図書カイグン センリャク000000635

海軍戦略

サブタイトル1~10
編著者名
マハン アルフレッド T. 著者/尾崎 主税 訳述
出版者
海軍軍令部
出版年月
1932年(昭和7年)4月
大きさ(縦×横)cm
23×
ページ
562p
ISBN
NDC(分類)
397.3
請求記号
397.3/Ma29
保管場所
閉架一般
内容注記
『Naval Strategy』の翻訳。
和書 史料調査会旧蔵資料
目次

『Naval Strategy』の翻訳。


奥なし
第1章 緒論
「海軍戦略」原案起稿の時日
「海軍戦略」原案の改補
起稿以後に生起せし作戦法式及武器の変化
右の変化は海軍戦略の適用に影響するも其の原則を犯さず
初版脱稿以後の三大戦争
海軍戦略に関する理解の向上
原則の永久性を証明する実例
原則を正しく理解するには史例若は自己の経験を必要とす
奈翁及ネルソンより得たる例証
ウルフ将軍経験を記録す
ウルズリー卿の評言
露国艦隊の分割(一九〇四年)に鑑みて米国戦闘艦隊の分割を難ず
歴史は実例の記録なり
過去二十年間に於ける海軍戦略思想の発達
世界各国海軍の現情に現れたる海軍戦略思想の発達
兵書の著述に現れたる海軍戦略思想の発達
ダリュースの“War on theSea”
ダヴリュイの“Study of Naval Strategy”
コルベットの“Englandin the Mediterranean”及“England in th
シャーマン将軍の“March to the Sea”と米国海軍大学校の創立
海軍戦略講述法の各種
歴史的講述法の優良なること
原則と実例との相互的関係
国策と軍備との密接なる関係及其の実例
海軍士官は常に国際情況に通暁するの必要あり
第2章 史例と評論 其の一
戦域を考慮する為の第一要件
チャールス大公ダニューブ地方の兵要性能を研究す
同大公ジュールダン及モローの率ゐる仏軍両枝隊に対し作戦す
集中、中央位置、内線及交通線の重要性
使用せんとする史例。(一)純陸戦、(二)海陸軍混成若は聯合作戦、(三)純海戦
仏蘭西と墺領西班牙及独逸との抗争、一六三〇-一六六〇年仏国の中央位置
西班牙より中部独逸に至る交通線
西班牙海軍英吉利海峡に於て和蘭海軍に対抗し得ざりしこと
右の結果として西班牙より地中海、ゼノア、ミラン及アルプス山道を経由して中部独逸に至る海上交通線重要と
前記情況に適用されたる中央位置、内線及交通線
独逸に在るダニューブ線との比較
右の如き位置に関する一般的研究
「戦争は位置の事務なり」。例、プレヴナ、旅順及ツーロン
近きことは位置の第一要素なり。例、カディス、ジブロールター、モールタ、ジャマイカ及グヮンタナモ湾
迂航路を取りて兵要地点を回避すること-偽航路
民衆の恐慌軍隊の配備を妨害す
仏国三十年戦争に参加す
仏国海軍大西洋より地中海に移転す
第3章 史例と評論 其の二
リセリュー作戦の指導を誤る
兵力の集中は第一に必要なり。例、奈翁
集中と艦船の設計
集中と国境攻撃及戦術
一七九六年ボナパルトの伊太利作戦。同年独逸に於けるチャールス大公の作戦との類推
攻撃点を一翼に選むを利とすること及其の理由
海軍戦術に於ける攻撃点選択。トラファルガー海戦
ネルソンの攻撃点選定法と其の理由
ファラガット海軍中将のモビル攻撃
日本海海戦と攻撃点
集中は戦略並に戦術の根本原則なり
右の原則を海岸防禦及海岸攻撃に適用す
一八一二年戦争
“Military line”は三個の部分より成るものと考ふるを得
米国海岸線と其の三部分
