情報の歴史
関係の発見のために
凡例
象形文字から人工知能へ(松岡正剛)
1 情報の記録 われわれはどのように情報を記録し、伝達しはじめたのか。【BC6000以前~BC600
古代文字の出現と分岐◆現語獲得から文字図書館へ
輪郭の発生 ◎BC6000以前 人類は地球を移動し、洞窟で母性と獲物を描く。
文様と図標 ◎BC6000-BC2200シュメールの都市国家群は、神々と文字を発明する。
意味の保存へ ◎BC2200-BC1200モーセはエジプトを出て、海の民は情報を運ぶ。
記録の構想 ◎BC1200-BC600 アルファベットと貨幣があいついで出現する。
2 情報の分岐 経典と写本と図書館が、古代世界のデータベースを準備する。【BC600~999】
ユダヤ教と仏教の間◆古代記憶術から世界宗教へ
契約と学習 ◎BC600-BC300 ゾロアスター、ブッダ、老子、孔子、プラトン。
記憶の変換 ◎BC300-0 アレキサンダーから始皇帝へ、知識の管理がはじまる。
分岐と伝播 ◎0-299 仏教とキリスト教が、意識と知識の関係を構成する。
変転する世界 ◎300-599 民族世界は揺れ動き、情報はさまざまに分岐する。
知識の交流 ◎600-799 ローマと長安と平城京が嗜好情報でつながる。
情報の自立 ◎800-999 各民族の言語が定着し、各国の情報史が綴られる。
3 情報と物語 航海術と印刷術は、情報文化の表現を多様に変えていく。【1000~1599】
美術様式の伝播◆遊行物語から機械時計へ
都市と物語 ◎1000-1199 世界気温が上昇して、各地に市場と物語が流行する。
内省か観察か ◎1200-1299 ハンザ同盟と鎌倉仏教、時計と眼鏡、木活字と製紙工場。
時代の認識 ◎1300-1399 ヨーロッパ5500万人、中国6000万人。デカメロンか太平記か。
回遊する夢 ◎1400-1499 航海と印刷、ルネッサンスと下剋上。情報が比較されていく。
主観と客観 ◎1500-1599 イエズス会と地動説が世界をまわり、宗教が変質する。
4 技術と情報産業革命が社会と技術を近づけ、人々の世界観を変質させる。【1600~1839】
情報の蓄積と交流(ヨーロッパ)◆古典力学から共同体幻想へ
再生する宇宙 ◎1600-1649 天体情報と人体情報が近づき、世界劇場が人気をよぶ。
構造と運動 ◎1650-1699 最初の計算機が生まれ、情報の合理化に向かいはじめる。
啓蒙の波及 ◎1700-1759 新聞と雑誌が登場し、百科全書が情報を網羅する。
技術と直観 ◎1760-1809 産業革命と宇宙論の進行は、他方で歓楽の情報に走らせる。
速度への挑戦 ◎1810-1839 ナポレオンからモンローへ、資本と鉄道と写真の時代へ。
5 情報の拡大 資本と労働が対立し、世界は激しい情報の多様化をおこす。【1840~1899】
通信術・映像術・印刷術◆博覧会から電信電話へ
私有と競争◎1840-1859 電信が公共化され、進化論と社会主義が世界を走る。
拡大する情報 ◎1860-1879 リンカーン、明治維新、パリ・コミューン、そして万国博。
国家と企業 ◎1880-1889 電話と電球、労働運動と女性運動が、文化の感覚を変える。
印象の主張 ◎1890-1899 アフリカ分割とアールヌーヴォーが、世紀末に同居する。
6 戦争と情報 宗教は後退し、資本の矛盾が情報文化に辛い試練を迫る。【1900~1939】
20世紀思想の迷路◆社会主義から複製芸術へ
光速と量子 ◎1900-1909 科学パラダイムの変更から心理の解明へ、物質と人間の接近。
思索と戦争 ◎1910-1919 世界戦争と革命、飛行機と自動車は、何をもたらしたか。
爛熟する文化 ◎1920-1929 個人と大衆の文化が花開き、各国で無線放送がはじまった。
経済の問題 ◎1930-1939 世界恐慌の体験、北と南の情報格差、ファシズムの嵐。
7 情報の文化 環境危機をかかえたグローバル・コミュニケーションの時代へ。【1940~1989】
コンピュータとAI◆遺伝情報から電脳都市へ
実存と自由 ◎1940-1949 戦争をする人間の本質が問われ、コンピュータが誕生する。
欲望の開発 ◎1950-1959 ポップカルチャーの爆発と、都市と野性の共存への模索。
対立と制御 ◎1960-1969 マスメディアの先行のもと、対抗情報の個性化がはじまる。
環境の変貌 ◎1970-1979 生態系がきしむなか、パーソナルメディアが容量をふやす。
混沌と創造 ◎1980-1989 知識の解体と価値の創造をめぐって、方法の実験が進む。