破滅の決定

１　「いそいで、ひとめにつかぬよう」
「ハリー、大統領が死にました」
君たち、ぼくのために祈ってくれ！
あたらしい世紀の開幕

２　「月と星とぜんぶの惑星が」
戦争はアメリカ人の世界への眼を開いた
原子のカーテンは厚く、とざされていた
『無の生産』とトルーマン委員会
ロス・アラモスが生んだ『あたらしい生命』
大統領第一日はバーンズとの会見からはじまった
〈補助大統領〉ジェイムズ・バーンズ
バーンズ国務長官の誕生
国連憲章は原子力時代以前の産物

３　“ｍａｎｈａｔｔａｎ”
能力の限界以上のものをよんだ
史上空前の《いそがしい大統領》
スチムソンと“ｍａｎｈａｔｔａｎ”
原子力世界の『悪夢』的性格
人間は原子エネルギーを管理できるか
スチムソンを議長とする秘密委員会の成立

４　「ただ一機」
〈ギミック〉をまつ飛行士たち
五〇九航空部隊の秘密任務
孤島のなかの孤島の基地

５　「ただ一個の爆弾」
砂漠のはての〈Ｙ地点〉
Ｙ地点の物理学者たち
〈ギロチン〉で〈竜のしっぽをねじる〉

６　「臨時」－だが「歴史の長い眼」
臨時委員会の最大の問題
テニアン島の五〇九部隊
日本をおそった《人工台風》
あれくるった人工の火の嵐
どたん場の抵抗と勝利へのみとおし
〈たたかう意志〉のたかまりへの恐怖
使用決定の歴史的意味
爆弾の効果はどれぐらいか
爆弾の秘密はまもられるか
最初の原爆で人を殺すべきか
使用についての科学者の判断

７　「老鷲」
組織に忠実な男
一九一一年の世界

８　「爆弾の下側」
二つの脅威を育てた男
〈冶金研究所〉の科学者たち
ひとりのヨーロッパ人
科学者の協同の中心
米ソの競争を予測したフランク報告
国際協定と廃棄についてのみとおし
原爆の無警告投下について
直接的ナ使用イガイニナイ
スチムソンの判断

９　「ジュリアスからきた」
ローゼンバーグとフックス
ゴールドとフックス
「ジュリアスからきた」
秘密はソ連の手にわたった

１０　イギリス人とソ連人
「少数の者による生活様式の決定」
〈秘密〉をめぐるイギリスとアメリカ
“知る必要という原則”
爆弾は使用するためにつくる
秘密ではなかった原子計画
この世の地獄、大統領の激務

１１　「日本への侵入計画」
統合参謀本部会議と文官指導の会議
なされなかった日本への警告
軍と政治の指揮系統
スチムソンの日本観
拒絶すれば破壊、降伏すれば希望
ながい時間に準備されたひとつの〈橋〉

１２　最後の数分
ジラードの嘆願書
秘密のなかにきえた科学者の意見
原爆使用についての科学者の投票
鋼鉄の塔は秘密の儀式をまつ

１３　テニアン－「光輝ある奴らは準備する」
バラード《だれもしらない》

１４　「終着駅」－三大首脳アインシュタインの世界に入る
アインシュタインの世界のさいしょの政治家
戦後世界の最大の焦点
世界の悲劇の目撃者
ポツダムの空気はよどんだ
雨と電光の〈その前夜〉
「赤ん坊は満足に　生まれた」！
はるかにめんどうな問題
わたしはその武器をこのまない
管理制度についてのスチムソンの見解
原爆による天皇の説得
目的のための絶対的道具
世界の死をすくうちいさな悪

１５　下稽古と役者たち
〈カボチャ〉をつかった下稽古
ポツダムの晩餐会
コンプトンの決断
投下命令はポツダム宣言のまえにだされた
重要さを理解しなかったスターリン
千両役者？スターリン
ポツダム宣言は〈威力〉をもちえたか？

１６　「することはもはやない」
〈地獄の機械〉ははこばれた
チャーチル、総選挙でやぶれる
〈のろまな竜〉のものがたり
ついに命令はくだされた

１７　「おお、神よ！」
広島、小倉、長崎
八月六日午前九時一五分！

１８　「荒廃の雨」
真珠湾から広島へ
平和と挑戦の交錯－日本の混迷
アメリカの降伏勧告
〈無条件降伏〉のためのふたつのシンボル
だれも〈機械〉をとめなかった
〈たえがたきをたえ…〉
ことはおわった！
未来はここからはじまる

１９　良心と疑問
決定は単独でなされたか
決定者は制約されていたか
日本降伏と原爆のかんけい
フランク報告を読んだのはだれか
スターリンはどこまでしっていたか
冷戦への洞察はあったか
決定的重要性のなかった原爆スパイ
現代の最大の悲劇的疑問！
戦争終結と原爆のかんけい
永遠と未来への決定？