フロリダ半島と朝鮮半島との類似
中央位置に附随する利点の分析
一国標準と二国標準
「若し」(“if”)と「然れども」(“but”)。例、アウステルリッツに於ける奈翁、日本海海戦に於け
チャールス大公の名言
米国戦闘艦隊を大西太平両洋側に分割せんとの説と集中の原則
集中、中央位置及内線の利の推算
第4章 史例と評論 其の三
リセリューの歿後(一六四二年)に於ける対仏戦争
マザリンの政策と其の軍事政策
三十年戦争の終結
仏蘭西及西班牙の両国尚戦ふ
クロムウエル治下の英国局面に出現す
英国海軍の改革
クロムウエルの政策
クロムウエル英蘭両国の合同を策す
和蘭クロムウエルの合同提議を拒絶したるも、ウヰリアム三世の治下に於て合同実現す
英蘭戦争
通商保護
地中海に於ける海軍作戦
英吉利海峡に於ける海軍作戦
英国政府艦隊集中の必要を認識す
英国英吉利海峡及通商を管制して和蘭を疲弊せしむ
英蘭両国媾和す
集中の原則を応用するは其の精神に於てすべく其の文字に於てすべからず
日露戦争より得たる集中の教訓
集中の原則と米国大西洋岸及太平洋岸
第5章 史例と評論 其の四
海軍作戦の効果を発揮するには永久根拠地の必要あり
第一次英蘭戦争と欧洲戦乱との間に発生せる主要事件
一六五〇年以前の地中海に於ける仏国海軍の活動
一六五四年英国海軍地中海に現る。仏国海軍との関係
日露戦争に及ぼせる旅順の影響
クムロウエル西班牙領西印度を攻略す
英仏の媾和と英西開戦
クロムウエル死す(一六五八年)。西仏両国ピレーニースに媾和す
西班牙の衰退
クロムウエルの政策の欧洲に於ける英国の地位に及ぼせる影響
クロムウエルの死後に於けるスチュワート王家の政策
クロムウエルの政策の正当なりしこと認めらる
現代に之が類例を見出す
スチュワート王家の治下に在りし英国の外交不振
対外発展は国内の統一を基礎とす
一六二二-一六五五年間に於ける仏国史より史例を求む
路易十四世の権勢は国内統一を反映せる実例なり
一六八八-一七一三年間に於ける地中海の兵要的重要性
永久的地点の必要と地中海
対仏欧洲同盟成立す
仏国の作戦計画
同盟軍に対する地中海の意義
前項と往古に於ける地中海の意義との対照
一六九〇-一六九六年間に於ける海軍作戦の経過
同盟軍地中海に永久地点の必要なるを痛感す
ウヰリアム三世の戦略的遠謀
同盟軍艦隊冬季に入るも帰国せずしてカディスに越年せしめらる
サヴォイ及カタロニアに於ける仏軍の作戦に及ぼせる其の影響
路易十四世聯合軍の圧迫に対抗する為侵英を策す
侵英の脅威を受けたる民衆の恐慌艦隊の作戦を誤らしむ
聯合艦隊地中海を去るやバルセロナ陥落しサヴォイ離盟す
聯合艦隊の地中海に二箇年滞留せしことより生ぜし多大の効果
仏蘭西疲弊す
兵要地点が時間の猶予を生ずる戦略的効果。
仏国同盟国側と媾和す(一六九七年)
一七〇二年西班牙王位継承戦争勃発す
新政治的聯合成る
一七〇二-一七一三年戦争の永久的影響
一七〇二年ウヰリアム三世死す
マールボロー公爵ウヰリアム三世に次で英国の軍事を統轄す
マールボローの作戦計画
各種事件の概要
一七一三年ウトレヒト和議成り英国地中海に永久根拠地を獲得す
地中海の兵要的重要度
一八一二-一八一四年作戦に於ける米国諸大湖の兵要的重要度
第6章 基礎と原則 其の一
本章の目的
本講義原案作成当時米国がカリブ海に有せし権益
其の後の主要なる変化
巴奈馬地峡とダニューブ渓地並にヴァルテリーヌ山道との類推。カリブ海と地中海との類推
米西戦争と米国の国際関係に及ぼせし其の影響
