その前夜
序章 出発前
日独伊三国同盟と視察団
団員に任命の内報と視察目的
渡欧は日本郵船の浅香丸と決定
長井亜歴山、伍堂卓雄両氏のアドバイス
発令公表、団員の顔触れ
海軍大臣主催の送別宴
パナマ運河無条件通過の困難懸念
1章 東京からパナマまで
家庭を出発
横須賀で浅香丸に搭乗、出港
船中のドイツ語講座
調査業務の打合せが連日の行事
艦砲実弾射撃演習
パナマ運河通過の紛糾予想、南米へ転身
米国は運河通過の軍艦にも監視兵を付ける新条例を制定
太平通り浅香座の映画会
当方米国法令に従うも、軍艦の威厳毀損を許さずと回答
船中の演芸大会
パナマ運河通過問題難航
当方米監視兵の来訪に同意
2章 パナマからリスボン
パナマ到着
運河見学
運河上空を飛行
米海軍と会食交歓
クリストバル出帆
大西洋上夏服にて紀元節
プエルト・リコ島西方通過
大西通り浅香座の映画会
三十年来の大時化
リスボン到着
3章 リスボンからベルリン
ルフト・ハンザ機でリスボン出発
マドリード着、須磨公使の外交談
バルセロナ入り、闘牛見物
リヨン、スツットガルト経由、ベルリン到着
先着の団長野村直邦中将に着任の挨拶
ベルリン海軍事務所にて視察団の歓迎会
事務所の名士酒井直衛氏に再会
ベルリンの旧知シュラー家の事ども
4章 ドイツ海軍と交渉
野村団長訓示
ドイツ海軍首脳部と会見
ドイツ海軍と技術情報の交換
戦歿軍人記念碑参拝
ドイツ海軍省で講義始る
野村団長主催招宴に客四百人
ユダヤ人迫害の寸景
初めて空襲に遭遇
海軍長官レーダー元帥の挨拶
元帥主催の招宴
5章 フランス戦跡見学
デュッセルドルフ、ブリュッセル、ラ・パンヌ
ダンケルクに教母の一人息子ジョンの安否を気遣う
グリ・ネ岬にイギリスを望見し教母を憶う
ブーローニュ、フェキャン、セーヌ河を渡る
サン・マロ、モン・サン・ミシェル
ブレストにて戦艦グナイゼナウ見学
ロリアンにて名提督デーニッツ中将と会見
秘密兵器電波探知器を初めて見る驚愕
パリに入り見学成果の検討
6章 ドイツ国内視察
ベルリン、ハノーバー、ブレーメン
ウェーゼルミュンデ海軍機関学校
ハンブルグ、キール
ラボーエの海軍戦歿者慰霊塔参拝
エッケナーフェルデ魚雷監理所
フレンスブルグ海軍水雷学校
キール軍港ホテルにて至近被爆
ゲルマニア造船所、爆薬監理所
ベルリンで迎えた復活祭
ドイツ海軍の案内でベルリン見物
ポーランド国境通過、ダンチッヒ、ツォポット
ダンチッヒ造船所に拿捕英潜水艦視察
タンネンベルグ会戦記念館とヒンデンブルグ将軍旧邸
ツォポットにて天長節祝賀会
東部オストゼー司令官クラフト少将主催招宴
ミュンヘンにユンカーズ社訪問、市内見物
7章 イタリア訪問
イタリア皇帝に拝謁、ムッソリーニ総帥と会見
ローマ遺跡とバチカーノ博物館見物
デ・クールテン海軍中将に戦訓を聞く
フィレンツェ、オペラ歌手ジリーの名演
ベネチアにて海軍記念日を祝う
フューメ魚雷工場とポスチュニア鍾乳洞
ジェノバ、カナリア氏の歓迎とアンサルド造船会社
ミラーノ、ブレーダ工場とイソッタ工場
ミラーノの霊園は宛ら美術展覧会
