石油の世界史
第1章 五億年
ふつう石油は母岩を去って移動してゆく
石油は死んだ鯨の血であると信じられた
燃える水を使用するようになってから夜は追放された
ノアは箱舟に瀝青をつめ漏水を防止して洪水に打勝った
第2章 火の神
寺院の祭壇の上におかれる神の火は石油ガスに点火されたものである
ローマではもし火が消えたなら聖処女のいけにえは生埋めにされた
新しい火をたたえるために最も美しいアステカの若者が焼かれる
オリンピックの聖火は石油の火である
アレキサンダー大王は若い奴隷で炬火をつくる
この火を消すためには婦人と酢と土が必要である
第3章 ノアの箱舟からインカ帝国まで
地底の火がソドムとゴモラを滅亡させる
宦官は死海の水蒸気から保護されていた
にせのミイラをつくるために罪人と瀝青が
古代アメリカ人は穴を掘って石油を採取した
チューインガムの先祖は樹脂を混ぜた瀝青である
二四の家族が臭い水を開発する
第4章 魔法の時代
インディアンたちは石油の道によって平和の道をつくる
歯痛から出血まで石油はすべての病気を治癒させる
司教の秘薬、それは石油の小瓶である
サンタ・カテリーナ油は一六世紀のヨーロッパを風靡する
第5章 恐るべき武器
ビザンチンの火器によってイゴール王子の艦隊は火につつまれる
ギリシャの火を装備する大弩は法王庁から禁止される
第6章ピッチの泉
一六世紀に都市は石油によって照明される
ヨーロッパとアメリカで人々はピッチの泉を調査する
漬物用の塩水を探す人々は石油を川に捨てる
第7章 夜の光
パリは一夜にしてケンケ灯に征服される
鯨が少ないために灯油がつくられた
第8章 冒険家の時代
ある市民はかれの妻がもちいた薬によって金持になる
捕獲法規は隣人から石油を横取りさせる
《神は世界を創造し給うたがロックフェラーは世界を再編成した》
第9章 世界の隅々で
中東の黒い黄金は絶望の瞬間に噴出する
石油王の前に石油のナポレオンが
ガスと電気に敗れたが自動車に救われる
アメリカの二本の油井が日本の全生産に匹敵する
第10章 二〇世紀・機械と神秘
船舶にフューエルを採用することによって航海術に革命がもたらされる
《車の色はお好み次第です。ただし黒に限ります》
第11章 偉大な勢力の誕生
世界の政治はこんご石油のにおいをもつ
油田の獲得と石油価格をめぐっていたるところで競争がおこなわれる
一九一四年にドイツは油田に到達した
《石油の一滴は血の一滴に値する》
第12章非情な競争
《レッド・ライン》条項に対する《門戸開放》主義の矛盾
メキシコ人は《石油は祖国のためにある》と宣言する
一九三二年は黒い黄金の最も悲劇的な年であった
第13章 千一夜物語の復活
上陸を助けるためにドーヴァー海峡を二一本のパイプラインが
黒い黄金によってよみがえった千一夜物語の豪華さ
クウェート王は世界一の大金持となる
マルコ・ポーロを襲った海賊の子孫たちはいまや機械工に変った
山羊の番人たちのためにバラ色のキャデラックが
第14章 黒い黄金の変化
二〇世紀最初の驚異的発明であるプラスチック
第15章 黄金時代
砂漠の処女地において真の勝利が
祖先の使用したケロシンがジェット・エンジンのために
第16章 明日の伝説
索引あり