銃後の婦人
発刊に寄せて(中村康佑)
1 夫の戦死・息子の戦死
主人の戦死(金杉鈴代)
陰膳に夫の無事を祈る(早山初栄)
忘れられない夫の手のぬくもり(守口富子)
半年間の結婚生活(森下好子)
四人の幼児をかかえて(竹本ハル子)
戦いに夫逝かしめて(延与寿子)
五人の子供と共に(亀谷シゲ)
赤紙に踏みにじられて(堀本志寿)
今も信じられぬ夫の死(山本秀子)
夫は長男の夢に現われて(井川ちよ)
別離の言葉も交わせなかった私(山口カズエ)
終戦を目前に戦病死した夫(真野須恵子)
「子供を頼む」の一言を守って(中農艶子)
戦争の爪痕は絶対に消えない(竹内春野)
戦争に奪われた息子と娘(国安リエ)
遺骨は一枚の紙片(五十嵐トミ)
二人の息子は今もどこかで(池田マサノ)
犬死にした一人息子(五味千代)
2 大阪空襲の悲惨
焼死の娘を背にした大空襲(才田ユウ)
焼夷弾は夫の頭上へ(正木文枝)
幼児かかえての避難(田中登代子)
臨月の身で阿鼻叫喚をくぐる(小山梅子)
幾度か思った母子心中(金沢とら)
一週間炎上した街(平田定子)
爆弾は雨のごとく(細見静江)
大阪への空襲(桜井和貴子)
直撃された我家(赤沢富恵)
眼前に拡がる地獄絵(世良まさえ)
防空壕での寝起き(片岡小寿恵)
日本軍、それは私の敵(村上愛子)
残ったのは二枚の巻ぶとん(浮田トミ子)
九死に一生を得た私(四宮クニ代)
燃えていた赤子の頭(芹井シゲ)
防空壕で助けられ(山口さとえ)
着のみ着のまま焼け出されて(西山ヤエ)
防空班長として戦う(栗原すえ)
忘れられない焼死体の山(高部操)
避難先に迫る火(西部信子)
3 戦中戦後の食糧難
食糧難は女の戦争(三井トミ)
栄養失調で親子四人が他界(黒木スエ)
空腹の訴えに眠れぬ日々(長戸キク)
山林を開墾しての食糧作り(岡田ツユノ)
朝な夕なに食を求めて(松村富美栄)
とうとう主人の本までも(金子光子)
目につくあらゆる物を食べて(浦野ツヤ子)
持物すべてを食糧に交換(武本トミエ)
編集後記(松大太郎)