図書センソウ ト ヘイワ ノ ホウ000032073

戦争と平和の法 第1巻

サブタイトル1~10
編著者名
グローチウス [著]/一又 正雄 訳者
出版者
酒井書店
出版年月
1996年(平成8年)1月
大きさ(縦×横)cm
22×
ページ
397,57p
ISBN
NDC(分類)
329
請求記号
329/G88/1
保管場所
閉架一般
内容注記
1949年刊の複製 著者ほかの肖像あり 【De jure belli ac pacis.・の翻訳】
和書
目次

万民法
反対論の排除
著作の目的
本著作の内容および順序
著作の必要
著者の配慮
著作全体における構成および順序に対する配慮、ならびに明確なる論拠

第1巻
戦争とは何か、法とは何か
本著作の順序
戦争の定義およびその語原
法は行為の属性として考へられ、而して平等者間の法と不平等者間の法とに分けられる
人の資格に関する法は権能と適性とに分けられる
「権能」或は厳格なる意味における権利は権力、所有権および債権に分けられる
権能の他の区別、即ち私権および公権
適性とは何か
補充的正義と属性的正義について、これが幾何的および算術的比例によつては適当に区別されぬこと。また後者
法は規範なりと定義され、自然法と意思法とに分けられる
自然法の定義、分類、および本来的なる意味にあらざるものとの区別
他の動物に共通なる本能、もしくは人間に特有の本能は、他の種類の法を構成しないこと
自然法はいかに証明されるか
意思法の区分―人意法と神意法
人意法は国民法、国民法より範囲の狭き法、および国民法より範囲の広き法、即ち万民法に分けられる、その説
神意法は、普遍的なる法と、単一の人民に固有の法とに分けられる
ヘブライ人の法規は他の民族を拘束せず
キリスト教徒はヘブライの法規より、いかなる証明を抽出し得るか、またいかにしてこれを抽出し得るか
戦争を行ふことは、いかなる場合に正しきか
戦争が自然法に反せざることは、多くの根拠によつて証明される
戦争が自然法に反せざることは、歴史によつて証明される
戦争が自然法に反せざることは、合意によつて証明される
戦争が万民法に反せざることの証明
戦争は、福音書時代の前においても、神意法に反しなかつたといふ証明と、その反対に対する回答
戦争は福音書の法に反するや否やの問題についての予備的考察
〔戦争は福音書の法に反せずとの〕否定的見解を聖書によつて支持する議論
〔戦争は福音書の法に反するとの〕肯定的見解を聖書より行ふ議論の解決
本問題に関する初期キリスト教徒の一致せる見解の検討―訓戒によるよりも、むしろ個人の見解による否定論の
肯定論は教会の公の権威、合意および時代の慣習によつて確認される
公戦と私戦の区別、主権の説明
公戦と私戦の区分
自然法に従へば、裁判所の設置後も、すべての私戦が不法であるとは限らぬとの主張の擁護およびその例証
私戦はある場合には、福音書の法によつてすら合法的なりとの主張の擁護、ならびにその反対論の論駁
正式の公戦と、より正式ならざる公戦との区別
主権を有せざる長官の権威によつて行はれる公戦はあるか否か、またあればいかなる時か
国家権力とはいかなるものか
主権とは何か
主権は常に人民に存すとの意見の排斥、およびその論議の解決
王と人民との間には常に相互的従属関係が存するとの議論に対する論駁
真実なる意見に対する正しき理解のために為すべき注意、第一、意義において相異なる類似語の区別
第二、権利の保有の態様による権利の区別
ある主権は完全に、即ち、譲渡せられ得る如く保有される
ある場合は、主権は完全に保有されぬ
ある場合は、主権ならざる権利が完全に、即ち、譲渡せられ得る如く保有せられる
上述の区別は、王国における摂政任命の様式の相異からも確認される
主権は自然法および神意法の範囲に属せざるものの約束によつてすら制限されぬ
主権は時に人的部分と権力的部分に分れる
しかし、王が、ある集会の承認がなければ、そのある行為を有効となすことを欲せざる場合に、権力の分割が生
これに関する他の例も誤である
正しき例
不平等同盟条約によつて拘束されるものも、主権を保有し得る、これに対する論駁の解決
納貢者も主権を保有し得る
封建法によつて拘束されるものも主権を保有し得る
権利と権利の行使の区別、およびその例
従属者の優位者に対する戦争
問題の地位
優位者(としての優位者)に対する戦争は、自然法によれば許されない
それはヘブライの法によつても許されない
それは福音書の法によつても許されない、その証拠は聖書に存する
それは初期キリスト教徒の慣行によつても許されない
下位の長官が主権者に対して戦争を行ふことが許されるとの見解に対する議論および聖書による論駁
最も極端にして、時に不可避なる必要の存する場合はいかに考ふべきか
自由人民の首班に対しては戦争を行ひ得る
支配権を譲渡したる王に対しても戦争を行ひ得る
王権を譲渡したる王に対しても、単に譲渡を防止する限りにおいて、戦争を行ひ得る
公然全人民に対して敵対する王に対しても戦争を行ひ得る
委任法の結果王権を失へる王に対しても戦争を行ひ得る
王が支配権の一部を保有する場合、保有せざる部分を保有せんとする王に対しても戦争を行ひ得る
特定の場合において、反抗の自由が保留されたる場合は、王に対しても戦争を行ひ得る
主権の簒奪者に対しては、いかほどまで服従すべきか
他の支配権を簒奪したる者に対しては、なほ継続する戦争権によつて、強力をもつて反抗し得る
他の支配権を簒奪したる者に対しては、既存の法規によつても強力をもつて反抗し得る
他の支配権を簒奪したる者に対しては、主権を有するものの委任によつて、強力をもつて反抗し得る
以上の場合以外に簒奪者に対する反抗が許されぬ理由
主権が争はれてゐる場合は、私人は裁判官となつてはならぬ
いかなるものが合法的に戦争を行ひ得るか
戦争を行ふ要因は、一部は、本人として自己のために戦争を行ふものである
戦争を行ふ要因は、一部は、代行者として、他人のために戦争を行ふものである
戦争を行ふ要因は、一部は、家僕および臣民として、即ち、手段として戦争を行ふものである
自然法は、何人が戦争に参加することをも禁じてゐない

