこの旅(高橋多一郎)
片敷きて寝る鎧の袖の上に思ひぞつもる越の白雪(武田耕雲斎)
かへらじとかねて思へば梓弓なき数に入る名をぞとどむる(楠木正行)
唐国に往き足らはして帰り来む丈夫武雄に御酒たてまつる(多治比鷹主)
君がため命死にきと世の人に語り継ぎてよ峰の松風(松本圭堂)
君がため花と散りにしますらをに見せばやと思ふ御代の春かな(加納諸平)
君が代にあへるは誰も嬉しきを花は色にもいでにけるかな(藤原範兼)
君が代はいはほと共に動かねばくだけてかへれ沖つしら波(伴林光平)
君が代は千代ともささじ天の戸やいづる月日のかぎりなければ(藤原俊成)
君が代はつきじとぞ思ふ神かぜやみもすそ川のすまむ限は(源経信)
君が代は松の上葉におくつゆのつもりて四方の海となるまで(源俊成)
君が代を思ふ心のひとすぢに吾が身ありとはおもはざりけり(梅田雲浜)
君をいのるみちにいそげば神垣にはや時つげて鶏も鳴くなり(津守国貴)
曇りなき月を見るにも思ふかな明日はかばねの上に照るかと(吉村虎太郎)
曇りなきみどりの空を仰ぎても君が八千代をまづ祈るかな(藤原定家)
今日よりは顧みなくて大君の醜の御楯と出で立つ吾は(今奉部与曾布)
しきしまのやまと心を人とはゞ朝日ににほふ山ざくら花(本居宣長)
しづたまき数ならぬ身も時をまちて君がみ為にならむとぞ思ふ(児島草臣)
すめ神の天降りましける日向なる高千穂の岳やまづ霞むらむ(楫取魚彦)
天皇に仕へまつれと我を生みし我がたらちねぞたふとかりける(佐久良東雄)
天皇の御楯となりて死なむ身の心は常に楽しくありけり(鈴木重胤)
天皇の御代栄えむと東なるみちのく山に金花咲く(大伴家持)
末の世の末の末まで我国はよろづの国にすぐれたる国(宏覚禅師)
旅人の宿りせむ野に霜降らば吾が子羽ぐくめ天の鶴群(遣唐使人母)
ちはやぶる神の御坂に幣奉り斎ふいのちは母父が為め(神人部子忍男)
勅として祈るしるしの神風に寄せくる浪はかつ砕けつつ(藤原為氏)
千代へぬる書もしるさず海つ国の守りの道は我ひとり見き(林子平)
千万の軍なりとも言挙せず取りて来ぬべき男とぞ念ふ(高橋虫麿)
遠つ祖の身によろひたる緋緘の面影浮ぶ木々のもみぢ葉(蒲生君平)
鶏の音になほぞおどろくつかふとて心のたゆむひまはなけれど(北畠親房)
取り佩る太刀の光はもののふの常にみれどもいやめづらしも(久坂玄瑞)
西の海よせくる波も心せよ神の守れるやまと島根ぞ(中臣祐春)
初春の初日かがよふ神国の神のみかげをあふげもろもろ(荒木田久老)
春にあけてまづ読む書も天地のはじめの時とよみ出づるかな(橘曙覧)
ひとかたに靡きそろひて花すすき風吹く時ぞみだれざりける(香川景樹)
富士の嶺に登りて見れば天地はまだいくほどもわかれざりけり(下河辺長流)
ふみわけよ大和にはあらぬ唐鳥のあとをみるのみ人の道かな(荷田春満)
降る雪の白髪までに天皇に仕へまつれば貴くもあるか(橘諸兄)
真木柱ほめて造れる殿のごといませ母刀自面変りせず(坂田部首麿)
ますらをが思ひこめにし一筋は七代かふとも何たわむべき(渋谷伊与作)
丈夫の弓上振り起し射つる矢を後見む人は語り継ぐがね(笠金村)
朝廷辺に死すべきいのちながらへて帰る旅路の憤ろしも(有馬新七)
御民吾生ける験あり天地の栄ゆる時に遇へらく念へば(海犬養岡麿)
みちのくのそとなる蝦夷のそとを漕ぐ舟より遠くものをこそ思へ(佐久間象山)
身はたとひ武蔵の野辺に朽ぬともととめおかまし大和魂(吉田松陰)
宮柱しつた岩根にしき立ててつゆも曇らぬ日の御影かな(西行法師)
みやま木のその梢とも見えざりし桜は花にあらはれにけり(源頼政)
昔たれかゝる桜の花を植えて吉野を春の山となしけむ(藤原良経)
もののふの上矢のかぶら一筋に思ふ心は神ぞ知るらむ(菊池武時)
もののふの兜に立つる鍬形のながめがしはは見れどあかずけり(田安宗武)
武夫のたけき鏡と天の原あふぎ尊め丈夫のとも(平賀元義)
もののふのやまと心をより合せただひとすぢの大綱にせよ(野村望東尼)
もろこしも天の下にぞ有りと聞く照る日の本を忘れざらなむ(成尋阿闍梨母)
やすみししわが大君のしきませる御国ゆたかに春は来にけり(大倉鷲夫)
やすみししわが大王の食国は大和も此処も同じとぞ念ふ(大伴旅人)
八束穂の瑞穂の上に千五百秋国の秀見せて照れる月かも(橘千蔭)
山のごと坂田の稲を抜き積みて君が千歳の初穂にぞ春く(大中臣輔親)
山はさけ海はあせなむ世なりとも君にふた心わがあらめやも(源実朝)
行く川の清き流れにおのづから心の水もかよひてぞすむ(徳川光圀)
わが国はいともたふとし天地の神の祭をまつりごとにて(足代弘訓)
わが背子はものな思ほし事しあらば火にも水にも吾なけなくに(安倍郎女)
われをわれとしろしめすかやすめらぎの玉のみ声のかゝるうれしさ(高山彦九郎)
男山今日の行幸の畏きも命あればそをろがみにける(大隈言通)
士やも空しかるべき万代に語り継ぐべき名は立てずして(山上憶良)
附あり