米国の戦略研究家と雖も欧洲の政治に無関心なるべからず
一八九七年以後に於ける欧洲の国際情況並に関係の変化
前項の米国に及ぼす影響
独国海軍拡張の広き意義
モンロー主義の発展
艦隊の編制は戦略的問題なり
国際情況の変化の英国に与へたる影響
現時の国際的競争に於ける日独両国の利点
米国の海岸及外交政策は主として其の海軍に依りて保護せらる
既往三十年間に於ける海上権力思想の発達
日米独の新興大海軍
海軍関係の著述は海上権力の認識度に比例して増加せり
右の発達は単に認識されたる既存の真理を方式化せるに過ぎず
海軍戦史及名将伝は海軍戦略上の原則を与ふ
海軍戦略研究の遅延せし原因
蒸気推進法の影響
原則を定むるを急務とす
実例の価値。
蒸気は海軍に於ける兵站の意義を増加せり
米国海軍大学校の特殊目的
戦略問題の研究には通例緊要項目甚少し
鎖鑰てふ語は此の事実を証明す
法律事務より導出せる実例
陸戦に関する知識は海軍兵術研究者にも有用なる理由
海軍戦略は平戦両時に其の応用あり
平時海軍戦略の実例
海軍作戦は広大なる地域に於て実施せらる
最近の実施に現れたる平時艦隊配備
右の配備を必要とする理由
戦争は位置の事務なり-奈翁
右の思想を応用せんとする者に与ふる警告
玖馬の位置
対仏諸戦争中に於ける英国艦隊の所在
英独海軍競争に因する英国艦隊の所在
前進地点を確保することの利益
独逸に対して考へたる英国本土は前進位置の実例たり
交通線に対する奇襲と交通線の遮断とは同一視すべきものに非ず
適当なる位置に在る集中兵力の威力
前進地点が陸地を以て互に連絡しあるを有利とする理由
兵要地点の選定に際しては其の固有の価値と成るべく進出しある事とに着眼するを要す
第7章 基礎と原則 其の二
戦略地点の価値を左右する三要素、位置、強度及兵資
ロドニー提督の書簡より見出されたる前項の実例
位置は絶対不可欠の要件なり
位置的価値に関係する事情
陸軍戦略と海軍戦略との根本的相違点
史例
海上に於ける鎖鑰的戦略地点は陸上に於ける程多からず
チャールス大公戦略地点を論ず
戦略地点の価値は道路(航路)殊に其の交叉点よりの遠近によりて大差あり
西印度諸島と其の戦略地点
兵要地点の強度
地点の防禦力の分析
海防艦と陸上防備との比較
水雷艦艇及潜水艦と海防
水陸国境に於ける要塞の防禦力
艦隊は海戦に於ける野戦軍なり
防禦は基礎にして攻撃は建築物なり
民衆の恐怖の影響
海港の防禦を海軍に倚頼する結果は多数小艦主義と成る
海軍を専ら守勢的に使用せんとするは根本的に誤なり
海軍が防禦の利器なる特別の場合
海軍が海港防禦の利器ならざる理由の概略
海港の攻撃力
海港の攻防に対する敷設機雷の影響
戦術的条件と戦略との関係
港外艦隊の占位すべき適当なる位置
一港にして港口二個を有することの利
艦隊の遠距離作戦を支持する力は海港の攻撃力の要素なり
船渠を最も必要とする理由
日露戦争と日本海軍の船渠能力
兵資は海港の強度の要素なり
第8章 基礎と原則 其の三
戦略線
戦略線の諸性能
海上には艦船の使用し得べき通路多し
交通線〔兵站線、後方連絡線等とも解釈す〕の重要度
其の例
退却線若は交通線は二条なるを有利とす
大西洋岸に於ける米国海軍根拠地
浦塩と旅順
海港を有する海上国境は戦略線なり
各港を陸地を以て連絡し得ることは稀なり
水雷艦艇の内海利用
数港に散在せる艦隊の合同
前項に対する提案
海岸附近に散在する水路障碍物の戦略的効果
遠隔なる海外領土に関する戦略問題
此等の中に就て第一に重要なるは戦闘艦隊なり
海外領土の安固は一に有力なる戦闘艦隊に頼る