トリーノ、フィアット工場とRIV玉軸受会社
ラ・スペッチア海軍工廠にイギリスの磁気爆発尖を見る
スイス経由ベルリン帰還
8章 独ソ開戦と帰朝手配
重要帰朝会議と不気味な噂
フリーダ・シュラー嬢の不運
ドイツ海軍首脳部を招宴、海軍長官レーダー元帥の驚くべき示唆
山下中将ら陸軍視察団帰国
六月二十七日出発シベリア経由帰国と決定
六月二十二日独ソ開戦、帰国計画画餅に帰する
フリーダの婚約解消
帰朝方法調査委員会の結成
スイス工場見学旅行中帰国日程の入電
アルプスを電車にて登山
ベルリンに帰着
汽船便南米行きの視察団殿軍を主宰する
イタリア飛行機第一便の二氏南米到着
第二便の十一氏出発
対ソ戦はドイツ側の損耗甚大と巷間の噂
八月十日ベルリン出発
9章 ベルリンよりカディス
ベルンのアルプス博物館
ジュネーブのウイリヤム・テル野外歌劇
南部フランス横断
バルセロナにスペイン貧困の翳
マドリードで須磨公使の好意
プラード博物館とエル・グレコ
闘牛に腹を裂かれた馬
カディスのホテルで日西交歓
スペイン客船に搭乗
カディス税関の老掏摸
10章 カディスからリオへの航海
カーボ・デ・ブェナ・エスペランサ号でカディス出帆
リスボンにて千葉公使の厚情
リスボン出港、種々雑多な船客の寸評
トリニダードでイギリス官憲の検問
イギリス軽巡のアンテナを見、電波兵器の優越を察知
キュラソ島の給油
船内にチブス患者発生と船医
日本軍医の名声大いに揚がる
赤道祭に小林中佐の妙技
ピンポン大会に金川技手最優勝
リオ・デ・ジャネイロ到着、急遽下船
11章 迎えの船を待って、ブラジルに滞在
石射大使に山陽と女弟子細香の悲恋の話
サンパウロ行き、カンピーナス東山農場
サントス商港の埠頭視察
コチアに於て日本農民の活躍
原総領事邸招宴でアマゾン流域の秘話
リオ帰還、宇都宮新陸軍武官の講話
リオ市とその周辺見物
ペトロポリス行き、近衛内閣総辞職の報
リオ港内巡航、東条内閣出現と閣僚の顔触れ
スペイン客船カーボ・デ・オルノス号で、奥造兵中佐一行来着
ドイツ駐支公使スターマー博士東亜丸に便乗
我われを迎えの大阪商船東亜丸到着
ブラジル駐在海軍武官重広大佐の着任
船長は虚子の高弟広瀬健次(河太郎)氏
一行リオ出帆
12章 リオから東京まで
大西洋上に明治節祝賀
南米のホーン岬迂回、太平洋に出る
船内ニュース紙に俳壇設置
エンジン故障に不安の漂泊一昼夜
俳句の運座開催
赤道通過と赤道祭
日米交渉の決裂と戦争の心配
日附変更の子午線通過
十二月八日ウェーク島附近航行中突如戦争勃発
宣戦の詔勅とハワイ戦果の報
マレイ沖海戦に大戦果の快報
黒白混血の密航者発見
敵潜水艦と飛行機に厳重な警戒をせよと指令来る
十二月十四日夜灯火管制下の横浜沖投錨
翌十五日東京に帰着
終章 帰国後
平賀東京帝国大学総長の来訪、魚雷戦果に讃辞
帰朝の挨拶に呉工廠へ転出の内報
任務報告の講演会
「ここはなつかしい故国ではなかったのかしら」
一月十五日異動発令、二十九日退庁
三十一日呉工廠魚雷実験部に着任
編者後記(頼良子)
〈解説〉著者とその周辺(弥永昌吉)