図書アカシ タイショウ デン000004747

明石大将伝

サブタイトル1~10
編著者名
杉山 茂丸 著者
出版者
博文館
出版年月
1921年(大正10年)10月
大きさ(縦×横)cm
20×
ページ
500p
ISBN
NDC(分類)
289
請求記号
289/A32
保管場所
地下書庫和図書
内容注記
和書 史料調査会旧蔵資料
目次

第一 無心篇
燈火に五少年奇計を企み、廊下に一士官悪戯を懲す
禁果を購ふて友人を慰め、門衛を瞞して失敗を求む
妙案直に変ず人馬平安散、奇薬よく散ず教室の惰気

第二 小心篇
一管の筆よく心を修養し、万歳の声高く敗を大呼す
商估稲荷に賽す赤飯供物、少年供物を奪ふ稲荷の祠前
過来の風雨其力を須たず、隠忍の数年脾肉を煩らふ

第三 沈思篇
電令一片よく大事を伝へ、窓辺吟声深く邦家を憂ふ
忙中即ち閑あり敵地の雪、吟懐転た情深し過客の心
旧知惣然敵人として到り、只見小心翼々として会す

第四 準備篇
一蓋の馬車は両士を包み、一室の結構は志士を篤す
想ひ得たり群雄一括の計、用ひ得べし敵人不平の輩
人材既に完し諜報の事務、計策未だ及ず鉄橋の破毀

第五 団結篇
黒雲の下共に国事を論じ、白山の雪常に志士を蔵す
縷々相結んで其緒尚ほ惑ひ、偶々相会して其心尚ほ堅し
各党各々逡巡す利害の差、大同遂に団結す巴里の会

第六 活躍篇
談は盡きず夜既に闌はに、人は怪しむ事正に急なり
問ふに落ちぬ村医の追窮、追へど去らず仮宿の飛虫
夜中敵人到り救ひを求め、短衣小袴を得厚情に酬ふ
徒らに金を求む小人の心、頼りに力を角す放膽の人
一片の苦言走狗を戒しめ、一握の短銃赤心を吐露す
奇計着々其の効果を示し、浅慮縷々其過失を現はす
砲声頬に轟く王城の辺地、駁撃且つ争ふ窓外の月影

第七 放胆篇
快僧一挙して名声を博し、博士咆哮して学生を説く
微力終に大露西亜を動し、両雄更に大同団結を画す
小心翼々たり志士の隠処、豪懐堂々たり国史の弁舌
快報先づ到来す密室の中、名案即ち湧起す群議の間

第八 欺瞞篇
馬車を駆使す一個の巨漢、街頭に私語す両個の怪漢
酒亭の小酌は狡奴の密語、雲中の模索は巨漢の所在
偽電に依て対策を案出し、敵中に入て敵人を揶揄す
一個の紙片は狡奴等を釣り、公園の格闘露探を虜にす
行李●●休むにも暇なく、園中両々密かに兵を談す

第九 悲哀篇
旅情吟懐に託す異郷の春、衷心慈母に寄す想家の言
梁山の英雄再び大に集り、覆海の大業遂に功を競ふ
春は遅し窓外雪粉々たり、声は悲し鉄窓中暗々たり
獄に入て待つ人将に危く、尋ね得て別る時既に遅し
更に哀しむ妙齢少女の命、頬に到たる失敗不祥の声
形勢一変す巴里城裡の夏、両士談義す党勢復活の策
僅に凶中にて吉事を聞き、更に吉中より凶事を報ず

第十 得意篇
叢中道を開いて気尤も新に、三士腕を扼して意頻に壮也
軍資懐にありて用途を待ち、智略胸にありて実行を期す
旅亭意を通じて奇計を得、陸将海を知らず諧謔に附す
漸く開く兵器輸送の途、直に決す倫敦支店の議

第十一 焦慮篇
車既に近けり味方の頓計、事既に迫れり露探の計策
肩々相摩す旅館の一怪漢、着々相運ぶ買収の銃弾丸
云ひ残されたり只一語、奪ひ去られぬ間一髪
陸には於的索叛乱失敗、海には保天金の叛乱失敗
怪奇衷心を驚かす一手簡、逡巡進退を迷はす一婦人
稍進む兵器輸送船の買収、只怪む未見婦人の出現

