図書センソウ ト ヘイワ ノ ホウ000032075

戦争と平和の法 第3巻

サブタイトル1~10
編著者名
グローチウス [著]/一又 正雄 訳者
出版者
酒井書店
出版年月
1996年(平成8年)1月
大きさ(縦×横)cm
22×
ページ
1冊
ISBN
NDC(分類)
329
請求記号
329/G88/3
保管場所
閉架一般
内容注記
1951年刊の複製 【De jure belli ac pacis.・の翻訳】
和書
目次

第3巻
戦争においていかほどのことが許され得るか。自然法による一般的規則、ならびに奇計および欺罔について
論議の順序
第一の規則、戦争においては、目的のために必要なることは、許され得ること、ならびにその説明
第二の規則、権利は単に戦争の起源のみでなく、附随的原因からも考察されるべきこと
第三の規則、戦争の目的から許され得ないあるものが、危害となることなくして生じ得ること、これに対して予
敵に対して物を供給するものに向つては、いかなることが許され得るか、その詳細なる説明
戦争において奇計を用ひることは許されるか否か
消極的行為においては、奇計は、それ自体許され得ないことはないこと
積極的行為のなかの奇計は二種に分れる。表示の自由なる行為を通じて行はれる奇計と、あたかも合意による如
第二種の奇計に関しては、問題は困難である
他の意味に取られるべきことが知られてゐる表現のあらゆる使用が許され得ぬといふことはない
虚言の特質は(それが許し得ざるものである限りにおいては)他人の権利との牴触に存する。その説明
幼児および精神異常者に虚言を言ふことは許され得る
欺かれるのが話の相手方でないものの場合は、虚言を為すことが許される。その言葉に関係なくかゝるものを欺
かく欺かれることを欲するものに話が為される時も、これを欺くことが許され得る
話手が自己に従属するものに対して優位なる権利を用ひる場合も同様である
無辜の者の生命、或はこれと同等の重要性ある他のあるものを、他の方法では救ひ得ない時も、恐らく許され得
敵に対して虚言を言ふことが許され得るとの見解を有する著者
これは約定を含む言葉に拡大されるべきではない
これは宣誓にも拡大されるべきではない
しかし敵に向つてすら虚言を避けることは一層気高く、且つキリスト教徒の単純性にとつて一層適はしいこと。
我々には許されるが、その者には許されぬやうなものを何人に対しても強制することは許されぬ
しかし自発的に提供された援助を用ひることは許される
万民法によれば、従属者の財産は、いかにしてその支配者の債務によつて拘束され得るか、ならびに報復につい
自然的には、相続者以外の何者も、他人の行為によつては拘束されない
しかし従属者の財産および行為が支配者の債務のため拘束されることが、万民法によつて導入されたること
人の逮捕の例
財産の押収の例
これは権利が否認された後、しかして否認されたと充分考へられる時に行はれる。こゝにおいて、判決は権利を
人命には関係なきこと
これに関して、国民法にあるものと万民法にあるものとの区別
万民法に従つて正しき或は正式なる戦争について。さらに宣戦について
万民法に従つて正式なる戦争は、相異なる人民間の戦争である
人民がいかに不正なる行為を行ふとも、これは海賊或は盗賊との間に区別の存すること
しばしば変化が生ずること
正式の戦争の性質には、それが主権を有するものによつて行はれることが必要であること、ならびにこれをいか
宣戦もまた必要なること
宣戦のいかなるものが自然法より来たり、そのいかなるものが万民法に特有のものなるかについての詳細なる説
宣言のあるものは条件附であり、あるものは絶対的である
宣言において万民法に属せず、国民法に属するもの
何人かに対して宣言されたる戦争は、彼の側に立つ限りにおけるその従属者および同盟者に対しても同時に宣言
従属者および同盟者が、彼等自身別に考慮される場合は然らざること、ならびにその例証
ある効果を得るために何故宣言が必要とされるかの理由
この効果は他の戦争には生じないこと
戦争は、その宣言と同時にこれを行ひ得るや否や