大英聯合帝国の当面する軍事問題
右と米国独立戦争及仏国革命戦争中に於ける英国の情況との類推
キチナー卿英帝国の安固上有力なる海軍の必要を説く
米国海岸への適用
過去及現在に於ける英国海軍の戦略配備
ボナパルトの埃及遠征
海外領土奪取に次で守勢配備の必要生ず
埃及遠征と一七九六年に於けるボナパルトの伊太利作戦との類推
日露戦争に於て旅順は日本軍の満洲作戦を停頓せしむ
遠征は陸上に於けるよりも海上に於ける方実施し易し
海上遠征の成果は陸上遠征のそれよりも決定的ならず且維持困難なり
遠征の最初の成果に必要なる条件
野戦部隊と覊束せられざる艦隊とは防備地点よりも作戦上一層有効なり
然し防備根拠地も矢張必要なり
防備根拠地選定の条件
軍港の主要目的
軍港所要数及性能
太平洋は米国に取りて重要なり
モンロー主義の中心はカリブ海に在り
海外防備地点の保有は海軍に頼る
海軍の作戦目標は敵国海軍なり
第9章 基礎と原則 其の四
遠距離作戦と海上遠征
遠距離作戦の戦域には局地根拠地の必要あり
右の如き局地根拠地の性能
日露戦争に於ける両軍の根拠地
右の如き局地根拠地の重要度の順位
根拠地を決定するには予め研究を要す
作戦。作戦目的と作戦目標
海域管制の要件
遠距離海上遠征は一般作戦の特殊の場合なり
遠距離海上遠征の特性
作戦根拠地、作戦目標及作戦線の選択
英、墺、露、米国の作戦根拠地
作戦線と交通線
近世に於ける大規模海上遠征
海上遠征と優越海軍
船隊護送は海軍を以てする局部的保護法の一例なり
作戦線若は交通線附近に在る敵大軍港の影響
艦隊用需品輸送法の二種
交通線二線以上を有することの利
要害地点の管制力に関する海戦と陸戦との差異
理由。例外。実例
遠洋の根拠地を確保するには優越なる海軍を必要とす
例。ボナパルトの埃及遠征に於けるモールタ。満洲に於ける日露
結局は一戦を交ふる必要あるべし
海上遠征に於て艦隊と陸軍との本国出発時機如何
渡洋と渡河との比較
大作戦と牽制戦
防禦艦隊が侵入艦隊を邀撃すべき位置
史例
侵入軍に属する艦隊は集結を維持する必要あり。ボナパルトの埃及遠征中に生ぜし実例
海陸軍聯合遠征軍先づ一地を占領せば海陸軍の任務は変化す
雅典軍のシラキュース遠征の研究
シラキュース軍に提案せられし海軍作戦計画の要綱
前項と米西戦争に於けるサンチァゴ及日露戦争に於ける旅順との類推
ボナパルトの埃及遠征を研究す
埃及に在りし仏軍は守勢の立場に在り
海軍劣勢なることの遠征に及ぼす影響
遠征軍の劣勢海軍使用法
ナイル海戦の英国海軍の配備に及ぼせし影響
シラキュース遠征と埃及遠征及陸戦との比較
作戦線の側方を脅威する地点の威力は其の防備よりも其の守備軍又は艦隊より生ず
第10章 基礎と原則 其の五
作戦
海外地点占領後に於ける海軍の戦略的用法
陸戦に於ける実例。一八一二年奈翁のマルモン元帥に与へし訓令
一八〇四年奈翁艦隊を以て一大牽制を企図す
一七九八年の埃及遠征の情況との比較
海軍と本国防衛との関係
海岸要塞の主要任務は攻勢を取るに在り
例。一八一二年ジョーン・ロッジャースの指揮せし米国艦隊
海軍の適当なる構成。独国海軍の目標
前進作戦正面の利
例。一七九三-一八一五年の英国海軍。一七九六年アディゼ河畔に於けるボナパルト
前記孰れの場合にも要害地点を占有せること
カリブ海への適用
英国より蘇士及巴奈馬に至る途上に於ける防備地点
海軍作戦の方向は敵の艦隊及海軍根拠地の所在によりて定まる
海軍作戦の第一目標は敵の編成軍なり
近世の英国海軍が常に優大なりし結果として海軍戦略の史例少し