第十二 情話篇
奇怪の密書大佐を誘ひ、未知の婦人駅前に待つ
事々に指点せり露探の妻、言々に首肯する大佐の驚
無情の良人に背く女の心、有情の苦言に動く胸の想
雨は到る窓外闘争の人、影は去る駅頭男装の女

第十三 風雲篇
星光照し得ず波浪の吼り、両船接し難し澎湃の畝り
艤し得たり白帆驚濤の中、呼び交はす革命警世の声
商估の一室即ち警策の巷、風雲の快雄各々小心の策
一策成んとして一難伴ひ、急事語り了つて余情多し
宿望未だ成らず和議の声、意志深く包めり革命の女
夏陽沈んとして人影長く、黄昏人稀にして涙痕多し
銃器弾薬既に手にあり、吉報到来指を屈して待つ

第十四 侠女篇
一遅一速諸報尚未全からず、一喜一憂焦慮乱れて麻の如し
両雄深夜に酒を汲んで談じ、烈女堅志諜を果して死す
侠婦露探の密書を奪ひ、現況見るが如し巴里の活劇
力尽きて烈婦気凄然たり、談終つて壮漢涙滂沱たり

第十五 復讐篇
両士女侠の為復讐を計り、怪漢変装して敵中を見る
敵哨に隠れて兵器を陸揚し、将来を慮りて乾盃を酌交す
壮漢の決意何事かを成し、新刊の新聞何事かを報ず
反間先露探の中堅を突き、巨頭即部下の心事を疑う
疑心は自ら暗鬼を生じ、小人は互ひに自他を陥る
小人悶々たり自招の失策、凶心竦然たり一挺の小刀
刃光一閃卓子に憂宇然たり、扉外一瞥眸子に喜色あり

第十六 快船篇
窮処に一路あり座礁の船、掌中に一物あり威圧の眼
官吏を禁錮して素志を達し、宋襄の仁を論じ後災を説く
累月の奮闘全く空しからず、未然の用意又た徒爾ならず
烈士の活眼災禍を透察し、過去の述懐成否を論議す

第十七 低回篇
長蛇未だ亡びず関外の路、萬山共に憂あり秋気の色
歓迎喧如、光栄ある凱旋兵、孤影飄然、偉勲ある帰朝者
破帽弊衣、旧知を迷はしめ、小心細意、知己を点頭かす

第十八 回顧篇
吹き来る春風厳冬の夜中、語り起す昔日不遇の寡婦
妙齢二児を抱く自個の力、彩線特技を示す賢女の才

第十九 ●(けい)林篇
適所にあつて適材愈光り、機智によつて暴徒退敗す
一星落ちて一星更に光り、一声喝して力士勝を占む
旧友相会して喜ぶ仁川沖、提督談笑して計る一諧謔
突風吹めくる百留の紙幣、諧謔笑ひあふ留別の刹那

第二十 帷幄篇
大戦勃発して将軍亦多事、活眼透察して国論即一定
水を知る者山を知易く、衆を導く時寡を誘掖す
筆に従がつて達磨活躍し、目に遮る新聞皆利用せらる

第二十一 閑雅篇
武人雅懐あり鳥鷺の遊び、雅客卓論あり風雲の漾ひ
偉人の眼中婦女を止めず、丈夫の身辺奢侈を辨せず
将軍の粗相車夫に借金し、眼鏡の所在亭主を恐懼す
実印を縫込む夫人の頓智、腕力を相競ふ老来の悪戯

第二十二 執政篇
事理顯如たり施政の方針、呵々大笑せり第一の粗忽
釣り得たり総督記念の蝦、説き得たり将軍衛生の論
三士相会す最後の滑稽事、句々高唱す病中の憂国士

第二十三 金蘭篇
東門官邸の一夜(法学博士・下村宏)
病愈々篤し(末松副官)

第二十四 詩歌篇
明石氏家系
明石将軍官歴