戦時日記
北陸土木建築統制組合の理事長として、事務局所在地の金沢に頻繁に往復
時局下不足がちな大工の養成に熱意を燃やす
熊谷組社長として工事現場巡回、大阪、神戸、呉、宮崎などへ
宮崎にて空襲に会う
福井で統制のため一本化せるトラック会社の社長をも勤む
福井市内で軍需工場を受注施工中
福井市会議長、福井市警防団長としても活躍
臨時上京して熊谷組事務所へ
上京中は軍需省、日統にも
土木業に関する理解を広めるため、著述を思い立つ
北陸線倶利伽羅隧道増設工事を
同盟軍ドイツの形勢いよいよ非
太平洋戦局においては敵軍パラオ島などに上陸
北統理事長として新潟支部へ、帰途例の如く汽車混乱して新潟-富山間十三時間余
神奈川県営与瀬発電所工事
名古屋出張所の管内においても軍部の地下工事受注
呉にて新たに海軍工場の地下移設工事受注
米軍いよいよ比島に来寇
国民兵の一員として査閲を受ける
京浜、東海地区に敵機出没
妻の父根尾宗四郎逝く
熊谷組の牧田専務が長野県茅野駅付近の工事現場にて脚部重傷
日本発送電より受注の木曾御岳山麓なる御岳発電所工事現場へ
堺市の高田アルミ工事現場
関門隧道試掘坑の工事現場視察
旅館にはすでに火鉢なく、どてらなく、座蒲団もなし
東京空襲の報、自宅は無事
敵機四十内外、東京、関東、東海、近畿に来襲。はじめて空襲にあう
東京の中島飛行機工場も被災
雪中の突貫工事にて福井県における西勝原発電所の修繕にとり組む
軍部の考え方は早計なり、直営方式によらず、請負方式を活用することのみが、建設業務において成果をあげる
東京空襲激化の一途をたどる
東南海地方大地震発生
占拠されし比島飛行場にわが落下傘部隊降下して奮戦
富山県の蟹寺発電所修繕工事を受注
はじめて至近に高射砲の射撃者に接す
愛知、静岡など八十機内外の敵機
アララギの土屋文明先生中国よりの帰途福井に立ち寄る
敵機大挙して名古屋に来襲
汽車ますます混みて、夕刻神戸発翌朝東京着まで小便にも立てず
白昼東京上空における彼我の空中戦を見る
アララギの先輩にて紙塑人形の作家鹿児島寿蔵氏とはじめて会う
両国橋畔の柳光亭もすでにかげ無し
東京は大晦日も元旦もなく連日空襲
父の伝記編纂を思い立つ
台湾空襲
一億を率いて国民の総力発揮に遺憾なきを期するに足る人物現われざるを嘆く
「福井県を除く」中部地区の空襲つづく
汽車不通のため、厳冬暗夜の木曾山中を徒歩連絡二里
阪神地区大空襲
値上げ、増税相次ぐ
日発市荒川発電所の鉄管破裂
在京中白昼至近の上空にてまたも壮烈なる空中戦展開
受注して工事中の福井における国際航空工場も地下移設を決む
東京都内到るところ戦災のため廃墟と化す
中京、阪神地区に対する空襲もますます激化
建設行政について当局に建言
妻も飛行場工事の勤労奉仕
関東北部の軍需工場地帯にも敵機来襲
戦時建設団の創設のため、求められて協力を決意
機動部隊の艦載機による初の大規模空襲
連日艦載機による大空襲つづく
当局と業界とのパイプ役を
敵機ま二つに割れて目前に墜落
敵軍の上陸説伝えられて緊張
戦時建設団結成に関する連日徹夜の伊豆会談を主催
大空襲のため東京宅の女中ら生色なし
硫黄島陥つ
東京二十万戸炎上の報に憂色につつまれつつ、定例の九州方面現場巡回の旅に立つ
山中の飯場に稀に見る奇特なる老女あり
呉にて空襲に会う
大空襲跡の神戸に到る、真に満目荒涼
その他