海上に二主無しとの言は誤なり
前項の証明
一七九三-一七九八年地中海作戦の戦運動揺す
根拠地の必要を実証する事例一七九九年に現る
地中海作戦は局地根拠地の必要を実証す
コロマンデル海岸に於ける仏将シュフランの作戦と局地根拠地
米国独立戦争に於ては各交戦国の海軍力均衡を保てり
防備海軍根拠地攻略戦には海上に優越を占め居る必要あり
距離の影響。遠距離作戦には前進根拠地の必要あり
局地的権益を擁護する最良手段は敵根拠地を攻撃するに在り
補給船隊の随伴は戦闘艦隊の戦闘を妨害す
敵退却せば猛烈果敢に之を追撃すべし
追撃不熱心なる為戦果を小ならしめし実例
日本海海戦に於ける日露両国艦隊の関係
敵影を見失ひし時の追撃艦隊の行動
敵の防備根拠地を攻撃するは敵艦隊に出撃を強要するためなり
ジブロールター。トリンコマリー
位置並に防備適当なる二港は敵艦隊を当惑せしむ
一港にして相隔たれる二港口を有するは二港の情況に類似す。例浦塩港
戦闘を実施するに有利なる地点
遠く相隔たれる二個の敵根拠地に対して優勢艦隊の取るべき処置
戦闘に因る損傷若は交通線の延伸に因りて優越の地位を失ひし艦隊の執るべき処置
作戦正面は成るべく之を前進すべし
例。一七九六年アディゼ河畔に於けるボナパルト。一七九四-一七九六年コルシカ島に於ける英国艦隊
遠征軍其の進撃を阻止せられし場合の処置
守勢を取らざるべからざるに至りし艦隊の処置
防禦は攻撃よりも強き作戦方式なりとの言を評す
ロゼストウェンスキー及セルヴェラの行動は攻勢の部類に属す
防禦は兵力の分散を誘ふを以て不利なり
真面目なる防禦に必要なる条件
保護すべき地点が其の所属国に近きことの利
守勢作戦に於ける各防備地点の役割
一定地域内に在る防備地点は過多若は過少なるべからず
遠方の海域に管制権を行使するには特に防備地点の必要あり
防備地点は海軍の保護に頼るべからず
無防備主要地点の保護に任ずべき艦隊の当惑
一七九六年ボナパルト将軍マンチュアを攻囲す。海外海軍戦域との類推
マンチュアとボナパルトとは作戦方式及方法に於ける守勢及攻勢を説明す
防備地点の管制に於ける陸海軍の行動の差異。交通線の問題
マンチュアに於けるボナパルトとコペンハーゲンに於けるネルソンとの比較
退却軍と追撃軍との行動
ネルソンの行動に於ける前項の類推
優敵進撃する場合に於ける劣勢艦隊の行動
艦隊と防備港とは防禦軍の両要素と考ふべきものなり
防備港に拠りて海上を防禦する劣勢艦隊の行動
前項の場合防禦艦隊は防禦の手段として攻勢を取る
例。一九一二年戦争に於けるジョーン・ロッジャース艦隊の行動
斯かる防禦艦隊の作戦目標は敵の交通線と其の在外権益なり
権益を保護せよとの民衆の喧騒。米西戦争に於ける米国遊撃艦隊
兵力の移動
海戦に於ける攻勢及守勢に関するダヴリュイの意見
劣勢を優勢に変化する方法
日露戦争に於て劣勢なる日本海軍優勢なる露国海軍を破る
原則を応用するに就て経験の貴重なること
真個の経験とは自身の経験のみに限れるものに非ず
チャールス大公及奈翁の説
前記各説に対する評論
作戦は兵術にして兵学に非ず
科学と技術との対照
ジョミニ兵術研究の必要を説く
省察
奈翁兵術研究の効果を説く
第11章 墨西哥湾及カリブ海に対する兵理の適用 其の一
本研究に於ては対抗両軍の海軍兵力を同等と仮定す
故に本研究は単に位置のみに関す
故に作戦海面の境域を限定するの必要あり
又主要の地理的特徴を考慮する必要あり
研究せんとする海域の境界を限定する理由
主要の権益地点。ミシシッピー河口と巴奈馬地峡