使節権を侵害したる者に対して戦争を宣言すべきや否や
正式の戦争において敵を殺害する権利、およびその他の身体に加へられる暴力について
正式の戦争の効果の一般的説明
「許される」といふ言葉は、悪を欠かないが、不罰的に行はれるものと、たとひ行はざる方が徳であるとしても
正式の戦争の一般的効果は、不罰性を付与する許容に関係を有する
かゝる効果は何故導入されたか
これらの効果についての証拠
この権利から、敵の領土内にあるすべてのものを殺傷し得る
戦争の開始前に敵国領土に入つてゐた外国人の場合はいかに考ふべきか
他の領土の法が妨げない限り、敵の従属者はいづこにおいても、これを害し得る
加害権は、幼児と女にすら及ぼされる
加害権は、捕虜に対してすら、いかなる時も及ぼされる
この権利は、降伏せんと欲するも、その降伏が受諾されないものにすら及ぼされる
この権利は、無条件的に降伏したるものにすら及ぼされる
この権利を返報、或は執拗なる抵抗の如き他の原因に帰せしめることは真実である
この権利は、人質に対しても及ぼされる
万民法によれば、何人をも毒殺することは禁ぜられる
万民法によれば、武器に毒を塗り、或は水に毒を入れることは禁ぜられる
水を他の方法で腐敗せしめることは、万民法によつて禁ぜられてゐない
刺客の使用は、万民法に反するや否や
暴行は、万民法に反するや否や
荒廃と掠奪について
敵産はこれを破壊し且つ掠奪し得る
神聖なる敵産に対してすらこれを許される。これをいかに理解すべきか
奉納されたる敵産も同様である、およびその注意
これらについては、いかなる程度の奇計が許され得るか
戦争において捕獲したるものの取得権について
戦争において捕獲したるものの取得権についての自然法はいかなるものか
万民法はいかなるものかについて、ならびにその証明
動産は、万民法によつて捕獲されると考へ得るか
土地は何時捕獲されると考へ得るか
敵に属しないものは、戦争によつて取得されない
敵船中に発見されたものについては如何
我々の敵が戦争によつて他人から取つたものは、万民法によつて我々のものとなること、ならびにその証明
敵から捕獲したものはすべて捕獲したる個人のものとなるとの見解の排除
自然によれば、占有と所有権は他人を通じてこれを取得し得ること
公的なる敵対行為と私的なる敵対行為との区別
土地は人民或は戦争を行ふ者のために取得されること
動産或は自ら動く物は、私人の行為によつて捕獲したる個人のものとなる
これは国民法が別様に規定しない限りにおいてである
公的行為によつて捕獲されたものは、人民或は戦争を行ふ者に属する
しかし、かかるものに対する若干の決定は、通常支配者に委ねられる
支配者はこれ(戦利品)を公有物と為し得る
或はこれを兵士の間に分配し得る。かかる分配はどのやうに為されるか
或は掠奪を許し得る
或は他人に与へ得る
或はこれを分配することを決定した後に、どのやうにも分配の方法を定め得る。これはいかなる方法で行はれる
戦利品の分配において行はれる公金私消
法規或は他人の意思行為によつて、この共通の権利にある変更を加へ得る
かくて戦利品は同盟者にこれを与へ得る
しばしば従属者にも与へ得る、これは陸上および海上における種々なる例によつて明かとされる
以上に述べたことの適用
両交戦国の領土外において捕獲されたものは、これを戦争の法によつて取得し得るや否や
上述した権利は、いかなる風に正式の戦争に特有なるか
捕虜に対する権利について
万民法によれば、正式の戦争中に捕へられたる者はすべて奴隷になること
彼等の子孫も、また同様なること
彼等に対しては、いかなることを咎めなく行ひ得るか
捕虜の財産は、無体物といへども、その主人に帰属する
かゝることが定められたる理由
捕へられたる者が逃亡することは許され得るや否や
捕へられたる者がその主人に抵抗することは許され得るや否や
かゝる法は、すべての民族の間に常には存してゐない
かゝる法は、今ではキリスト教徒の間には存在しない。いかなるものが、これは代はつたか
戦敗者に対する支配権について
