神兵に非ず

（１）　「ソ」兵上陸
終戦前後
東京へ帰る
天寧飛行場の露店
一万人の私物品
恨みの乗船
野口憲兵伍長と吉川師団長

（２）　豊浜仮病舎に病んで
単冠山に雪を見る
瀬石俘虜労働大隊
国民の軍隊赤軍
Ｉ軍曹に助けられて
最初の正月を迎へて
将校謝罪まる
春遠からじ
春の出来事二ツ
再び「東京へ帰る」
働かざる者喰べからずか？

（３）　国境線北緯五十度へ
戦場半田沢山河在り
国境のヒネリ籤
助けられたフレツプの実
意地悪の「レモン水」
敗戦一年を迎へる
樺太の都豊原へ
チヱホフの住んだ町
十二月の天幕生活
気屯の橋作業
極寒の貨車輸送
作業基準量で喰ふ飯
聯隊砲のＨ兵長
いよゝ待望の真岡へ？

（４）　人も通はぬ熊笹峠に
新中隊長シリユーチン
涙に迎へる三度目の冬
三角兵舎の生活と政治
冬山に挑む
疎開話も消えて
地獄絵さながらの夜間作業
天恵スターリン給興
天に沖す却火
樵夫から沖仲仕に
あゝ待望の日来る