条件を左右する政治的事項
国際関係を左右する通商問題
研究せんとする海域の境界線
右の海域の入口
フロリダ海峡其の他水路の軍事的重要度
ジャマイカの管制位置
ミシシッピー及ユーカタン水道連結線以西の墨西哥湾は軍事上比較的重要ならず
研究の目的を以て仮定する基準線
カリブ海及墨西哥湾内の主要兵要地点
米西戦争以後米国がカリブ海に獲得せし地点
前記新獲得地点の軍事的影響
各兵要地点の位置的価値
フロリダ半島の影響
キー・ウェストの位置的価値
米国の大西、太平両洋岸及墨西哥湾岸に類推を見出す
ロング・アイランドとサウンドとの紐育港に及ぼす位置的影響
同一海岸に防備根拠地二個を有する場合に於ける海軍の配備
墨西哥湾及カリブ海内各兵要地点の位置的価値の研究を続く
玖馬及ハイチはカリブ海に出入せんとする船舶に対する長き障碍物たり
前項の理由によりウヰンドワード水道の軍事的価値増大す
類例を挙ぐ
斯かる水道は其の附近に根拠する有力なる海軍によりて管制せらる
前記海軍が敵海軍の対地峡作戦に及ぼす影響
ウヰンドワード水道を管制すべき海軍の最良根拠地。サンチァゴ、グヮンタナモ、ジャマイカの比較
兵站の重要なること、殊に石炭を焚焼する現代海軍に於て
軍事上より見たる玖馬及ハイチの位置的価値の分析
玖馬に占拠する等勢力の敵国艦隊は地峡に於ける米国の兵威を無効ならしむ
米国海軍の適良なる兵力量
キー・ウエスト、グヮンタナモ及キュレブラの米国海軍に与ふる支持
ハヴァナの管制力はサンチァゴ若はグヮンタナモのそれに勝る
陸上に於て連絡するハヴァナ及サンチァゴの相互支持
海港の戦略並に戦術的性能
サンチァゴ、ハヴァナ間に在る玖馬海岸の避難港
シェンフエゴス港の戦略並に戦術的考察
シェンフエゴス港外の航路障碍物は水雷艦艇並に潜水艦の行動を利す
航路障碍物に関し独領ヘリゴランド島との対照
ヘリゴランドの防備は戦術的にして其の位置は戦略的価値を有す
極めて近接する数港は同一防備計画に包含せらるべきものとす
バハマ堆とバハマ水道との戦略的考察
一七六二年ハヴァナを攻略せし英軍バハマ水道を使用す
玖馬の軍事的特性に関する結論
第12章 墨西哥湾及カリブ海に対する兵理の適用 其の二
海軍力の行使に依り玖馬の管制力をカリブ海に及ぼすことの研究
カリブ海に於ける三大作戦中心
対抗海軍の兵力同等なる場合玖馬のみを保有することより生ずる管制力の範囲
玖馬の管制力をモナ水道に及ぼすに就いて講ずべき処置
モナ水道の管制力は巡洋艦部隊のみに依りて行使せらるべきものなること
ウヰンドワード水道の警備を撤せる場合の影響。実例、米西戦争
無線電信の戦略的効果
モナ水道を管制するに適する地点
海上交通線は長きに過ぐべからず
グヮンタナモ及キュレブラの取得が交通線に及ぼせる影響
右に因りてカリブ海作戦上米国の地位欧洲諸国に勝れること
遠隔方面に海軍根拠地を取得するの政策。例、香港、膠州、旅順及ジブロールター
ハイチに関する米国の軍事方針。モールタ及旅順の例
墨西哥湾及カリブ海に及ぼす玖馬の威力摘要
カリブ海上管制せらるべき主要目標。一、海口、二、主要作戦若は通商要地、三、海口より目的地に至る航路
前記各項の詳細なる研究
海洋若は狭海に於ける航路に関する一般的研究
出発点及到着点の戦略的意義
史例。ネルソンと東郷
英国海軍式敵港監視法の奈翁軍の合同に及ぼせる影響
附近海港の交通線に及ぼす影響
前項に関してジャマイカと玖馬とを対照す
ジャマイカと小アンチリーズ諸島との対照
玖馬とアンチリーズ諸島との対照
ジャマイカの格段なる位置的価値
