海上生活譚
1 軍艦に於ける宮殿下
風狂ふ深夜の長崎港
宮殿下を艦長に戴くといふ誇
閻魔面をする御附武官
聞いた主人は吃驚仰天
殿下主催の御招宴
電光燦たる三菱倶楽部
快弁滔々たる航海長
此位苦しい御馳走はない
南無三!違つたか!?
奏任待遇の身で女将のお伴
理想的現代武人の典型
今様の内裏雛を見るやう
届けた方が却つて恐縮
麗はしい御顔に会心の御微笑
生ける軍神の膝下に死なん
危険なる艦橋に於ける殿下
不思議なる因縁ではあるまいか
腋の下は一杯の冷汗
武運目出度き殿下の将来
2 兵学校生活
落第の夢
得意の絶頂
娑婆の名残の一夜
初めて軍服を着る
招猫のやうな敬礼
自惚鏡ではないぞ
有難くない起床ラツパ
一菜一食主義
貴様!乃公!
万感潮の如く湧く
使丁に敬礼して大失敗
洗面場公徳
人を困らせる堅麺餅
鏡に現はれる得意な色
入学式
生徒さんは辛いね
猛烈なる訓練
休暇で帰省する上級生
大跪坐で牛鍋の包囲攻撃
火の気のない冬の生徒館
嬉しい嬉しい
実際得意なんだ
正月が来た
お替り無用の雑煮
上等の軍服を着る
金光燦然
脱兎の如く外出する
正月だから食ふのだ
滑稽なる昼食の失敗
最早雑煮も歓楽もあつたものでない
単調な規則的生活
数学と英語
無精髯は外出止
江田島名所廻り
日曜日の食過ぎは外出止
痛快極まる運動
兵学校名物棒仆し
神聖なる鉄拳制裁
密輸入の検挙
野外演習と短艇巡航
一年二度の生命洗濯
意気揚々たる卒業生
3 吾輩は候補生である
4 乃公は少尉だ
5 士官次室珍話
昨夜は何処へ行つた?
時計の乱心
戦闘操繰!両腕が唸る!
海上生活論
独逸流の禿頭
酋長の娘です
6 練習艦隊、遠洋航海記
7 軍艦姉川遠航懐旧譚
是も練習とかの辛さで
帰り咲きのアンガラ嬢
目が醒める程立派だ
悉く戦場往来の勇士だ
前へオイは止めだ
待ち兼た正午位置
水彩画家としての富士川少佐
麦酒の満を引いて
英国東洋艦隊の策源地
馬鹿を見て下りて来た
足に任せてテク付くべい
是は又意外!
借間をしてる日本領事館
妾は醤油を買ひに行くの
泥棒の居ない小笠原島
8 阿蘇宗谷の太平洋横断
待兼た遠洋航海(氏神の祭礼のやう)
水交社の繁盛(候補生天下)
果然!日本晴だ(涙雨など降るもんか)
可怖い大将連(一場の告別的訓示)
忙しさうな下村参謀(出港用意)
太平洋横断の幕(針路は南八十六度東)
故国の名残(野島崎の灯光)
ホノルヽ市民の熱狂(空前か絶後か)
9 ドレツドノート型 大戦艦は如何にして造らるゝか
ドレツドノートの評判
日露戦争の賜物
三人寄れば文珠の智慧
蝋細工の軍艦で馬力の測定
実物大の製図室
人間ならば脊椎骨だ
防禦甲板まで出来上る
工事の進歩と船体重量
進水の時期と船体重量
馬鹿に出来ない人間の力量
二十噸もある装甲板
装甲板の強度試験
矢でも鉄砲でも持つて来い!
10 軍艦進水物語
其音が非常に凄じい
大蛇の腹に雀の卵程でもない
油断も隙間も出来ない
昼夜兼行で二十年
婦人と進水式
老功の将軍をして進水せしめよ
恐怖、不安、興味、安心
臨時列車が出る騒ぎだ
如何にして進水するか
進水装置、艦の洗礼
11 潜航艇夢物語
戦争は血清療法だ
人間は地上の戦争に飽きた
吾輩は潜航艇である
大に海底戦争
潜航艇の戦闘的価値
誇大妄想狂の夢幻
海中生活
日本の平和は破裂した
魚雷蛸入道の頭を貫く
12 武士道感激談 米国艦隊訪問記
武士道の権化(米国にもある)
ミソーリーの災厄(勇敢なるモンセン)
火薬庫の火災(危機一髪)
「武士道」を衣袋に入れて(唯一の手段)
炎々たる紅焔(次の一分間)
扉を開けて呉れ(苦げなる声)
大統領の賞賛(決して敗北を取らない)
クロナン大尉(部下の為めに死す)
給料の貯蓄(米国気質)
大枚六十円(士官すら及ばない)
13 海軍名物男
デシマル閣下
禿頭参謀
滑稽なる朝倉中佐
温厚篤実の御守役
ビーヤホールの看板
十人十色
14 軍艦松島夢物語
15 海軍新話集
露国名物提督
一風変つた英国海軍の習慣
野元少将の鉄拳
一番若い少佐
英国で有名の鏑木少将
海軍中佐吉田暴風
屹度天の暗示ぢや
子供ぢやあんめい!
