万葉画集

序　（井上三綱）
序文　（帝国芸術院会員佐々木信綱）
万葉精神の具象化（斉藤茂吉）
万葉画集を推す（白井喬二）（坂本繁二郎）（中野敬次郎）
解説
うみゆかばみづくかばね（大伴家持）
たまきはるうちの大野に（中皇女）
わだつみのとよはたぐもに（天智天皇）
あしひきのやまかはのせの（柿本人麿）
ますらをのとものとすなり（元明天皇）
わがおほきみものなおもほし（御名部皇女）
御民われいけるしるしあり（海ノ犬養宿弥岡麿）
ちよろづのいくさなりとも（高橋連虫麿）
ひむかしのぬにかぎろひの（柿本人麿）
ひくま野ににほふはりはら（長忌寸奥麿）
あしひきの山のしづくに（大津皇子）
わをまつと君がぬれけむ（石川郎女）
おほぬ山きたりたちわたる（山上憶良）
わがせこを大和へやると（大伯皇女）
あかねさす紫野ゆき（額田王）
きみがゆきけながくなりぬ（磐姫）
たけばぬれたかねばながき（三方沙弥）
人みなは今はながしと（園臣生羽之女）
いなといへどかたれかたれと（志斐嫗）
いなといへどしふる志斐能が（持統天皇）
しほつ山うちこえゆけば（笠金村）
ふり分の髪をみしかみ（作者不詳）
ふじのねにふりおける雪は（作者不詳）
ますらをとおもへるわれや（大伴旅人）
ふる雪はあはになふりそ（穂積皇子）
たびにしてもの恋敷に（高市連黒人）
かはかみのゆついはむらに（吹黄刀自）
うまのおとのとゞともすれば（作者不詳）
ばらもんのつくれる小田を（高宮王）
あひおもはぬ人をおもふは（笠女郎）
すめろぎのみよさかえむと（大伴家持）
あをによしならのみやこは（小野老）
つばなぬく浅茅が原の（大伴田村大嬢）
かへりけるひと来れりと（狭野茅上娘子）
夕闇は路たづたづし（豊前国ノ娘子大宅女）
うつくしき人のまきてし（作者不詳）
大船にまかぢしじぬき（石上丈夫）
もののふのさつ矢たばさみ（舎人娘子）
くだらぬの萩の古枝に（山辺赤人）
いはばしるたるみの上の（志貴皇子）
春のそのくれないにほふ（大伴家持）
ゆふされば小倉の山に（舒明天皇）
あかときと鶏はなくなり（作者不詳）
くれないのすそひく道を（作者不詳）
たび人のやどりせむ野に（遣唐使随員の母）
さよ中と夜はふけぬらし（柿本人麿歌集）
あさかげにわが身はなりぬ（柿本人麿歌集）
我袖にあられたばしる（作者不詳）
この夜らのありあけづくよ（作者不詳）
草枕たびゆく君と（清江娘子）
児もち山わかかへるでの（東歌）
君にこひしなえうらぶれ（作者不詳）
さぬらくはたまのをばかり（東歌）
吾脊子をいづくゆかめと（作者不詳）
琴とればなげきさきだつ（作者不詳）
秋さらばにほひもせむと（作者不詳）
あしがりのはこねのねろの（東歌）
あをやぎのはらろ川門に（作者不詳）
かみつけぬあそのまそむら（東歌）
わがかどのかたやまつばき（物部広足）
はるの野に草はむこまの（東歌）
さごろものをつくばねろの（東歌）
かはづなくかむなび河に（厚見王）
つきまちていへにはゆかむ（粟田女王）
あかときと夜烏なけど（作者不詳）
信濃路はいまのはりみち（東歌）
あさをらををけにふすさに（東歌）
ぬばたまのよる見し君を（作者不詳）
あはむ日のかたみにせよと（狭野茅上娘子）
あづさゆみよらのやまべの（東歌）
ささが葉のさやぐしも夜に（防人）
わがせこをあどかもいはむ（東歌）
かつしかのままの手古奈を（作者不詳）
かすみいるふじのやまびに（東歌）
こせ山のつらつら椿（坂門人足）
君なくばなぞ身よそはむ（播磨娘子）
馬かはば妹かちならむ（作者不詳）
おもしろき野をばなやきそ（東歌）
はふりらがいはふみむろの（作者不詳）
いねつけばかがるあが手を（東歌）
防人にゆくは誰が夫と（防人の妻）
つむが野にすずがおときこゆ（東歌）
すみの江の浅沢小野の（作者不詳）
なにはびと葦火たく屋の（作者不詳）
ゆふげにも占にものれる（作者不詳）
つくばねのにひくはまよの（東歌）
あらたまのきへの林に（東歌）
道のべの草を冬野に（作者不詳）
おきていかばいもはまがなし（東歌防人）
あさか山影さへみゆる（作者不詳）
さきたまの津にをるふねの（東歌）
わがつまはいたく恋ひらし（若倭部身麿）
さきもりにたちしあさけの（東歌防人）
ますらをとおもへるものを（橘諸兄）
さきむりにたたむさわぎに（茗舎人部広足）
君がゆく海辺のやどに（作者不詳）
ちちははがかしらかきなで（防人丈部稲麿）
けふよりはかへりみなくて（今奉部与会布）
おほきみのみことかしこみ（防人丈部造人麿）
みなとの葦のうら葉を（作者不詳）
あとがき（井下三綱）