支援の根源たる本国よりの距離に因りて右の価値より減額すべきこと
右の点に関しては玖馬のジャマイカに勝れること
ジャマイカが斯かる不利を有する結果
遠隔なる二地点より出発する両枝隊を合同せんとする企図に伴ふ危険
前項の例、日露戦争に於ける露国艦隊
玖馬は其の交通線に関して戦略的利点を有す
前項に関するジャマイカの不利
ジャマイカの例に於て認めらるる防備港の価値
ジャマイカは米国が欧洲の国際情況に有する関心の実例を提供す
カリブ海作戦の根拠地としての小アンチリーズ諸島の価値
玖馬、ジャマイカ及小アンチリーズ諸島の戦略的価値に関する研究の結論
カリブ海の戦略的特性に関する一般的研究の結論
カリブ海に於ける米国の権益
前項の研究方法
一八八七年当時と一九一一年の情況との対照
戦略と国際関係との密接なる連絡
一八八七年及一九一一年に於ける国際情況と海軍の情況
一八八七年及一九一一年に於て米国が墨西哥湾及カリブ海に保有する地点の対照
キー・ウェストの位置的重要度
一八八七年に記せる「墨西哥湾岸に在る米国根拠地の弱点」
其の当時提案せし其の補足法
一八八七年以来の変化にしてカリブ海に於ける米国の勢力に影響する事項
一八八七年以後に於けるキー・ウェストの発展
グヮンタナモとキー・ウエストとの利点を比較す
相互支援及攻防作戦に及ぼす影響より見たる前記両地の関係
グヮンタナモを中心としキー・ウエスト及キュレブラより支持を受くる艦隊の戦略的効果
海陸孰れに於ける奇襲も其の効果比較的少きものなること
過去二十年間カリブ海に於ける保有地に関し生ぜる変化の影響摘要
蒸気の採用が海上作戦に及ぼせし積極並に消極的影響
カリブ海及巴奈馬地峡によりて例示されたる近世海軍戦略の要求
地峡及運河と大西太平両洋の相互的支持との関係
カリブ海は大西洋及太平洋に関する鎖鑰なり
第13章 日露戦争の研究
日露戦争は海軍戦略上貴重の研究問題たり
原則の例証を求むるには勝利者側よりも寧ろ戦敗者側を調査するを有利とす
前項の理由と其の実例
故に先づ敗軍側たる露国海軍の作戦を研究す
要塞艦隊と現存艦隊
相反する両思想の正しき研究法
折衷の主要特性
艦艇の設計と作戦計画に関して「折衷」と「調節」とを論ず
「目的の単一性」は折衷の心的反対物なり
山地及河江の防禦に就てこの両法を比較す
正確なる思想及用語を必要とする所以
「合同」の正確なる意味
「折衷」なる語より受くる印象
装甲巡養艦は折衷の実例なり
要塞艦隊は露国の思想なり
例。旅順と浦塩
要塞艦隊てふ思想の露国海軍の作戦に及ぼせし影響の一般
露国人は防禦作戦を愛好するの傾向を有す
「要塞艦隊」は守勢的思想を、「現存艦隊」は攻勢的思想を表はす
露国式思想が(一)、露国艦隊の極東集合法及(二)、集合艦隊の配備法に及ぼせし特殊影響
米国艦隊を大西太平両洋側に分置せんとの説を難ず
日露戦争に於ける旅順と浦塩との戦略的価値の比較
旅順艦隊の姿勢と行動とは守勢的なり
前項より生ぜし不徹底なる成果
浦塩に艦隊を置かば攻勢的位置と為るべし
現存艦隊主義、そは恐らくロゼストウェンスキーの行動に影響せしなるべし
日本海軍が現存艦隊主義に誤られざりしは其の作戦によりて明なり
日本は現存艦隊の危険性を認めて之を冒せり
軍事的に謂ふ安固は平時的安固と同じからず
軍事的に謂へば「恐らく」と「現に」とは同一意味ならず
奇襲の成功と交通線の遮断とは同一事ならず
日本軍の攻城砲海上にて捕獲せらる
奈翁エーカー攻囲中同様の事件に遭ふ
要塞艦隊思想の旅順艦隊使用法に及ぼせし影響
八月十日の旅順艦隊出撃戦を論ず