第2巻
戦争の原因、第一、自己および財産の防衛
正しき戦争の原因
正しき原因は、防衛、我々に属するものまたは我々に当然のものの追求、および刑罰より生ずる
生命の防衛のための戦争は許される
それは、単に侵害者に向つてのみ許される
それは、当面の、且つ確実なる危険ある場合許され得る、単なる推測の場合は許され得ない
四肢に対する危害の防衛も同様に正当である
節操の防衛も全く正当である
防衛権を行使しないことも許され得る
公的に有用なる人に向つて防衛することは、愛の法則に反するが故に、時に許され得ない
キリスト教徒にとつて、打擲その他これに類似する侮辱を排除し、または逃亡の不名誉を避けんがため人を殺す
財産の防衛のために人を殺すことは自然法によつて許される
モーゼの法によつて財産の防衛はいかほどまで許されるか
福音書の法に従へば、財産の防衛のため人を殺すことは許され得るや否や、またいかなる範囲まで許されるか
防衛のために人を殺すことを許容する国民法は、権利を与へるか、または単に無罪となすに止まるか、その区別
個人の争闘はいつ許されるか
公戦における防衛について
公戦においては、単に隣国の力を弱めることを目的とする防衛は許されぬ
公戦においては、自ら正しき戦争の理由を与へたるものの防衛は許されぬ
人々に共通に属する物について
我々自身に属する物の分類
私有権の起源、およびその発達
全体としての海、およびその主要部分の如き若干のものは私有物となり得ぬこと、およびその理由
占有せられざる土地は、全体として人民によつて保有されぬ限り、これを占有する個人に帰属する
野獣、魚、鳥は法が禁ぜぬ限り、これを捕へたる人に属する
必要ある場合は、人は、他人の所有物となれるものを使用する権利を有すること、ならびに、この権利の由来に
必要なる場合は、その必要が、他の方法では避け得ない時は、他人に属する物を使用する権利がある
必要なる場合は、所有者に同等の必要がある場合を除いては、他人に属する物を使用する権利がある
更にもし返還が可能なる場合は、必要なる場合に使用したる他人の物を返還する義務が附加される
戦争の場合におけるかゝる権利の例
人々は、所有者に何等損害を与へない場合は、他人の所有物となれる物を使用する権利を有する
これより流水の使用権が生ずる
故にまた土地及び河川の通行権が生ずること、ならびにその説明
通過する貨物に対して課税し得るか
一時的滞在権
自己の定住地を追はれたる者は、他の支配権に服従すれば、居住権を取得することができる
荒蕪地に対する所有権、これはいかに理解すべきか
人間生活が必要とする如き行為に対する権利
必要なる物を買ふ権利
人々は、自己に属するものを売るべき義務を有しない
結婚を求める権利およびその説明
外国人にも差別なく許されることを行ふ権利
かゝる権利は、恩恵によつてではなく、自然法によつて許容される如き事柄についてのみ適用されるべきである
ある人民が、既に契約を結んだ人民に対して、その物品を売り、他の人民にこれを売らぬといふ契約は許される
物の原初的取得について、特に海および河川について
原初的取得は、分割または先占によつて行はれる
無体財産権の設定の如き、他の取得態様は、これに関する考慮より除外される
その種類もまた考慮に入れられない
先占には、支配権に関するものと、所有権に関するものとの二種がある、その区別の説明
動産の先占は法規によつて妨げ得る
未成年者および精神異常者は、いかなる権利に基いて所有権を有するか
河川は先占し得るか
海もまた先占し得るか
かつてローマ帝国の一部を成す諸国においては、かゝることは許されなかつた
しかし自然法は、あたかも陸によつて囲まれたる如き海の部分に関してこれを妨げぬ
いかにして、かゝる先占が為されるか、またいかほど続くか
かゝる先占は、無害の通過を妨げる権利を与へない
海の部分に対する支配権は取得し得ること、ならびに取得の方法
ある理由のため、航海者に対して課税し得ること
境界外の航行をある人民に禁ずる合意について
河流の変更は、領土の変更を生ずるや否やの説明、ならびにその区別
河床が全く変更したる場合はいかに考へるべきか
時には河川全体が領土に属すること
抛棄された事物は、もし人民が、これに対するある一般的所有権を取得してゐない限り、占有するものに属する
推定的抛棄およびこれに続く先占について、ならびにこれが使用取得および時効取得との相違について
