世界之大宝庫新南米
第1章 世界注視の焦点となれる南米
内外名士の南米観
「クラーク」大学プレークスリー教授
『絵入南米事情』の著者ボイス氏
白石元治郎氏
岡実氏
故大越成徳氏
浮田法学博士
徳富蘇峰氏
伊達源一郎氏
山科礼蔵氏
井上代議士
第2章 南米大陸は我対岸地又対蹠地
面積は我国内地の四十八倍
住民纔に六千数百万
一方哩平均人口九人二分強
今後の人口収容力十数億
極めて簡潔なる本大陸の構造
形状は直角三角形
我国と南米とを隔離せずして連結する太平洋
横浜より南米諸港に到る距離
印甸人と外来人種
南米諸邦は白人文明の国
アルヘンティナ共和国は北米合衆国よりも一層白人国
ドン〓ルファイフの二個の南米(開化せる南米と未開の南米)
未開南米の開拓と吾人の任
第3章 南米は十一個の独立共和国
南米大陸中ギヤナのみが欧洲の属領地
パナマーを加へて十一共和国
各国の面積、わが国との大小比較及人口
各国の憲法及政治組織
ブラジル、アルヘンティナ及〓ネスユラの三国は聯邦制
その他は中央集権制
我国と条約を結べるは八箇国
わが在外公館
第4章 南米諸国の独立と其の後の所謂革命
南米諸国は初めてスペイン及ポルトガルの植民地
第十九世紀に入り独立す
独立の英雄ミランダ、ポリー〓ル、オヒッギンス、サンマルティン、スクレ
イスパノ・アメリカ独立の完成
ブラジルの独立及政体変更
パナマーの独立
所謂革命は政治的訓練を欠くに因る
此の種の内乱漸減の傾向
第5章 南米の背梁アンデス大山系
諸所に海抜二万尺以上の高峰が屹立する
大山系の幹は五箇国に蔓り其の支脈及余波は殆ど南米の全土に及ぶ
太平洋を背にして欧洲に秋波を送れる美人
造物主は南米を創造するに当り吾人に薄くして欧洲人に厚かりしかの感がある
吾人は距雖の遠近を没却する底の大努力を要する
天然の築ける万里の長城
一見無用の長物に似たるも其の実は南米列国の繁盛を支ふる経済上の一大柱
第6章 河川の帝王と其の領域アマゾニヤ
伏せる猛虎と蟠まれる青竜
世界第一の大河
その流域即ちアマゾニヤ
『マデイラ=マモレー鉄道』
アマゾニヤの気候風土及動植物
猛獣毒蛇に関する過当の恐怖心
ブラジル領アマゾニヤ開発の現状
野生ゴム採集業の盛衰
アマゾニヤの将来
米国調査隊
ライス探検隊
アマゾニヤの日本人
吾人は大宝庫を握らねばならぬ
第7章 フムボルト寒流と南米太平洋岸の気候風土
チレ国北部及ペルーの海岸を中和清涼の地たらしめる
チレの三地帯
降雨多き南部
気候順良なる中部
硝石産出地方
無数の尻無川
無雨地帯
「ガルーア」と称する細霧
沙漠と「オアシス」エクワドール及コロムビヤの太平洋岸
第8章 錯雑せる南米の気候と産物の多種豊溢
過半は熱帯圏内に在るも其の内尚温帯地あり
ウルグワイのみは全国温帯圏内に位す
チレ及アルヘンティナ共和国は大部分温帯地
温暖と清涼の二季のみを有する地方
常春の楽天地
四季寒冷なるラパス市
黄熱の撲滅
気候の点より見て南米到る処邦人の移住に適せざる地なし
天然の一大恩恵
物産の多種類と豊富
此等物産は今後之を十数倍乃至数十倍となすことを得
第9章 興味多き南米の特殊産物
パナマ帽子
その原料及産地
「タグワ」即ち植物象牙
〓皮料に供せらるる「ディ〓ディ〓」
「バラター」護謨
「セルラピヤ」一名「トンカビーン」
古加
椰実
「カカオ」
「マテ」
一名パラグワイ茶
「グワラナー」
吐根
「ブラジル・ナッツ」
「カルナウーバ」蝋樹
「ババッスー」椰子
「マンディオカ」
堅材「ケブラチョ」
「アルパカ」「ヤマ」「〓クニヤ」及「ワナコ」獣
鳥糞
第10章 南米の最大国ブラジル