相反する条件は折衷にてはなく調節に依りて之を調和せしむること
ネルソンの名言此の場合に適用すべし
旅順艦隊遁走と戦闘との折衷を図る
前項に因る不結果
八月十四日の蔚山沖海戦
浦塩艦隊の行動を論ず
第14章 日露戦争の研究 其の二
ロゼストウェンスキーの行動
観念の単一性を以て判断の基尺とす
ロゼストウェンスキー極東の戦略海面に入る
ロゼストウェンスキーの困惑
セメノフ著ラスプラタの一節
馬鞍群島出発の際婆爾的艦隊の搭載し居たる石炭量
露国政府よりの警告がロ提督の心事に及ぼせし影響
旅順要塞の作戦を誤れることのロ提督に及ぼせし影響
一般的軍事教訓を帰納す
降伏を正当ならしむる条件
日露戦争を通じて之を支配する第一の考慮は制海権なり
ロ提督の当面せし問題は旅順艦隊の当面せし問題と同一なり
ロ提督の取るべき行動を論ず
有利の情況に於て戦闘を交へんとする艦隊の具備すべき要件
ロ提督の取りたる行動
ロ提督目的の単一性を欠く
表象
ウヰリアム三世の行動を評せるランケの言との対照
ロ提督の問題に之を適用す
補給船隊の処置
矛盾せる要件に当惑す。折衷と調節
ロ提督の行動を論ず
ランフレーの奈翁伝より引用せる驚くべき反対事実
日本海軍の戦略
日本海軍困難なる情況に直面す
日本海軍決戦の場合の他戦艦を節用するの必要を感ず
日本は其の作戦計画上戦艦の遭遇すべき危険を考慮に加ふ
隻数に於て劣れる海軍の制海権獲得の手段
前項の目的中に目的の単一性を認む。主要の手段
日本海軍の爾後の行動にも此の単一性を認む
敵艦隊の管制てふ戦略目的を確保する為に取るべき戦術的手段
旅順艦隊の浦塩遁入を阻止したるは前記手段の戦略的成功なり
上村艦隊の対馬海峡に占位せる戦略的及其の他の理由
日本軍の作戦は一般に正当なり
日本軍の行動現存艦隊主義の正体を現はさしむ
日本軍は危険を甘受せざるべからざりき
奈翁曰く「冒険なくして戦争なし」
ネルソンは時ありてか敢て危険を避くべきに非ざるを説く
第15章 海岸要塞と海軍戦略
海岸要塞は海陸作戦の境界線上に位す
前項の理由よりして意見の衝突あることの当然なるを知る
海陸協同作戦に於ける艦隊及要塞の任務
海岸要塞は艦隊を支持するが故に其の任務は攻勢的なり
故に海岸要塞は之を陸正面に対して防備すること必要なり
艦艇の要塞と戦闘するは不利なり
遠洋に於ては最強海軍国と雖も海岸要塞の必要を感ず
ジブロールター、アレキサンドリア及モールタの例
同一海岸に数港を有することの戦略的効果
米国の大西洋及太平洋岸にも海岸要塞の必要あり
安固なる根拠地は艦隊の行動を利す
旅順要塞の日露戦争に及ぼせし決定的影響
浦塩要塞を以てするも同一の影響を生ぜしめ得べし
極東艦隊を浦塩に置かずして旅順に置きしより生ぜし情況
旅順艦隊は要塞の従属物なり-要塞艦隊主義
露国人は個性上攻勢的海軍作戦を好まず
日本は増援の到着以前に極東艦隊を撃滅するの絶対的必要を感じたり
此の必要の陸上作戦に及ぼせし影響
露国の陸上作戦計画
一七九七年のチャールス大公の作戦との比較
旅順の保有は露国作戦計画の要項たり
旅順は結局陥落せるも其の防守によりて得られし猶予は重要なりき
旅順と一八八〇年のゼノア篭城との比較
露国の作戦計画は真の合同なり、二部より成る一個の行動なり
露国の作戦の失敗せし原因
外国貿易に従事する船舶少き国家も海軍の必要あり。露米両国の例
在外権益は単に通商と航海とに限れるものに非ず
代議政治の国家に在りては、海上権益は海軍に立法的支持を与ふる原因と成る
米国の海外権益並に問題
附図目録有