戦争によつて、国家の支配権もまた取得される、それは時には王に、時には人民に与へられたものとして取得さ
また人民に対する個人的支配権も取得される、この場合該人民は国家たることを終止する
時には両者が混合される
また人民の財産も、無体財産の如きものすら、取得される、テスサリア人の証書の問題の論議
戦後復権について
戦後復権の語原
いかなる場合に戦後復権は起り得るか
戦後復権によつて、あるものは返還され、あるものは回復される
戦後復権の権利は平時にも戦時にも存する。平時においてそれが定められてゐなかつた場合は、いかに定むべき
自由人は、戦争継続中に、戦後復権によつて何時帰還し得るか
戦後復権によつて帰還した自由人は、いかなる権利を回復し得、いかなる権利を回復し得ないか
彼等に対する権利もまた回復される
降伏した者は、何故戦後復権せ有しないか
人民は何時戦後復権を有し得るか
戦後復権によつて帰還した人々の場合について、国民法はいかなる規定を有するか
奴隷は、逃亡した者すら、いかにして、戦後復権によつて回復されるか、償贖を行つた者については如何
従属者は戦後復権によつて回復され得るや否や
領土は戦後復権によつて回復される
動産に関しては、以前はいかなる区別に従つてゐたか
動産に関する現今の法はいかなるものか
戦後復権を要せざる如くに回復され得るのはいかなる物か
これに関し、当該国家に従属する者に適用するものとして国民法が導入したる変更
敵でなかつた者の間では、戦後復権はいかに遵守されてゐたか
現在は、戦後復権は何時行はれ得るか
不正なる戦争において行はれる事柄に関する警告
法規が許容することを名誉心が禁ずるといふのはいかなる意味か
このことは万民法によつて許容されてゐると我々が述べた事柄にも適用される
不正なる戦争によつて為されたことは、道徳的不正の見地から不正である
何人が賠償の義務を有するか、またその範囲は如何
不正なる戦争において捕獲されたる物は、これを捕獲したる者によつて返還されるべきか否か
それらの物は、これを保有する者によつて返還されるべきか否か
正戦における殺戮権の緩和
正戦においては、若干の行為は内部的正義を欠くこと、その説明
内部的正義によれば、いかなる者を殺し得るか
何人をも、その不運を理由に、正当に殺し得ない。例へば強制されて一方に加担したる者の如きである
不運と欺罔との中間たる過失のためにもこれを殺し得ない。かゝる過失の性質の説明
戦争の主謀者と、これに従ふ者とは区別すべきである
戦争の主謀者については、認め得べき原因と認め得べからざる原因とを区別すべきである
死に値する敵に対してすら、しばしば処罰を正当に免除し得る
無辜なる者の死は、不慮の出来事による死といへども、可能なる限り、これを阻止するやうに配慮すべきである
子供は常に助命されるべきである。婦女は重大なる犯行なき限り助命すべきである。老人もまた然り
聖戦、或は文学以外の職業に関係なき者も
農民も
商人およびこれと類似の者も
捕虜も
衡平なる条件にて降伏せんとする者を受容れるべきである
無条件にて降伏する者もまたこれを助命すべきである
重大なる犯罪が存しない限り、上述のことは真理である。これをいかに理解すべきか
有罪の者も、その数が大なる場合は助命することが正当である
人質は、彼等自ら犯罪を行はぬ限り、これを殺すべきでない
すべて無用なる戦闘は避けるべきである
荒廃その他類似の事柄における緩和
荒廃はいかなるものが正しきか、その程度は如何
当該物が我々にとりて有用にして、且つ敵の権力外に存する場合は、荒廃を避けるべきである
急速なる勝利の公算大なる場合は、これを避けるべきである
敵が他の方面より維持手段を得る場合は、これを避けるべきである
それ自体が戦争資源に有用ならざる物の場合も然り
この原則は神聖なる物または神聖なる物に関係ある物に特に適用される
それは奉納物にも適用される
かゝる緩和から生ずる利益の説明
捕獲物に関する緩和
戦争において捕獲されたる敵の従属者の財産は、その債務の限度まで抑留すべきである
それは、他人の犯罪に対する刑罰として抑留すべきではない
こゝにおいては、戦時に生ずるものをも債務と理解すべきである