世界第一の珈琲産地
南米随一の大国
全世界にて第四位
日本内地の二十二倍余
人口稀薄
地勢
国中一万尺の高所なし
気侯
清涼なる中央台地及南部諸州
ナイヤガラを凌駕するイグアッスー大瀑布
水力豊富
首府リオデジャネイロ市
世界三大良港の一
山紫水明の美都
歳出入外債
外国貿易及重要産物
家畜の数は人口の二倍有余
外国移住民渡来数
在留外国人数
外国船の航路
船舶出入
南米第一の海運国
鉄道延長
外国投資額
邦人の移植地としては真に南米第一
第11章 我移植民の集中せるサンパウロ州
位置、地勢
山脈と河川
海岸地、山地及内奥の高原
農業上より見たる四個の地帯
気候
珈琲地帯
主なる農産物
最重要なるは珈琲
日本人の移住開始
その漸進的増加と発展
最初八年間渡航者一万五千名
イグアベ日本人移住地の来歴
ブラジル移住は最初から家族同伴主義
邦人子女の増加
在伯邦人数年ならずして十万に達せん
邦人の土地所有者の所有地面積の増加
サントス港及サンパウロ市概況
州内の鉄道
サンパウロ州のみに跼蹐するな
第12章 大富裕の小国ウルグワイ
繁華港モンテ〓デオ
商港にして首府を兼ねたる閑雅清洒なる都市
准半島国
地勢
二千呎以上の高地なき平野の国
農業よりは牧畜の盛大なる国
家畜数は人口の約十三倍
主要産物及貿易額
大々的輸出超過の国
金貨なき金貨国
異分子少き白人国
鉄道は殆ど全部英人事業
二十年来営業せる唯一の日本商店
第13章 南米の女護の島パラグワイ
男子よりも女子の数が多い
大河に囲まれたる海なき国
南米第四の小共和国本土とチヤコ地方
地勢及気候
国名起源
産物と輸出重要品
人口、人種及移民
首府アスンシヨーン市の景況
その他の都市
外界との交通
鉄道
我国との国交関係
僅少なる在留邦人
国運不振の原因と多望なる将来
有望なる邦人発展地
『南米の理想郷』
諸井前公使の意見
第14章 南米中最発達せる大農牧国アルヘンティナ
大さは第二位なるも繁盛は全南米に冠たり
位置、地勢及地帯
穀類地帯、葡萄地帯、北部地帯及パタゴニヤ地帯
農、牧、林業適地の割合
主要農作物
家畜現在数は人口の殆ど十倍
鉱産物殊に石油
南半球第一の大都市ブエノスアイレス
南米中この国が最も早く発達せる原因
旺盛なる労資の流入
日本人発展の過去、現在及将来
第15章 鰻に似たる細長き国チレ
国名起原に関する諸説
三幅対の地図
三地帯
『極楽原野』
香港に似たる所ある〓ルパライソ港
首府サンティヤゴ市
中部農牧地帯
中央平野の汽車旅行
『南米の瑞西』ヤンキーウヱ
南部林漁地帯
首府以北の汽車旅行
鉱業を主とし農牧業を副とする国
北部鉱業地帯
沙漠に似たる硝石産地
硝石の採掘と加工
その輸出港と硝石鉄道
無雨帯の飲料水問題
宛然船内生活
ロビンソン・クルーソーの漂流島
飛離れたるバスクワ島
チレの日本人
第16章 雲上の共和国ボリ〓ヤ
『南米の屋根』の位置広袤
人口及人種
地勢
東西の二大山脈
高原及低谷
河系
土地の高低に依る六地帯
気候多様物産多種
動植物及鉱物
輸出貿易額の九割を占むる鉱産物
その輸出量及価格
錫の産出は世界第二位
鉄道
我国との関係
在留邦人約七百名
第17章 南米の西蔵ボリ〓ヤ縦断旅行
『南米の屋根づたひ』
モヱンド港よりアレキーパ市まで
移動性沙丘
ペルー富士ミスティ山
ペルー南方鉄道の最高地点
フリアカ町及プノ市
ペルー古代史の高天原、神秘的ティティカカ湖
琵琶湖の九倍
富岳の絶頂の高さに汽船舟筏の往来
ラパース市
オルーロ市
ウユニ市
塩地硼砂地
アントファガスタ鉄道の最高地点
硝石産地の一部通過
高原の土人
「ソロチェ」又は「ブナダ」と称する山酔
