戦争と科学者
1 スキャンダル
無煙火薬バリスタイトとコーダイト
コーダイト裁判とイギリス科学者のスキャンダル
2 ノーベル賞
国家への忠誠義務のない兵器発明家アルフレッド・ノーベル
化学爆薬工業の基礎、ダイナマイトの発明
ベルタ・フォン・ズットナーの平和運動とノーベルの窮極兵器への夢
相続人のいない百万長者ノーベルの遺言とノーベル賞
3 若い天才
アインシュタインの少年時代につちかわれたドイツ的性格への反発
プロシア科学アカデミー会員となったアインシュタインとドイツ軍国主義
4 世界大戦
科学者の戦争に対するさまざまなかかわりあい
「名声で少しも身をくずすことのなかった唯一の人」科学的夢想家マリー・キュリーの場合
5 物理学者の成長
相対性理論と世界中に広まったアインシュタインの名声
平和主義とシオニズムへのためらうことのない発言
理想と現実の違い、幻滅の種子の芽ばえ
プロシア科学アカデミー声明「われわれはアインシュタインの辞任を措しむべきなんらの理由をも見出すことが
平和主義者アインシュタインの方向転換とプリンストンでの隠遁
6 ハンガリー人の登場
ウランの核分裂が巨大な重要結果をもたらす可能性を予見した亡命物理学者たち
アインシュタインをかつぎ出してルーズベルトへの手紙を書かせたシラード
「パ!やってみよう」
7 ドイツでは
二〇世紀の初めはドイツ科学の優越の時代であった
フォン・ブラウンの黄金の仔牛、ロケット
ナチ政権下の物理学者、ハイゼンベルグとフォン・ワイゼッカー
核分裂の発見と連鎖反応によるエネルギー発生の可能性
第二次世界大戦の勃発とドイツの原子兵器開発の開始
ボーアはハイゼンベルグに「一般的免罪符」を与えなかった
ペーネミュンデ計画がつくりあげた報復兵器V2号
ドイツのウラン計画を捜し回ったアルソス作戦
アメリカ軍に投降したドルンバーガーとフォン・ブラウン
イギリスに監禁され「われわれがつくることができなかったことを神に感謝する」ドイツの物理学者たち
8 イギリスでは
科学行政官ティザードとリンデマンの確執
イギリスの防空と科学者
科学者と科学顧問
9 警鐘
イギリスやアメリカに喜びの声で迎えられた亡命科学者
イギリスの戦争科学の寵児レーダーの誕生に導いた科学者の動員
原子爆弾を正しく予言したフリッシュ=パイエルス覚書
イギリスの原子爆弾開発計画をまとめたモード委員会
10 アメリカでは
原子爆弾計画における科学と政府の結びつき
歴史上最も大きな技術組織マンハッタン計画の出発
原子力計画に参加していった科学者たち
ロス・アラモス研究所長となったオッペンハイマー
原子力計画におけるイギリスとアメリカの科学協力
ロス・アラモスの生活と科学者の政治的良心
原子爆弾はアラモゴードで誕生した
11 人間の歴史の流れ
アメリカに渡ったニールス・ボーア
ボーアとチャーチルとルーズベルト
若い科学者の良心の迷い
人間の歴史で最も恐るべき兵器
原子爆弾の示威実験を勧告したフランク報告書
原子爆弾投下に反対したシラード請願書
広島と長崎への原子爆弾の投下
人類はその結果に直面しなければならなくなった
12 背信
グーゼンコ事件
アラン・ナン・メイ事件
アラン・ナン・メイ裁判
「私自身は、私の行動が正しかったと信じている」
物理学者クラウス・フックス
クラウス・フックス裁判
ポンテコルボ事件
ローゼンバーグ夫妻事件
13 フランケンシュタインの出現
科学者は原子爆弾の禁止を求めた
水素爆弾の可能性
水素爆弾製造に反対したアメリカの科学者
大統領は水素爆弾の開発を決定した
14 ずばぬけた人物
オッペンハイマーを告発したマッカーシズム
異端者裁判のような個人審査委員会
コップのなかの嵐、シュバリエ事件
水素爆弾とオッペンハイマーの忠誠心
国の安全保障と科学者
15 きたるべき戦争の形態
第一次大戦までのCB兵器
第二次大戦後のCB兵器
防御用と称するCB兵器の秘密研究
無能力化兵器は人道的兵器だろうか
生物学兵器戦争の特質
16 明日の日は
科学の社会的責任と科学者
「危険をもたらしてきたのは科学であるが、ほんとうの問題は人間の心と胸の中に存在する」
資料・索引あり