こゝでは、権利の完全なる行使を行はないことが人道的である
捕虜に関する緩和
内部的正義によれば、いかなる範囲まで、人を捕へることが許されるか
内部的正義の力によれば、奴隷に対していかなることを為することが許されるか
無辜なる者を殺ることは許されぬ
苛酷に罰することは許されぬ
過重なる苦役を奴隷に課することは許されぬ
奴隷の蓄財は、いかなる場合、主人に属し、いかなる場合、奴隷に属するか
奴隷が逃亡することは、許され得るか否か
奴隷の子は、主人に拘束されるか、拘束されるとすれば、いかなる範囲までか
捕虜を奴隷化する慣はしなきところでは、いかになすべきか
支配権の取得に関する緩和
内部的正義はいかなる範囲まで支配権の取得を許すか
被征服者に対するこの権利を抛棄することは賞讃すべきことである
或は彼等を征服者と混合させることにより
或は支配権をその前の所有者に残すことにより
時には駐屯兵を駐屯せしめることにより
或は納貢および類似の負担を課すことによりてすら
かゝる緩和より生ずる利益の指摘
その実例、ならびに被征服者の間における統治形態の変更について
支配権を取得する場合は、その一部を被征服者に残すことが正当である
或は、少くとも、ある程度の自由を残すべきである
特に宗教の事柄において
少くとも被征服者は、寛大に取扱はれるべきである。何故か
万民法によりて戦後復権を有せざるものに関する緩和
不正なる戦争において、我々の敵が他より取りたる物をも返還すべきことを内部的正義は要求する
実例
返還されるものから、何ものかを差引き得るや否や
従属的人民または人民の部分すらも、それらが敵によりて不正に征服されたる場合は、それらが前に属したるも
いかなる時に返還の義務は消滅するか
疑はしき原因の存する場合は、いかになすべきか
戦争において中立なる者について
平和関係にある者からは、何物をも取るべきではない。但し最大の必要ある場合は、その代価を弁償するならば
自制の実例と教訓
平和関係にある者の交戦者に対する義務は如何
公戦における私人の行為について
私人が敵に害を与へることが許され得るや否やは、自然法、万民法および国民法を区別してこれを論ずる
自己の費用にて軍務に従事し、或は船舶を艤装する者は、敵に対していかなることを為することが、内部的正義
彼等の国家によりて許されるか
キリスト教の愛の規則は、かゝる者について、いかなることを要求するか
私戦は公戦といかに混同されるか
委任なくして敵に害を与へたる者は、いかなる義務を有するか、その説明ならびに区別
敵相互間の信義について
敵が何たるやを問はず、敵に対して信義を守るべきである
海賊および暴君に対して信義を守るべきでないとの見解の排除
かゝる者達が刑罰に値するとの事実から抽出される議論に対する回答、ならびに彼等をかゝる者として取扱ふ時
恐怖によりて約定が締結されたる事実も、もしその約定したる者に加へられたものでない場合は、何等妨げとな
或はまた宣誓が為された場合も然り、但し盗賊の場合は、人々に関する限りにおいて、かゝる宣誓は不罰的に侵
同様のことは、叛乱した従属者についてもこれを適用し得る
強大なる所有権の下において、従属者に為されたる約定からは特別の困難が惹起する
かゝる約定は、国家の宣誓によつて確認され得る
或はまた、かゝる約定は、その対象たる第三者が介入する場合も有効である
政体はいかに変更され得るか
万民法上正式なる戦争に関しては、恐怖は例外を正当化するものでない
万民法が認める如き恐怖については、いかなることを理解すべきか
信義は、不信なる者に対してすら、これを遵守すべきである
条件が変化した場合は、信義を遵守すべきではない。しかしてこれは他方が遵守すべき合意の部分を遵守しない
正しき相殺が反対されたる場合も然り
このことが他の契約に基くときも、正しき相殺が反対された場合はまた然り
損害が生じたる場合も然り
さらに刑罰より生ずる場合も然り
これらのことは、戦争においてどのやうに適用せられ得るか
戦争を終了せしめる公的信義について、ならびに平和条約について、抽籤について、合意による戦闘について、