ボリ〓ヤ横断旅行と其の著書
第18章 ペルー、チレ間の係争地タクナ、アリカ
『南米のボスニヤ、ヘルツェゴ〓ナ』
地理概要
二郡の所属決定は最難渋なる国際問題
チレ国が二郡を占領したる由来
太平洋戦後とアンコーン条約
占領十年後の人民投票
投票実行の遷延
ビリングルスト・ラトーレ議定書
秘智両国国交断絶
二郡のチレ化とアリカ、ラパース鉄道
ペルーの抗議
秘智両国の外交関係復旧
千九百八年のチレ国の提案
ペルー国の不同意
飾冠事件
チレ大統領の二郡巡視
イキケに於ける反ペルー示威運動
国際聯盟に対するペルー及ボリ〓ヤ国の提案
千九百二十一年十二月の秘智両国直接交渉の不調
米国大統領の仲裁
人民投票委員会委員の任命
委員長はパーシング将軍
投票保証に関する十一箇条の協定成立
チレ側のペルー人圧迫
パーシング将軍の辞任とラモター将軍の襲任
人民投票委員会の停会
依然として未解決の難問題
第19章 我国と最早く接触したるペルー国
日秘両国接触の端緒
「マリヤルース」号事件
明治六年の修好条約締結
高橋是清氏の銀鉱計画
本邦労働者の渡航開始
著者とペルー移民事業との離るべからざる関係
日秘新報の過褒
南米に於ける最初の日本商店
東洋汽船会社の航路開始
地勢、地帯、気候
鉱業国にして農、牧、林業を兼ぬ
重要産物及外国貿易額
外国資本
首府リマ市の概況
太平洋岸第四の良港カヤオ
『南米のメツカ』クスコと「インカ」時代の遺跡
ペルーの将来と運輸交通問題
第20章 名ほどに暑からざる赤道の国エクワドール
日本内地より北海道を除きたる大さ
人口僅に二百万
人種
地勢及気候
土地肥沃産物饒多
冠を足下に踏みて歩める国民
主要貿易港グワヤキール
首府キト市
北米合衆国が租借せんと企てゝ失敗したるガラーパゴス群島
大小島合せて十六
面積総計二千八百七十万哩
群島の名称の由来
地質、気候、動植物
本群島特有のもの尠からず
アジア人入国禁止令と本邦移民の無謀なる徒歩進入
我国との条約締結と本邦人入国活躍の自由
第21章 白金と緑玉の国コロンビヤ
南米第五の我条約国
著者の視察旅行と報告
国号起原
地勢と気候テケンダマ飛瀑
現世の極楽浄土ポゴター市
一株の芭蕉、一頭の乳牛及一番づゝの鶏豚
主要産物
鉱物の豊富
金、白金、緑玉石及石油
輸出重要品
人口、人種
偏在せる首府と之に達する順路
速に此の国に着眼し有利事業に着手せよ
第22章 オリノコ流域の富源を擁する〓ネスエラ
シモン・ポリー〓ルとアンドレース・ベヨの生国
独立後の内乱続発
蛮勇の名を轟かしたるカストゥロ将軍
一新時代を劃せる大統領ゴーメス将軍
国の位置、面積、人口
地勢(山勢及水理)の概略
南米第三の大河オリノコ
気候
産業上より見たる三地帯
農業牧畜、林業及鉱産物
毎年輸出超過の国
海港と首府との連絡
カラカス市の状況
マラカイポ市と同名の大湖
わが国との条約関係(今尚無条約国)
著者の視察旅行と報告
第23章 運河の黄金の帯せるパナマー
パナマ運河計画の発意者
実際的米人の地峡鉄道布設
地峡を横断したる最初の日本人
仏人レセップの運動計画
仏国の運河会社
北米合衆国の驀進
パナマーの独立と運河地帯租借条約
工事の準備、着手、進捗及その完成
大運河の規模
船舶は如何にして通航するか
運河営業状況
パナマー国の地理の概要
日本人を入国禁止移民中に加へたる新移民法案の通過
『黄金の帯』は全体誰れの所有か
第24章 欧洲の三国に分領せらるギャナーる
日本内地より稍々大なる地域
英、蘭、仏三国の分領する所
英領ギヤナ=地勢
気候
首府ヂョーヂ・タウン
住民
産物及輸出重要品
