神兵

序（大本営陸軍報道部長陸軍大佐・谷萩那華雄）
比島バタアン転戦篇（金谷一等兵）
さては南の新戦場、船は進む
リンガエン上陸、散る戦友
鬼畜の米軍、住民を惨殺
敵を尻目に生米で一夜
無念！　上唇ふつ飛ぶ
マレー戦線急追篇（田原伍長）
あツ山下閣下だ、敬礼！
アツ毒ガスだ、襲ふ黄煙
ゴム樹にブラリと戦友の腕
敵遺棄屍にもお念仏を唱ふ
突如抵抗する卑怯な降伏兵
アロルスターの夜戦、頬を射抜かる
グアム島及ラバウル攻略記（藤田一等兵）
小隊長に背負はれ泳いで上陸
天幕の中は女ばかり
優しい訊問に横柄な敵俘虜
呑気なホテル住ひの俘虜たち
洋上敵を呑む赤道祭
戦友に代つて叫ぶ“最後の万歳”
ジヤワ島攻略戦盲篇（夏井軍曹）
無念！双眼を貫く光の矢
耳で知る敵弾の渦
瞼に描く南の夜明け
温情の“嘘言”に泣く
マレー西岸銀輪尖兵篇（重松中尉）
鞭うつ銀輪、猛進日に百キロ
渡河地点は凄い泥沼、深夜の決死隊
迷ひ込んだ敵将校団、闇夜の珍闘
言語に絶す、草の壁のジヤングル
鮮血の若武者、凄絶な死の粧ひ
敵重囲中に弾丸尽く、黄昏の壕
おゝ！　友軍戦車隊到着す
ジヨホール水道敵前上陸篇（栗田兵長）
舟艇闘志を運んでシ島へ！
紅蓮地獄を乗り越え敵前上陸
敵弾下で悠々高鼾、夢に見る故郷
友の復仇を誓ふ海ゆかばの歌
第一線出撃命令はつひに下つた