発生の順序による敵相互間の信義の分類
王国においては、講和締結権は王に属する
王が未成年者、精神異常者、捕虜なる場合、或は逃亡せる場合は如何
貴族国または民主国においては、講和締結権は多数者に属する
いかにして支配権、または支配権の一部、または王国の財産は、講和のためこれを有効に譲渡し得るか
人民またはその継承者は、王の締結した講和によりて、いかに拘束されるか
公益のため、従属者の財産は、講和によつて譲渡され得る、但しこれに対しては、損害賠償の義務が存する
戦争中、すでに失つた財産については如何
こゝでは万民法、或は国民法のいづれによつて取得された財産なるか、その間の区別は存しない
外国人の見地よりすれば、公益は推定的である
講和条約の解釈の一般的規則
疑ある場合は、現状維持の合意が存すると信ぜられる、これはいかに理解すべきか
合意されたる場合は、いかにして一切を戦争前の状態に回復せしむべきか
かゝる場合、以前独立してゐた者で自発的に他人に従属したる者は復帰しない
疑ある場合は、戦争より生じたる損害は赦されたと考へられる
このことは戦争前に私人に対して有したる債務には適用されない
疑ある場合は、戦争前において公的には当然なる刑罰もまた赦されたと考へられる
刑罰に対する私人の権利については如何
戦争前において公的に主張されたるも、紛争中なりし権利は、撤回されたといふことが容易に理解される
講和締結後捕獲されたる物は、これを返還しなければならない
戦争中捕獲された物を返還する合意に関係ある若干の規則
果実について
地方の名称について
旧条約の援用について、ならびに未履行者について
遅滞について
疑ある場合は、規定を作成したる当事者の利益に反する解釈を採るべきである
戦争の新原因の発生と、条約破棄との区別
いかなる講和条約中にも含まれることに反する行為によつて、講和条約はいかに破棄せられ得るか
同盟者が攻撃したる場合は如何
従属者がこれを行ひたる場合は如何、いかにして彼等の行為は承認されたるものと考へられるべきか
従属者が他人の軍務に服したる場合は如何
従属者に対して害が加へられたる場合は如何、ならびにその区別
同盟者に対して害が加へられたる場合は如何、ならびにその区別
講和条約中に定められたることに反する行為によつて、講和条約はいかに破棄せられ得るか
講和条約の各条項間に差別を設けるべきや否や
刑罰が附加された場合は如何
必要が履行を妨げたる場合は如何
被害者が欲する場合は、講和条約は継続する
各講和条約の特性に属することに反する行為によつて、講和条約はいかに破棄せられ得るか
友誼なる名称の下には、いかなるものが入るか
従属者や逃亡者を受入れることは友誼に反するや否や
抽籤によつていかに戦争は終了し得るか
合意による戦闘によつて、いかに戦争は終了し得るか、これは許され得るや否や
かゝる場合の王の行為は人民を拘束するか
何人が勝利を審判すべきか
仲裁裁判によりていかに戦争は終了し得るか、こゝにおいて仲裁裁判は上訴なきものと理解される
疑ある場合は、仲裁者は法に従つて判決する義務があると理解される
仲裁者は、占有関係について判決すべきでない
純粋の降伏の効力は如何
かくの如く降伏したる者に対する戦勝者の義務は如何
条件附降伏について
人質としていかなる者を与へ得るか、また与へるべきか
人質に対する権利はいかなるものか
人質の逃亡は許され得るや否や
人質は、何等か他の原因のため、これを抑留することは、許され得るや否や
他人のために来たりたる人質は、その当人の死亡によりて解放される
人質は、これを与へたる王の死亡後も抑留され得るや否や
人質は、時には本人としての義務を有する、しかして他人の行為に対しては義務を負はない
担保から生ずる義務はいかなるものか
買戻権は何時失はれるか
戦争中の信義について、ならびに休戦、護照権、捕虜の償贖について
休戦とは何か、この期間は、平和或は戦争のいづれの名の下に入るか
語原
休戦後の新しき宣戦は必要でない
休戦期間はいかに計算されるか
休戦は何時より拘束し始めるか
休戦中いかなることが許されるか