相変らず乞食商売だ
三万噸の大艦現はれん
16 米西戦争の動機と魔美人
天女の如き美人
君は当代の果報者ぢやぞ!
メーンのやうな戦闘艦でも?
えツ!!水雷敷設面の秘密図を?!
マニユエル中尉の煩悶
意外にも面会謝絶!
米西両国の運命
恐ろしい約束
甘き魔の囁き
どんな珍事が出来するか!?
米艦を前にした秘密展望室
電鑰盤の蓋を除る
大胆不敵のアデリナ嬢
轟然!!爆然!!!
17軍艦豪傑物語
乱暴者の梁山伯
貧乏大黒
印度力士と試合
突飛なる動機
大王那辺より来る
少尉の牛殺し
ギリーヤーク土人に追はる
魚雷を抱て旅順を襲ふ
18 海軍士官の十苦十快
有難くない大荒天
陸地に対する執着
何の因果で船乗生活か
測距器で油を搾られる候補生
寧ろ海に投ぜん
苦心多き甲板士官
缶詰料理とは情けない
洋服屋の襲来
陰欝なる船渠生活
霧よ汝は悪魔なり!
上陸が一番だ
風呂だ!風呂だ!!
初夜巡検後の士官次室
痛快なる高速力航行
生糧品万歳!
十日の薮入
海外同胞の歓喜
金鵄勲章だがなア
そりや嬉しいのが当然だ
19 ボロ軍艦乗組閉口談
英雄の末路(老朽艦△△)
いやな置土産(水路告示を半年分)
ボロ軍艦の感化(豪傑になる)
優しい副長(青年将校大喜び)
悲惨なる鎮遠(昔の栄華は今何処?)
前世紀の遺物(人間が呑気になる)
艦長は焦躁る(雨は降る!)
餅は餅屋(不思議な直覚力)
20 海軍風聞録
正午の時鐘(美人の妻君)
宜候!(奇妙な号令)
犬の当直(怠惰士官)
鶏卵のお粥(航海中の夜食)
機関兵が羨ましい(可憐な四等水兵)
鯛の浜焼(筑紫の煙突)
珍クラスの大砲(全速力が停まる)
外縁の砂摺(家主吃驚)
画かれたる発射管(胆を潰した北洋水師)
我頚を刎れよ(独逸要塞と仙頭大佐)
21 豚一疋の大喧嘩
転覆する憂はない
海軍士官は贅沢である
生糧品と缶詰
まるで餓饑道の亡者さ
豚の糞に滑つてスツテンコロリ
用意のモービル式短銃
小屋を飛出した野猪のやうな豚
短銃片手に豚の追撃戦
尻餅を突いたお神さん
短銃でも鉄拳でも徒労だ
棍棒を揮つて襲来した豚尾の一団
支那人は矢張り支那人
闇に響く二三発の銃声
22 濠洲西方、大沙漠の闇中旅行
大颶風!大狂瀾!
印度洋上の遭難
長蛇の如き大桟橋
日東の鉄腕男子
万籟寂々として声なし
正しく鰐だ!
正体今に判然せず
頑鉄坊来る
山賊かも知れんぞ
生命だけお助け下さい
旅順の奇遇
壮快なるカンガルー狩
欣慕すべき英人気質
23 日本海軍今昔物語
痛烈乱暴なる維新当時の軍艦
蛮骨稜々たる兵学寮生徒
幾何学に対するストライキ
権兵衛さんが旗頭
24 軍艦の新年
小説的伝説のある正午の鐘
起床喇叭まで嬉しい
今日の顔は正月顔だ
上陸が何よりの御馳走だ
何時聞いても気持の好い皇礼砲
酒も飲めれば牡丹餅も
25 僕は一等水兵だ
26 僕は機関兵だ
27 老水兵破顔一笑
嫌な起床喇叭(得意の蛮声)
上甲板洗方(珍妙な号令)
洗面(柄杓に一杯)
朝食(忙しい上甲板)