本来いふところの使用取得と時効取得とが、相異なる人民或はその支配者の間に生じない理由
これらのものの間においても、長期の占有が常に主張されること
問題は人間意思の推定に従つて決定される、而してこれらの推定は単に言葉のみに基かない
かゝる推定は行為に基いても行はれる
また不作為に基いても行はれる
権利の抛棄の推定のためには、非占有および沈黙の時期はいかほどの長さが必要か
通常は、かゝる推定のためには、記憶され得ぬ「時」で充分であること、ならびにその「時」がいかなるものか
何人もその権利を抛棄したと推定されるべきでないとの反対論の解決
かゝる推定がなくとも、万民法上、所有権は、記憶の限度を越えたる占有によつて移○するやうである
胎児も権利をこのやうに失はしめ得るか
たとひ主権でも、人民または王により、長期占有によつて取得されること
使用取得および時効取得に関する国民法規は、主権を有するものを拘束するか、その説明および区別
最高支配権に属する権利で、それから分離され、或は他のものと分割され得るものは、使用取得或は時効取得に
常に従属者が自由を要求することが許されるとの意見の排斥
単に能力のみに属する権利は、時の経過によつて失はれないこと、ならびにその説明
対人権の原初的取得について、ならびに親権、婚姻、結合、および従属者と奴隷に対する権利について
子に対する親の権利について
幼年期の区別および子の財産所有権に関して
幼年期後の家庭生活期について
子を懲罰する権利について
子を売る権利について
幼年期後、家庭外にある時期について
自然法の親権と国民法の親権との差異
妻に対する夫の権利について
自然法によれば、或はたゞ福音書の法によれば、不可離性および一妻への制限が婚姻に必要であるか否かについ
婚姻が、両親の同意の欠如のため無効とならぬことは、たゞ自然法によつてのみであること
福音書の法によれば、他人の夫または妻との婚姻は無効なること
自然法によれば、両親と子の婚姻は不法であり、且無効なること
兄弟と姉妹、継母と継男子、継父と継女子の婚姻および他の類似の婚姻は、神意法によれば、不法にして且つ無
より速き親等の親族の場合は同じではないやうであること
法規上同棲といはれてゐる或る種の婚姻が行はれ得るし、且つ合法的なること
ある種の婚姻は非合法的に行はれるが、有効であり得ること
あらゆる種類の社会における多数者の権利
同数の場合はいづれの意見が優先するか
いかなる意見が分れ、いかなる意見が一致すべきか
欠席者の権利は、出席者に委譲されること
同等のものの間に、また王の間においてすら、いかなる順序が存するか
財産に基礎を有する社会では、意見は、各人が財産において有する分に応じて効力を有する
従属者に対する国家の権利
国民は国家より離脱することを許され得るか、説明ならびに区別
国家は追放者に対して権利を有しない
同意より生ずるところの、養子に対する権利
奴隷に対する権利
奴隷に対する権利のなかに、いかなる程度まで、活殺の権利があると言はれ得るか
自然法によれば、奴隷より生れたもの関しては、いかなることを定むべきか
奴隷の種類
同意によつて得られるところの、自己に従属する人民に対する権利
犯罪より生ずる人に対する権利
人間行為による承継的取得、並に支配権及び支配権に属するものの譲渡について
譲渡が行はれるためには、与へるものの側に何が必要か
受ける側に何が必要か
支配権は、ある時は王により、ある時は人民によつて譲渡され得る
人民の部分に対する支配権は、その部分の意思に反して、人民が譲渡することはできない
部分自体も、最大の必要のある場合を除いては、その自体に対する支配権を譲渡できない
その相違の理由
ある場所に対する支配権はこれを譲渡し得る
利益または必要のため、王は支配権の一部を正しく譲渡し得るとの意見の排除
封地および担保設定は譲渡のなかに含まれること
下級権力の譲渡のためにも、人民の特別の、または慣習を通じての同意が必要である
人民の相続財産は王がこれを譲渡することはできない
相続財産より生ずる収入と相続財産自体を区別することが必要である
相続財産の一部は、いかなる程度において、またいかなる理由において、王がこれを担保に設定し得るか
遺言は譲渡の一形式であり、且つその形式は自然法によつて定められること

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