ケートルー大飛瀑
蘭領ギヤナ=その概況
仏領ギヤナ=その概況
三ギヤナの比較
その将来
第25章 ラテン・アメリカとアングロ・アメリカ
イスパノ・アメリカ
ルゾ・アメリカ
両者を合せたるイベロ・アメリカ
ラテン・アメリカの定義
アングロ・アメリカとの比較
ラテン・アメリカ人の長所短所
ラテン・アメリカの大部を占むる南米は天産物採出地
邦人発展の一大新天地
第26章 モンロー主義と全米主義
モンロー主義とは何か
モンロー主義の変遷
モンロ主義は既に滅びたるか
新モンロー主義
北米の懐柔政略
ルート及ノックスの南米訪問
ローズ〓ルトの南米に於ける演説
全米主義
米墨事件とABC三国
『実際的全米主義』の進歩
日本の南米移住とモンロー主義
第27章 南米に普及せるスペイン語とポルトガル語
西、葡両語学習の必要
両語はラテン語を父とせる双生児
両国語の系図
「エウスカロ」語
「セルティーベロ」語
ラテン語の影響
北狄の侵入
ラテン語の転訛
アラビヤ人の侵入と「アラビヤ」語の混合
「ローマンセ」語
西、葡二語の分岐点
スペイン語は独立せる二十箇国の用語
北米に於けるスペイン語研究熱
西、葡二語の異同
プランナー教授の説
第28章 百花爛漫たる南陸の新文学
イスパノ・アメリカ文学
その移植と成長
イスパノ・アメリカの三大詩星
『詩的アメリカ』
春野の董、蒲公英
『舶来すみれ』
ポルトガルより移植せられたブラジル文学
その発育
ローマンティツク時代を代表せる三大詩人
新時代の文学者
『ブラジル詩人の王』
現代大家
白く小く芳ばしき珈琲の花
イスパノ・アメリカ文化とルゾ・アメリカ文化の異同
第29章 南米列国の鉄道と全米連絡鉄道
南米最初の鉄道は嘉永四年に開通
南米の鉄道延長は総計五万六千有余哩
亜国は二万三千哩
ブラジルは一万九千哩
鉄道延長と各国発達の程度は略略比例す
全米連絡鉄道
その全通までには尚多大の日子を要する
両洋連絡鉄道
工事至難のアンデス凌駕線
主なる既成線
コロムビヤ国太平洋鉄道
グワヤキール、キト鉄道
ペルー中央鉄道
ペルー南方鉄道
アリカ、ラパース鉄道
アントファガスタ、ボリ〓ヤ鉄道
智亜連絡鉄道
第30章 南米を目標とせる船舶の航路
他の五大陸との運輸交通は専ら船舶航路に依る
三個の航路系統
大西洋岸航路系統
欧洲との連絡航路
北米との連絡航路
東洋、阿洲及濠洲との連絡
太平洋岸航路系統
欧洲との連絡航路
北米との連絡航路
爾余の三洲との連絡
西印度海岸航路系統
欧洲及北米との連絡航路
他の三洲との間には連絡航路なし
結局東海岸は表南米
亜伯二国は現南米の両雄
第31章 本邦より南米に達する順路
南米西岸行日本船の定期航路
その沿革と現状
寄港地及船賃
〓ルパライソ及ブエノスアイレス間の連絡
本邦と南米東岸との連絡航路
ブラジル行日本移民と其の輸送船
日本郵船会社と大阪商船会社
命令航路の開始と其の現状
使用船、船賃、寄港地、航海日程及距離
カリビヤン海沿岸諸国に到る順路
最迅速に南米に達する方法(紐育経由東岸行と西岸行及その船賃)
欧洲経由にて南米各方面に達する方法
第32章 著者とラテンアメリカとの深縁
ラテンアメリカ在勤三十年
正味在勤二十五年(南米に二十三年、ブラジルのみに十四年)
等身の報告
三十年前の我国とラテンアメリカとの関係
三十年後の其の現状
南米発展策(故らに之を説かず)
立案は之を読者諸君に一任す
邦人の南米発展と囲碁、将棋
打ちかけの大ザル碁
第一隅ペルー
第二隅ブラジル国サンパウロ州
第三隅アルヘンティナ共和国
全局を見よ
第四隅は如何
『歩』ばかり突いて居て何時『王手』ぞ
付録有