休戦中退却すること、城壁を修理すること、およびこれに類似のことを為すことは許されるか
休戦中における土地の占領に関する区別
不可抗力によりて抑留された者は、休戦において帰還し得るか
休戦中の特別合意について、ならびにそれより生ずる問題について
休戦の合意事項が一方によりて侵犯されたる時は、他方は戦争を開始し得る
かゝる侵犯に対して罰が加へられるとすれば、それはいかなるものか
私人の行為は何時休戦を破棄するか
休戦期間外における護照権については、いかに理解すべきか
戦闘員の名称の下にはいかなる者が入るか
これに関聯して、往く、来る、帰へる、といふ言葉をいかに理解すべきか
護照権の人への拡張について
護照権の手荷物への拡張について
随行者および国籍なる名称の下に、いかなる者が含まれるか
護照権は許与者の死亡によりて消滅するや否や
護照権が許与者の随意によりて許与されたる場合は如何
領土外においても安全は当然与へられるべきものなりや否や
捕虜の償贖の効用
償贖が法規によりて禁ぜられ得るや否やについての説明
捕獲権は移譲し得るか
償贖は一人の者によつて、数人の者に対して行ふこともあり得る
捕虜の富有さが知られないとの理由にて合意を廃棄し得るか
捕虜のいかなる財産が捕獲者に属するか
相続人が償贖の代価に対して債務を負ふや否やについての説明
他人を解放するために釈放されたる者は、他人が死亡したる場合は帰るべきや否や
戦争における下位権力者の信義について
指揮者の種類
指揮者の為したる合意は、いかほど主権者を拘束するか
かゝる合意は、いかほど義務の機会を生ずるか
委任に反して為されたることがあるとすれば、いかなるものか、ならびにその説明
かゝる場合、地方当事者は義務を負ふや否や
下級者に関し、または彼等のために戦争の指揮者または長官は、いかなることを為し得るか
指揮者は講和を締結することを得ぬ
指揮者は休戦を為し得るや否や、ならびにその説明
指揮者はいかなる人的保障および物的保障を与へ得るか
かゝる合意は、狭義にこれを解釈すべきである、何故か
指揮者が受諾する降伏はいかに解釈すべきか
「王または人民が承認せば」なる条項を、いかに理解すべきか
都市引渡の約定をいかに理解すべきか
戦争における私人の信義について
私人は敵に与へたる約束によつて拘束されないとの見解の排除
私人は、海賊および盗賊に対してすら拘束されること、ならびにその範囲
こゝにおいては年少者も例外とされない
錯誤は免除せしめるや否や
公益の見地より為される反対に対する回答
前述のことは監獄に戻るとの約束にも適用される
一定の場所に帰へらざる約束、軍務に就かざる約束にも適用される
逃亡しないとの約束にも適用される
捕獲されたる者は他人に降伏し得ない
私人は、その約束したることを行ふべきことを、その支配者によつて強制されるべきや否や
この種の合意には、いかなる解釈を適用すべきか
生命、衣服および援軍の到着なる語は、いかに解釈すべきか
いかなるものが敵に帰還したと言はれるべきか
条件附で為されたる降伏の場合は、いかなるものが正しき援軍なるか
合意の実施に関するものは、すべて条件を構成しない
かゝる合意のため与へられたる人質について
黙示的信義について
信義は黙示的には、いかなる風に行はれ得るか
人民或は王の保護を受けんと欲する者の場合における例
談判を求め、或はこれを許容する者の場合における例
しかし、かゝる者は、談判の相手方を害しない限りにおいて、自己の利益を増大せしめることを妨げられない
慣習によつてある意味を有する無言の表示について
要認条約の黙示的承認について
刑罰は何時黙示的に撤回されるか
結論、信義と講和の勧奨
信義を守ることの勧奨
戦争においては、常に講和を目標とすべきである
また、たとひ損害を受けるとも、講和を受諾すべきである、特にキリスト教徒において然り
これは敗戦者にとつて有利である
これは戦勝者にとつても有利である
これは運命の判らぬ者にとつても有利である
講和は、締結されたる時は、最高の慎重さを以て守るべきである
祈祷、本著作の終結
著作目録・文献目録・索引あり